米ラジオ・フリー・アジア(RFA)は9月30日、電子商取引(EC)や学習塾などの業界に対する中国当局の規制強化、不動産企業の債務問題で、今年に入ってから少なくとも1000万人が失業したと指摘した。
3000億ドル(約33兆円)規模の負債を抱える不動産開発大手、恒大集団は土地、不動産・住宅物件等を大量に売却すると同時に、大規模な人員削減を行っている。
別の不動産大手、新力控股集団は15日、社員に対して給料50%減の通知を出した。その後、従業員の半分を削減すると発表した。20日の香港株式市場では、同社は恒大集団と同じく、資金繰りが悪化し、経営破たんに直面しているとの不安が広まり、同社の株価は前営業日比約90%急落した。
RFAは、中国当局の「双減政策(小中学校の宿題と学外教育の負担の減軽)」により、1000万人以上の従事者を持つ学習塾業界は壊滅的な打撃を受け、各地の学習塾が倒産に追い込まれたと批判した。米上場の中国学習塾大手、新東方教育科技集団は、9月中旬まで、すでに約1万人の従業員を解雇した。今年末まで、さらに4万人を削減するという。
今年6月4日、中国越境EC大手、環球易購は倒産した。中国メディアの報道によると、過去2年間で50億元(約862億円)の赤字を出したという。倒産の原因は、銀行側の融資減少、新規事業への急速な進出、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の大流行による影響だという。
生鮮食品のECサイト「美菜網」も9月に大規模な人員削減を進めていたと報じられた。過去3年間、銀行側の融資を受けられなかった同サイトは、すでに一部の都市で業務を停止したという。「橙心優選」や「有棵樹」などの他のEC企業も経営難に直面し、社員のリストラを進めていると伝えられた。
時事評論家の王正氏はRFAに対して、中国で大規模な人員削減が起きたのは「政治的な要素」によるものだとの見方を示した。
「不動産市場に対する当局の支持が後退している。学習塾業界の存在自体は当局の政策にそぐわない。EC業界について、中国当局は『投入が少ない一方で、最も儲かっている』と強い不満を持っている」
(翻訳編集・張哲)
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