小野寺防衛相「脅威は中国、ロシア、北朝鮮」安倍首相は並行して外交努力

2018/09/05
更新: 2018/09/05

小野寺五典防衛大臣は9月3日、日本を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しているとして、中国ロシアおよび北朝鮮脅威として名指しし、各軍事作戦を強化する方針を示した。並行して、安倍首相は、中国との外交関係改善のための努力を継続している。

小野寺防衛相は3日、防衛省で開かれた同省や自衛隊の高級幹部が集う会同で訓示した。そのなかで、中国は「軍事行動を一方的にエスカレートさせており、我が国の安全保障上の大きな懸念」と指摘した。例として、中国軍爆撃機が紀伊半島沖の太平洋まで初めて進出したり、尖閣諸島付近の日本海域で中国海軍原子力潜水艦が潜没したまま入域したりしたことなどを挙げた。

また中国に加え、ロシアの軍事活動にも懸念を示した。北方領土への地対艦ミサイルや戦闘機の配備、極東での冷戦後最大規模となる軍事演習の実施など、極東地域での軍事活動を再び活発化させる傾向が見られると述べた。

ロシアは極東で大規模な軍事演習「ヴォストーク(東方の意味)2018」を開始しており、今回初めて中国軍が参加する。8月31日、小野寺防衛相は、同軍事演習に注視し、情報収集すると述べた。また次回の軍事演習が、北方領土へ範囲が広がりかねないとの懸念を示した。

防衛省によると9月3日、駆逐艦や情報収集艦を含むロシア海軍28隻が宗谷海峡を通過し、オホーツク海から日本海へ抜けたと発表した。防衛相は、監視活動に対する警戒を強めると述べた。公式データによると、船艇の数は冷戦終結後で最多。

核兵器を保有する北朝鮮について、防衛相は、核・ミサイルの廃棄に向けた具体的な動きは進展していないと非難。引き続き、日本に対する「これまでになく重大かつ差し迫った脅威」とあらためて定義した。

今冬発表予定の防衛計画大綱は、宇宙・サイバー・電磁波といった新領域の活用を重要視し、領域を横断した作戦を実現できる体制を構築すると述べた。

高級幹部会同に出席した安倍首相もまた、訓示の中で、陸海空域のほか新領域の防衛体制への変革を急ぐよう幹部らに求めた。

脅威と表現された中国だが、安倍首相は、対中外交で関係改善の努力を継続する姿勢だ。首相と中国・李克強首相は、日中平和友好条約調印40周年に当たる8月12日付で、両国関係改善への意欲を表した祝電を交換した。安倍首相は10月に中国訪問を予定しており、近い将来に中国習近平主席が訪日することを期待していると産経新聞のインタビューに答えた。

首相官邸によると、安倍首相は10日~13日に、ロシアのウラジオストクを訪問する。訪ロ中は、ロシア主催の「東方経済フォーラム」に出席し、ウラジーミル・プーチン大統領と首脳会談を行うほか、習近平主席との会談も調整されているという。

 

(翻訳編集・佐渡道世)