【鼎談】中国経済はどこへ (一)

2012/01/17
更新: 2012/01/17

【大紀元日本1月17日】現在、全世界が不景気で、かつての三大世界経済地区・米国、ヨーロッパと日本はいずれもそれぞれ危機にある。一方、現在「世界第二の規模」とも言われる中国経済がどうなるかについて、学者達は互いに異なる見方をしている。ある人は中国の経済成長は緩やかになっているが、依然として未来の世界経済の希望とみており、またある人は中国の経済には構造的問題が存在し、間もなく崩壊するとみている。

大紀元グループ傘下の週刊誌『新紀元』の臧山編集長は昨年末、経済コラムニストの廖仕明氏と、もう1人の中国経済学者(匿名、文中表記は沈先生)と、中国の経済についてビデオ対話を行い、それぞれの意見と見方を交流した。以下はその内容である。

世界一体化の相互影響大きい

臧山 最近の中国経済情勢は、かつてないほどの関心を引き起こした。重要な原因の一つとして、中国経済の発展に従い、その規模はますます大きくなり、世界経済への影響もそれに応じて拡大しているため、必然的により大きい関心を引き起こす。しかし、中国経済の現状と未来について、各界の見方は大きな相違がある。なぜだろうか。

廖仕明 外部が中国の経済に対してますます重視しているのは、経済規模がもちろんその中の一つの原因だが、すべてでもない。90年代以後、世界経済の一体化が進み、その後10数年でいまだかつてないほどのレベルに達した。この一体化した世界経済の中で、一部が動くと、全体に影響を及ぼす。ギリシャは経済の実体としてそれほど重要ではないが、そこに問題が生じると、ヨーロッパと全世界がいずれも巨大な衝撃を受けた。これはかつてなかったことだ。

事実上、中国経済の見方に関する相違は、10数年前からすでに存在した。『中国はまもなく崩壊する』の著者・章家敦氏は、中国は間もなく崩壊し、中国の政治構造に大きな変化をもたらすと考えている。しかし、大部分の人は中国が引き続き発展し、10年ないし20年後に米国に取って代わり世界第一の経済実体になるとみている。このような見方の相違は、中国の現実に対する異なる認識からきたものである。

しかし、経済は従来から単独に存在するものではない。経済状況は政治体制、社会体制、法制度、甚だしきに至っては文化とも大きく係わっている。大部分の経済学者にとって、経済はただ二つのモデル、即ち計画経済と市場経済しかない。実は中国は計画経済でもなく、市場経済でもないので、この二つのモデルはそのまま使うことができない。これは多くの専門家達にとって落とし穴である。

沈先生 廖先生は全世界の経済一体化に言及しているが、最近、郎咸平氏のある演説に気づいているか。その演説は大きい論争を引き起こした。

臧山 気づいている。中国の経済はすぐに破綻し、製造業が消滅させられ、国内資金の大部分が投機的運営に使われ、また自由世界の罠にはまったと言っている。

沈先生 郎氏には彼なりの観察がある。たとえば製造業について、中国は世界の工場であるが、実際にはただ低級な加工と組み立てであり、利潤は技術開発、製品設計とマーケティングの部分に持って行かれ、中国はとても小さい一部分だけを獲得した。しかし、中国は能動的で、受動的ではない。80年代末期に中国政府はすでにこの策略を出しており、当時は趙紫陽が政権を握っていたが、いわゆる「大きく出て大きく入り、国際的大循環に参加する」というもの。それからの中国経済の動きは、当時の設計と大して違わない。いわゆる「日本モデル」、つまり輸出主導である。

実は80年代中国の改革開放後、選べる道は多くなかった。当時の状況からして、投資を誘致し、製品を加工し輸出することが唯一の道であっただろう。しかし、今日まで発展して、中国は確かにボトルネックにきている。国際市場で安値の中国製品は至る所にあり、どのように再び輸出を増やすかは確かに大難題である。

中国政府は減税しない

臧山 現代社会の経済発展は一時的な数値ではなくその変化をみており、過去のスピードで増えることができなければ、当然大きな問題になる。

沈先生 先月私達は珠江デルタに行ったが、確かに問題は大きい。08年に多くの企業が破産し、外資企業だけでも恐らく3万ぐらいあっただろうが、今でも完全に回復していない。それに、企業コストが上昇し、利潤は下がっているから、多くの問題が発生している。

中国経済は外国貿易への依存度が60%あり、珠江デルタなど一部のところはもっと深刻である。だから、国際市場の調子が悪いと、すぐに中国経済に問題が現れる。

廖仕明 欧米のやり方としては、もし企業を助けたいなら、減税をやるべきである。中国では減税もないし、民間企業にも融資しない、なぜか。

沈先生 私は先に一つの問題を提起する。中国人は従来最も教育を重視しているが、どうして中国当局の財政における教育費の割合が特に少ないのか、数人の政府官吏に聞いたが、彼らの回答はとても簡単だ。政府が金を出さなくても親達は子供の教育にお金を出すからだという。中国政府の税収情況はこれと少し似ている。中国人は多分世界で最も創業精神がある民族だろう。政府が援助せず、高額の税を徴収しても、みんな依然として企業を創立したいのだ。

廖仕明 2011年注文が減ったと聞くが、どうして輸出額はかえって増加しているのか。この中に多くの疑問が感じられる。

沈先生 製造業購買担当者景気指数(PMI)は制造業の衰退を反映するが、すでに3年連続50%以下であり、最近2、3年の輸出状況がよくないことを表している。税関統計の輸出額が上昇したのは、資金の海外流出と関係があるように思われる。中国の外資は相当数がにせの外資であり、国内の資金は一旦海外に回されてから外資として中国への投資に使われる。今情況がまずいと気づいたので、再び出て行こうとして、輸出額に反映されたのだ。この中には多くの知られざる事情がある。

廖仕明 10月に中央銀行が公布したキャッシュフロー額に増加があったが、銀行の融資は増加せず、市場でも反映されていないようだ。

沈先生 今まで依然として外国貿易は黒字だが、今年の外貨準備高はかえって減っている、つまり、多くの資金が逃げたことを示している。

臧山 金持ちの海外移住か。

廖仕明 実は本当の金持ちはとっくに前から準備している。今移民しようとしているのは二、三流の金持ちだ。私の知る限り、一部の富豪はとっくに退路をアレンジしている。資金の通路もスムーズにし、旅券あるいはグリーンカードを手中にしており、わずかな異変があれば逃げ出すつもりだ。

(続く)

(翻訳編集・金本)