豪、中国との共同研究プロジェクトを中止 潜水艦の被追跡防止で

2021/06/14
更新: 2021/06/14

豪紙オーストラリアン(The Australian)12日付は、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は10日、中国の「青島海洋科学・技術国家実験室」に対し、共同研究プロジェクトの終了を通知したと報じた。双方の5年間に及ぶ協力関係は来年6月満期を迎え、終了することになる。

同記事によると、豪中の共同研究プロジェクトによって収集されたデータが中国軍によって豪潜水艦の追跡に利用される可能性があると、豪防諜機関(ASIO)が警告した。

豪国立研究機関・CSIRO傘下の南半球海洋研究国際センター(CSHOR)の責任者である蔡文炬氏は、青島海洋科学・技術国家実験室(QNLM)にも勤務していたという。

蔡氏は、中国の「千人計画」で採用された科学者であると複数の中国の新聞が報じた。また、北京大学海洋研究院が2015年に発行した出版物「国内外の海洋ホットスポット」第2号の中でも、蔡氏は「千人計画」の科学者であると言及している。

報道によると、ASIO長官のマイク・バージェス(Mike Burgess)氏が2週間前、豪州の各研究機関に対し、外国人科学者と共同研究している海洋温度モデリングプロジェクト(Ocean Temperature Modelling)の見直しを要請したという。同時に、同研究で得られたデータは外国に利用されるリスクがあると警告した。

また、「青島海洋科学・技術国家実験室」の研究プロジェクトの一つは、衛星技術を使って水深500メートル以内の潜水艦の動きを探知するという中国の「透明海洋」戦略計画であると指摘した。

報道はオーストラリア戦略政策研究所(ASPI)のデータを引用し、「青島海洋科学・技術国家実験室」と同じく青島にある中国軍の海軍潜水艦学院は密接な協力関係にあると明かした。

また、習近平国家主席が提唱する「軍民融合」戦略により、「青島海洋科学・技術国家実験室」は掌握したデータを中国軍に提供する義務があると指摘した。

報道ではASPIの上級アナリストであるマルコム・デービス(Malcolm Davis)氏の発言を引用し、海流、水深、水温に関するデータはいずれも潜水艦を探知するための重要なデータであると指摘した。

「千人計画」とは、外国から優秀な人材を集める中国の人材招致計画。2009年に開始されてからわずか10年で8000人以上の外国の研究者を招致した。参加者は中国に利用されて欧米の技術を盗むリスクがあるため、米国では相次ぎ摘発された。

(大紀元日本ウェブ編集部)