【大紀元日本12月24日】表面上は「法治国家」を謳う中国だが、独裁政権は、不都合な団体やこれを擁護するものには暴力で口を塞ぎ、裁判をねじ曲げる。弾圧対象の中国伝統修練法・法輪功の裁判を担当する弁護士も例外ではない。黒竜江省の建三江地区の最近の判例について、北京の弁護士がその不当性を米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)に明かした。
中国国内では法輪功弾圧に関して検閲され、タブー化され、テレビや新聞が報道することはない。そのため東北部・黒竜江省の建三江地区では今年3月、法輪功学習者4人が路上で資料配りなど迫害政策を周知させる草の根活動を行っていた。「法治を妨害する凶悪なカルト行為」を理由に警察は逮捕した。4人は信仰の放棄を強いる特別監禁施設に勾留された。
担当弁護士の拘留、拷問は法輪功学習者と同様
北京の唐吉田氏、江天勇氏ら担当の弁護士4人と、学習者の家族が施設訪問を試みる (明慧ネット)
「不当な拘束だ」と家族の訴えを受けて、北京の著名な人権弁護士の唐吉田氏、江天勇氏ら4人は、拘留の不法性を調査するため監禁施設の訪問を試みた。しかし現地公安局は4人の弁護士全員を拘束した。約2週間の拘留期間中、酷い拷問を受けたと、中国の人権を監視する国際NGO組織・中国人権擁護(Chinese Human Rights Defenders)は詳しく伝えている。
唐弁護士に対し刑務所員は、腕に手錠を掛け天井に吊るし、殴る蹴るの暴行を連日続けた。また「生き埋めにする」「腎臓をもぎ取って犬に喰わせる」などと恐喝した。結果、唐弁護士は13本の助骨骨折、歯の損傷、全身打撲などの身体的傷害のほか、精神的ショックによる睡眠障害を患っている。
拘留期間中、4人の弁護士は食事を与えられず、家族の面会も禁止された。また、拷問による酷い傷害を負っているにもかかわらず、医療措置が施されることはなかった。釈放後も4人の弁護士は病院へ行くと、公安局の圧力により公立病院での診察や入院を拒まれた。
弁護士が受けた拷問は、法輪功学習者への被害と同様だ。法輪功迫害状況を伝えるメディア・明慧ネットによると、拷問により死亡した学習者は家族や知人の確認が取れただけでも3750人に及ぶ。中国問題に詳しい米ジャーナリスト・イーサン・ガットマン氏は迫害で約6万人が死亡したと伝えている。
続く建三江地区の法輪功学習者裁判
弁護士の裁判所到着を妨げるため「検問」を行う建三江の警察 (弁護士がインターネット上で公開)
建三江地区の法輪功学習者裁判の公判は、12月17日に行われた。新たに8人の弁護士が担当し、そのうちの一人、王宇弁護士は、法廷への到着を妨げる幾重もの妨害に遭ったとRFAの取材に答えた。裁判所到着までに複数回の検問、警察車両による道路封鎖、裁判所では厳重なボディチェックに数時間かかり、開廷に遅れた。「全く不要な手続きがいくつもあった。故意に行われたことだ」と述べた。
「最も大きな問題は、弁護士が警察の違法性を指摘しても、裁判では無視されること」と王弁護士は訴える。法輪功学習者の拘束には法的な起訴状が作成されず、突然の連行から始まる。また目撃者など証言者の出廷も許されない。王弁護士は4人の無罪を訴え続けている。
現在まで、王弁護士に対して拘留措置などは取られていないが、「何者」かが滞在ホテルなどを監視していることに王弁護士は気づいている。
当日、裁判所周辺は、警察官が増員され、厳重な警備が敷かれた。RFAが伝える目撃者情報によると、傍聴を試みようとした被告の支援者の数人は拘束された。「警察官は乱暴に2人の女性を扱い、パトカーに押し込んだ」という。
司法に政治が介入する一党独裁体制
中国の著名な人権弁護士・高智晟氏 (大紀元)
共産党の一党独裁体制が敷かれる中国では、司法に政治が介入する。司法当局は毎年5月、弁護士審査を行い、法輪功や少数民族擁護、土地収用など共産党に不都合な裁判を担当した弁護士に対して、弁護士資格を剥奪している。
社会的弱者に無償弁護を行い続けたことで、ノーベル平和賞候補者にもなった高智晟弁護士は、法輪功弾圧の違法性と迫害停止を求めたため逮捕され、「国家政権転覆扇動罪」の懲役刑が下った。現在は釈放されているが、当局の監視下に置かれ軟禁状態にある。妻の耿和氏が自身のツイッターで明かした情報によると、刑務所での酷い拷問で高弁護士は、歩行も困難で会話も成立しないほど心身に障害が残っているという。
北京中銀弁護士事務所の董前勇氏はRFAに対して「弁護士は国民の権利を守る者として行政を監督する立場にあるが、中国では行政の干渉により弁護士の権限が制限され力を発揮できなくなっている」と中国の弁護士が置かれる厳しい現状を語っている。
法輪功担当弁護士への迫害も伝える明慧ネットは「世界各国の人々、および平和組織は、中国司法局の脅しと恐喝に遭う正義派弁護士の境遇に関心を持ってほしい」と訴えている。
(翻訳編集・佐渡道世)
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