「千人計画」関与で逮捕のハーバード大著名教授の公判開始 容疑否認

2021/12/16
更新: 2021/12/16

米ハーバード大学の化学・化学生物学部長で、半導体ナノワイヤーエレクトロニクスの世界的権威として知られるチャールズ・リーバー(Charles Lieber、61)被告の公判が現地時間15日、ジョンジョセフモークリ裁判所で開かれた。同被告は「事実無根」と容疑を否認した。

同被告は、中国の「千人計画」への関与や中国側から受けた資金援助などについて、捜査当局に虚偽の説明をしたとして2020年1月に逮捕された。

リーバー被告はかつてノーベル化学賞候補にノミネートされたことがある。

リヤ・W・ソベル(Rya W. Zobel)裁判官は14日(現地時間)、「ハーバード大学、あるいはリーバー博士と中国の関係を問題視しているわけではない。リーバー博士が米政府に情報を開示しなかったことが問題だ」と説明した。

リーバー被告の弁護士も同日の法廷で、被告は中国へ行き、大学で講義を行い、報酬を受け取ったことについて異論はないとした。ただ、中国へ行ったのは「ある契約」のためだと政府は主張しているが、この点に関して、被告は同意していないと述べた。

政府が提出した裁判資料によると、リーバー被告と武漢理工大学および千人計画との関係が違法であるとする告発はない。

告発した罪は、被告が米国防総省と国立衛生研究所(NIH)、税務局の3つの機構に対し、自身と武漢理工大学および千人計画との関係について、虚偽の陳述をしたことだ。

リーバー被告は国防総省とNIHから研究資金を受け取りながら、武漢理工大学と「戦略科学者」として雇用計画を結び、中国の海外ハイレベル人材招致「千人計画」にも加わっていた。中国側から報酬や研究資金を受け取っていたが、米国側に報告しなかった。

千人計画に参加した5年間、教授は毎月5万米ドル(約540万円)の給料のほか、年間15万米ドル(約1620万円)の生活費を支給されている。

「武漢理工大・ハーバード大共同ナノテクノロジー研究所」の設立費として150万米ドル(約1億6200万円)以上の資金も得ている。米中を往復するビジネスクラス航空券代金は中国側が負担していた。

検察官は、「被告は千人計画への関与について捜査当局者に嘘をついただけでなく、ハーバード大学まで欺いた」と述べた。

同大学は2019年、NIHに対して「リーバー氏は同計画に関与していない」と伝えた。

米司法省はトランプ政権下の2018年から、中国の技術盗用の摘発などを担う「チャイナ・イニシアチブ(China Initiative)」を開始しており、今回の裁判もこのイニシアチブの一環によるものである。

「リーバー被告と中国の契約では、彼は『中国国家戦略の発展の要求を満たす重要プロジェクトを遂行する義務がある』となっている」と検察官は指摘した。

有罪が確定すれば、同被告は最大で禁固5年と25万ドル(約2844万円)の罰金が科される可能性がある。

(翻訳編集・李凌)