<赤龍解体記>(101)中国の幹部に不動産売却ブーム 腐敗証拠の隠滅で

2013/01/22
更新: 2013/01/22

  (イラスト:新紀元)

【大紀元日本1月22日】中国共産党の腐敗幹部の失脚が相次いだことで、最近、自らの腐敗証拠を隠ぺいするため、不動産を投げ売ったり、資産の海外疎開を急ぐ幹部が増えている。香港誌『争鳴』によれば、昨年12月13日、党中央紀律検査委員会(中紀委)は腐敗撲滅の最新状況を中央に報告し、多くの腐敗幹部が海外に資産を移している実態を明らかにした。

その証拠の1つに昨年12月11日発表された中国人民銀行の統計が挙げられている。それによれば、習体制が始まった昨年11月と12月上旬の1カ月間半で、238億ドル相当の外貨が金融機関から引き落とされている。発表の翌日、共産党中央と国務院は金融機関に対し、仮名・匿名・借名口座を即時に封じるよう通達したという。

さらに争鳴誌の報道は全人代代表の話として、中紀委らの関係部門は、昨年12月にすでに120名の現職の高官とその家族に、不動産の投げ売りや、仮名・匿名口座への工作を止めるよう警告したと伝えた。

中紀委の報告書はまた建設部(省)などの統計を引用し、昨年11月中旬から、北京、上海、南京、広州、天津、瀋陽、厦門、広州などの大都市で高級別荘、高級住宅の売却ブームが起き、12月になるとその勢いがより一層拡大したと記している。中でも広州と上海がもっとも多く、それぞれ4880件と4755件に上っているという。

この売却ブームにのる売り主の特徴も報告書は指摘している。▼6割の売り主は匿名や仮名、法人名義を名乗っている▼物件のほとんどは空き部屋か親族・友人に賃貸契約なしで貸している▼売り主は、金融機関を通さず現金取引きを要求している▼業務全般を弁護士に委託し、売り主は顔を出さない、などである。報告書は、これらの高級別荘や高級住宅の所有者はいずれも党や政府の幹部、または国有企業の管理者だと明示した。

さらに同報告書によると、2010年に4120億ドル相当の外貨が海外に移されており、その金額は2011年には6000億ドル、2012には1兆ドルにと急増した。2013年ではさらに、1.5兆ドルに膨らむと予想されている。

資産のみならず、幹部やその家族の中国脱出も伝えられている。19日の新華網の関連報道によれば、2012年の10月1日前後の大型連休に出国した幹部の内、1100人が帰国しておらず、そのうち、714人が海外に逃亡したことが判明している。 

習体制が腐敗撲滅を当面の課題として掲げるのは、共産党幹部の腐敗に対し、国民の不満が、政権の存続を脅かすまで高まったからだ。共産党専制を前提とするならば、本格的な政治改革も新たな打開も望めないものの、習体制権威の確立には効果的だと思われる。その思惑をいち早く察知した幹部らが、海外逃亡や資産隠しに動いたとみられる。

(翻訳編集・呈工/張英)