中共に拘束されたカナダ外交官 外国による恣意的拘留 国家を超えた対応を 

2024/10/30
更新: 2024/10/30

中国国内に滞在する外国人を拘束し、外交圧力や交渉の材料とするのは、中国共産党(中共)の常套手段である。中共に恣意的に拘束されたカナダの元外交官は、豪州上院の調査委員会に対し、市民が海外で恣意的に拘束されることに対して「断固とした対抗策が必要」と訴えた。対応策として、外交や経済制裁、情報収集、法執行など幅広い手段を検討すべきと述べた。

上院外交委員会は、海外でのオーストラリア国民の不当な拘留に対処するための最善の対応を検討している。

中共によって拘束されたオーストラリア市民には、成蕾(チェン・レイ)氏や楊恒均(ヤン・ヘンジュン)氏が挙げられる。

また、ミャンマーで拘束された経済学者ショーン・ターネル氏、エジプトで収監されたジャーナリストのピーター・グレステ氏はすでに解放されている。

中共の国際放送CGTNでキャスターを務めていた、豪国籍の華人ジャーナリスト・成蕾氏は2020年、中共当局に「スパイ容疑」により拘束され、3年2か月にわたり拘束されていた。

豪国籍の華人作家楊恒均氏は、2019年に中共によってスパイ容疑で拘束された。北京の裁判所は今年2月5日に、楊氏に執行猶予付きの死刑判決を言い渡した。

また、ミャンマーで拘束された経済学者ショーン・ターネル氏、エジプトで収監されたジャーナリストのピーター・グレステ氏はすでに解放されている。

カナダの元外交官マイケル・コブリグ氏とカナダ企業家マイケル・スパバ氏は、2018年12月に「スパイ容疑」で中国で逮捕された。

この事件は、10日前にカナダで逮捕されたファーウェイCFOの孟晩舟氏の逮捕に対する報復と見られている。二人は1019日間拘束され、2021年9月24日に孟氏がカナダでの自宅軟禁から解放された直後に釈放された。

コブリグ氏は「孟晩舟氏を解放しなければ、カナダ人は戻ってこないという脅しのようなものであった」と上院委員会で述べ、中共当局の行動を「極悪」だと表現した。

また、拘束中、自分は「数百時間の尋問、日光を浴びない独房監禁、不十分な食事、常時監視、ストレスと圧迫、さらには一層過酷な処遇の脅威」に晒されたと述べた。

さらに、弁護士に相談することも許されず、基本的な衣服以外、書籍、手紙、その他の物品を受け取ることも拒否された。外界との接触は、毎月の短い領事訪問に限られていたという。

「その間、国安(中華人民共和国国家安全部)は私を洗脳して罪を自白させようとした。私の愛する人たちが経験した苦しみもまた極度だった」とコブリグ氏は語った。

コブリグ氏は、拘束のコストは「非対称的」であり、加害者側にとっては低コストであるのに対し、被害者やその国には大きな負担がかかると指摘し、これを逆転させる必要があると指摘した。

単なる旅行警告以上の対策が必要

同氏は、オーストラリア市民が恣意的に拘束されるリスクを明確にするため、旅行警告により具体的な情報を盛り込み、拷問のリスクも反映させるべきだと提案。

こうした警告は単にオンラインで公開するものではなく、旅行代理店や航空会社に送付すべきであり、拘束の恐れがある国への航空券を購入する国民に警告を表示するよう義務付ける。アメリカがキューバやロシアに対して行っているように、必要に応じて高リスクと見なされる国への渡航を禁止するか「極めて不便」にすることを検討すべきだ。

さらに、違反国の国民がオーストラリアにビザを申請する際、その国での不当な拘束に関する情報を提供することや、政治犯の解放を求める書簡の提出を義務付けることも提案された。

コブリグ氏は、極端な場合には、「違反行為を行った政治団体や政府関係者と職員、およびその家族、さらに違反行為を行った国の著名人、有力者、スポーツ選手」に対するビザ禁止やその他の制限を検討すべきだと提案した。

「これにより、人質事件のコストが上昇し、自国が容認できない活動に従事しているという事実にエリート層が敏感になるだろう」

同氏は、恣意的に人々を拘留する政権は、現在通常行われているよりも厳しい罰に直面する必要があると勧告した。

国家安全保障の脅威

コブリグ氏は、恣意的な拘束は国家の主権と安全保障への脅威であると述べた。

WTO(世界貿易機関)に準拠した経済制裁や、貿易交渉の凍結、投資決定の延期、加害国の金融機関に対する制限措置などを示唆した。

「アメリカ財務省が採用しているような金融規制を課し、犯罪国やその金融機関への送金を阻止し、クレジットカードの使用やATMや送金による西側諸国の銀行口座へのアクセスを制限することも可能だ」と述べ、資金の移動やクレジットカード使用を制限することを推奨した。

コブリグ氏は、拘束に関与した個人や組織を対象に、ビザの発給制限や海外資産の凍結・没収といった「マグニツキー法」に準じた制裁の導入を提案した。

同氏は、制裁措置は恣意的な拘束に関与したり、これを容認しているとされる個人や組織を制裁対象とする事にも適用すべきだと述べた。

「制裁には、渡航制限(ビザの発給停止)や海外資産の凍結・没収なども含まれる。対象は、拘束を実行した下級職員だけでなく、尋問や拷問、人権侵害、不当な法的手続き、拘束者を交渉材料に使用した上級職員にも及ぶべきだ。また、拘束に関する虚偽情報を流布するスポークスパーソンやプロパガンダ関係者も制裁の対象とすべきだ」

こうした措置は、すべての不当拘束者が解放され、当該国が恣意的拘束に関する宣言に署名し、国連の人質条約を完全に採用する場合にのみ解除されるべきだとした。

 

ニュージーランドを拠点とするレポーターで、ラジオや印刷物を含むメディアで40年以上の経験を持つ。現在はハット・ラジオのプレゼンター。