マルコ・ルビオ米上院議員は米国の22の大学に対し、中国共産党が軍事的近代化を支援するとしている中国の学校との学術・研究提携を解消するよう求めた。
ルビオ氏は2月8日付の書簡で「中国(共産党)は何十年もの間、米国で学ぶ中国人学生や学者の専門知識を公然と利用し、中国の経済的・軍事的発展を加速させてきた」と指摘。「中国人民解放軍による米国機関への攻撃的な潜入工作に深い懸念を抱いている」と述べた。
中国共産党政権は、民間で開発された研究や技術を中国の軍事的近代化に役立てる国家戦略「軍民融合」を推進している。いっぽう、民主主義国の開放性を利用して技術窃盗を目論んでいると指摘されている。
ルビオ氏の書簡は、この軍民融合の実施する中国の大学と学術・研究提携を結んでいる米国の大学に宛てられた。
米国務省は2020年、中国共産党は2049年までに世界レベルの軍隊を実現するため人工知能(AI)や航空宇宙技術を違法な手段で獲得していると指摘する報告書をまとめた。「共同研究機関や学界、民間企業はすべて中国人民解放軍の軍事システム構築のために利用されている」と警鐘を鳴らした。
オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)は2018年の報告書で、中国人民解放軍から派遣された科学者が、海外の大学で共同研究を行うなどして軍事転用目的で先端技術を中国に持ち帰っていると指摘。その人数は2007年から17年にかけて、2500人以上に上るとした。
近年では中国共産党が進める海外高度人材招致プログラム「千人計画」の参加をめぐり、虚偽陳述などをしたとしてハーバード大学のチャールズ・リーバー教授が有罪判決を受けた。ルビオ氏は「米国の研究事業に関する国家安全保障の評価に疑問を投げかける」事件だったと指摘する。
米シンクタンク民主主義防衛財団(FDD)は昨年12月に中国共産党が米国の数十校の大学と提携し、軍事技術の収集を行なってきたという調査結果を発表。うち10校は中国共産党を支援する中国の大学と姉妹校提携を結んでいるという。
日本も中国の技術盗用に対して警戒姿勢を示している。古川禎久法相は1月24日の衆院予算委員会で「機微技術の流出防止の観点から研究内容に関する資料の提出などを求める」と述べた。高市早苗議員からの留学生の技術持出に関する質問に答えた。
昨年9月、経済産業省は大紀元の取材で、学内周知の徹底と意識向上を呼びかけており、違反した場合には外為法により措置が取られる可能性があると述べた。
防衛省傘下のシンクタンク防衛研究所が2020年に発表した「中国安全保障」年次レポートでは、中国共産党が民間企業を通して最先端の軍事技術の獲得を進めていると警告を発した。
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