【動画ニュース】止まらない資金の流出 ここ5年で最大規模=中国経済

2019/06/10
更新: 2019/06/10

米中貿易戦争の激化に伴い、中国当局は強硬な反米姿勢を示すと同時に、国内市場に不安が広がるのを防ぐために手を尽くしています。報道によると、中国の株式市場では最近、ここ5年で最大規模の海外資金の流出が現れ、外資企業の撤退も後を絶ちません。

中国当局は最近、米国との貿易戦争による影響は限られており、人民元が防衛ラインである1ドル7元より安くなる可能性は低いなどと喧伝し、国内市場を安定させるために躍起になっています。

経済調査会社CEICと米金融大手モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)のデータによると、今年4月から5月にかけて、およそ120億ドル(約1兆3000億円)の資金が中国の株式市場から流出しています。2014年に世界の投資家が香港経由で中国株を買えるようにした「ストックコネクト(株式相互取引)」制度の開始以来、最大規模の資金流出となっています。

在米政治経済アナリスト 秦鵬氏
「資金流出が加速化した主な原因は、中共の最近の強硬な姿勢によって、貿易戦の出口が見えなくなったからだ。経済全体と企業の利益に影響が出るだけでなく、人民元安を加速化させる。対抗がさらに続くと、下半期は1ドル=7元を超える確率が高くなる」

6月4日、韓国のサムスン電子は中国内に唯一残っている広東省恵州市のスマートフォン工場で人員削減に着手しました。また、在中国の米国企業の団体「中国米国商会」が5月末に発表した調査結果によると、関税を回避するために、在中米国企業の約4割が生産ラインを中国から撤退することを検討しており、一部はすでに移転を開始しています。

米国サウスカロライナ大学エイキン校ビジネススクール 謝田教授
「産業チェーンや供給チェーンの移転はもう止められない。中国国内企業さえも移転する可能性がある。そうなると、輸出だけでなく、就業、人民元の安定、外貨準備高も大きな打撃を受ける」

経済の不安定によって失業のリスクが高まっているだけでなく、中国では最近物価が大幅に上昇しています。当局のデータによると、4月の豚肉価格は前年同期比14%上昇し、食品価格は6.1%上昇しています。農業部門の関係者は、今年の豚肉の価格は70%上昇する可能性があると警告しています。

物価の高騰を受け、当局は最近メディアを通して反米ムードを作り上げ、米国と「新時代の上甘嶺の戦い」を展開するとし、国民には物価高騰に耐えるのも愛国の現れだと喧伝しています。

経済評論家 秦鵬氏
「中共内部の一部の人は、毛沢東時代の朝鮮戦争のように、米国とは戦争しか方法がないと考えている。しかし毛沢東時代でも現在でも、中共は国民を犠牲にして彼らの利益を守る。こうすることで摩擦の激化を招き、外資企業の撤退が加速化し、国内企業も投資意欲を無くし、失業率が上昇する。市民の消費力が低下し、銀行は融資を増やすしかなく、スタグフレーションがさらに悪化する」

6月5日、国際通貨基金(IMF)は今年の中国のGDP成長率の見通しを6.3%から6.2%に下方修正しました。さらに、2020年と2021年には、6%になることが見込まれるとしています。

 

(エポック・メディア・グループ新唐人より転載)