中国当局、テンセントの公開前アプリなどを審査へ 「言論統制の一環」

2021/11/29
更新: 2021/11/29

中国工業・情報化部(省)はこのほど、IT大手の騰訊控股(テンセント)の9つのアプリがユーザーの権利やプライバシーを侵害しているとして、新規アプリと既存アプリのアップデートに関して審査する必要があると通達した。

中国国営中央テレビ(CCTV)電子版などは24日、今年に入ってから、工業・情報化部はアプリによるユーザーの権利への侵害を巡って調査していたと報じた。その中で、中国当局はテンセントのアプリが「関連規定に違反している」と問題視した。同省はすでにテンセントに対して臨時的な「行政指導」を行い、公開前の新規アプリと既存アプリの最新バージョンを審査用に提出するよう求めた。

テンセントが同日に出した声明では、同社は当局の審査に協力するとし、また、同社のアプリストアからアプリの利用やダウンロードは引き続き可能であると示した。

中国当局は昨年以来、IT企業への締め付けを強化している。

時事評論家の蔡慎坤氏は米ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に対して、「中国当局はIT企業を信頼していない。当局は報道だけでなく、音楽やゲームにも検閲を強化しようとしている」と指摘した。

RFAによれば、中国工業・情報化部は今年に入って、テンセントなどIT企業のアプリに対して「ユーザーの権利の侵害」を巡って複数回調査を行った。テンセントの音楽アプリ「QQ音楽」やニュースアプリ「騰訊新聞」が対象となった。

蔡氏は、「当局はユーザーの権利のためにと訴えているが、実際は、国内ソーシャルメディア・プラットフォームへの言論統制をさらに強めるための措置である」との認識を示した。

(翻訳編集・張哲)