カナダ人の77% 中国とは貿易より「人権」重視=世論調査

2022/01/11
更新: 2024/04/22

世論調査機関アンガス・リード研究所が10日に発表した対中関係の世論調査で、カナダ人の77%が中国との貿易や投資よりも「人権と法の支配」を重視していることがわかった。中国共産党政権による新疆ウイグル自治区等の人権侵害が要因との指摘がある。

アンガス・リード研究所は、2021年11月26日〜29日に同所のフォーラムに参加している2005人のカナダ人を対象にオンライン調査を行った。

その結果、共産主義を掲げる中国の印象について84%が「よくない」と回答し、わずか16%が「よい」と回答した。2005年の同調査で「よい」と回答したのは60%に達しており、この10数年間で多数の人々の対中印象がネガティブに変わった。

2019年、米国の求めに応じてカナダは中国IT大手ファーウェイ副会長をバンクーバーで拘束し、報復的に中国当局は2人の中国在住カナダ人を捕らえた。これ以降、両国関係は著しく冷え込んだ。2020年9月には中国側の「威圧的な外交」を理由に、カナダは中国との自由貿易協定(FTA)締結交渉を打ち切った。

カナダにとって中国は米国に次ぐ第2位の貿易相手国だ。政府の2020年の統計によれば総輸出額の5%(250億ドル)、総輸入額の14%(770億ドル)の取引がある。しかし、中国との貿易を減らしたほうがよいとの声が高まっている。

今回の調査では、中国との貿易取引の減少を61%が「望んでいる」と答え、そのうち28%は「経済的損失を他の国で補うことができる」と回答した。60%は「経済的な影響は軽微で済む」との考えを示した。中国を良い貿易相手と回答したのはわずか24%だった。

また地域、性別、政治的スペクトラムのどの分野においても少なくとも72%が道徳的な問題が優先されるべきだと考えていることがわかった。アンガス・リード研究所はこの結果を「比較的まれな党派を超えた合意」と表現した。

トルドー首相は2月に開催される北京冬季五輪に外交団を派遣しない「外交的ボイコット」を表明している。今月11日からは中国に対中強硬姿勢を取るジョディ・トーマス氏が国家安全保障・情報顧問に就任する。

米国をはじめ国際関係担当。