【大紀元日本9月3日】中国経済の持続的成長を「中国モデル」と名付ける西洋学者がいる。それに多いに興奮し、まるで中国共産党の一党政治の下での経済発展はすでに「モデル化」したように誇らしげに思う中国の「愛国学者」がたくさんいる。
一方、冷静な学者もいなくはない。大陸出身の米イエール大学金融学教授・陳志武氏はこのほど台湾で『中国モデルなんて存在しない』という本を書き下ろした。氏は、中国の改革開放が成功した理由はグローバル化と西洋の金融手法を用いたことにあると主張し、産業革命後にすでに西洋で成し遂げた経済発展を1987年の中国に持ってきただけだと指摘した。その成功を独裁政治下の統制的経済・「中国モデル」の成功と見なすことは危険であり、将来的に財政危機をもたらしかねないと警告した。
中国の歴史学者・袁偉時氏は香港メディア・商報の取材に対し、「いわゆる中国モデルは今までになく、今後も恐らくないだろう」と語っている。中国共産党政権の60年の「前半は計画経済という誤った道を歩み、国民経済が崩壊の崖淵に立たされた30年であり、後半は経済面で改革開放を行い、つまり現代文明を受け入れ、市場経済を歩み出した30年に過ぎない」と指摘した。「市場経済は中国独有なものではなく、むしろまだまだ学び足りていない」と袁氏は結んでいる。
今年105歳高齢の「中国ピンイン(中国語発音記号)の父」と称される学者・周有光氏は明晰な頭脳が健在。氏は広東の地方誌・南風窓に対し「中国モデル」は存在しないと話し、「大体モデルと呼べるものは、人が学びたがり、真似したがるものなのだ。中国をモデルに学ぶ国はいるだろうか」と語った。共産党政権のすべてを経験した周氏は「独裁政治から民主政治に変わるのは歴史の必然であり、どちらかを選ぶようなものではない。『民主は中国の国情に合わない』と主張する清華大学の教授はいるが、なら、変えるべきものは民主ではなく、中国の国情なのだ」と指摘した。
さらに、中国著名な憲政学者・陳永苗氏は、フランスのブルボン朝やビスマルク後のドイツ、ストルィピン後のロシアや中国の清王朝を例に挙げ、どの時代も経済が高速な発展を遂げた後に革命が起きていると指摘した。歴史的に見ても、独裁の道は、傲慢と妄信と狂気の道であり、それは滅亡に繋がる道でもあると述べた。
中国の改革開放を「縛り付けを解す」と共産党政権が称している。つまり、中国人をきつく縛り付けた縄を少しでも解し、そのエネルギーを経済発展に使うとのこと。ところが、縛り付けをすべて解し、或いはそもそも縛り付けなければ、中国人は自ずと経済発展の道を歩むのではないか。市場経済はすでに数百年の歴史がある。それは「改革開放の設計師」と称えられる_deng_小平氏の発明でも、中国独自のモデルでもない。中国式と呼べる所は、独裁政治のもとでの歪んだ「市場経済」であり、そこはまさに腐敗の温床とも化している。腐敗・社会的不公平・巨大な貧富格差を生み出した中国経済を安易に「中国モデル」と名付けることは、「中国の欠点や弱点をそのまま固定化してしまうことである」と歴史学者の袁氏は警鐘を鳴らしている。
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