天安門事件閲覧可能に、北京当局へグーグルの挑戦 中国で言論自由の躍動に

2010/01/15
更新: 2010/01/15

【大紀元日本1月15日】「中国当局のネット検閲を受けない。自社中国サイトの自主規制を解除」とネット検索大手のグーグルの宣言が公表された後、中国のネットユーザーらが13日、グーグル中国語版サイトから、1989年の天安門事件で解放軍の戦車を前に立ち向かう若者が映った有名な写真が閲覧可能になっているのを発見した。共産党当局のネット検閲により、中国大陸のサイトでは今まで閲覧できなかったこの写真は、まさに中国市場からの撤退覚悟で北京当局のネット検閲の高圧に立ち向かい、対決を宣言するグーグル社の姿そのもの。

中国当局の言論閉鎖に対する世界大手企業の初のこの挑戦は、重大な意義を持ち、今後業界でも影響が波及する、と輿論は見ている。

応援する中国民衆

北京市にあるグーグル社中国本部ではこの二日間、グーグル社のネームプレートには多くの花束や称賛の言葉の書かれたカードが飾られ、グーグルの勇気を応援するネットユーザーらが次々と姿を現している。夜、蝋燭を持って徹夜でビルの前で見守る人々も少なくない。上海オフィスにも多くの人々が訪れている。

グーグル社が12日、自社中国サイトの自主規制解除を宣言した後、グーグル中国サイトで、今までフィルタリングされていた六四天安門事件の写真が閲覧できるようになっている。そのほか、チベット事件や、法輪功に関する中国当局の宣伝と異なる内容もグーグル中国サイトで閲読できる。

グーグルに応援の声を上げているのは、民間だけではない。中国共産党機関紙「人民日報」に所属する英字紙「グローバルタイムズ」は14日、中国当局にネットの自由を促す記事を出しており、グーグル社が中国から撤退することは中国にとって大きな損失であると警告する。

人気ポータルサイト「163.COM」が1万4千人を対象にしたネット調査では、78%の人が、グーグル社の中国撤退を「望ましくない」と答えている。

ネット権利を主張する活動家らは、ネット上で署名運動をスタート、北京当局のネット検閲や言論の自由の禁止を非難、ネットユーザーらに当局のネット閉鎖を受け入れないように呼びかけている。

米政府も高い関心

グーグル事件に、米政府は強い懸念を示している。ホワイトハウスのギブス報道官の発表によると、オバマ政権はすでにグーグル社と言葉を交わしている。オバマ大統領も、中国でのネットの自由を支持する態度だという。

クリントン米国務長官は中国に、グーグルに対するハッカーの攻撃事件に対して説明するよう求めている。「深刻な懸念と疑問を持っている」とコメントした。クリントン長官は来週、オバマ政権が21世紀のネットの自由に関する新たな政策を発表する予定。

13日に開かれた米国会の公聴会では、グーグル事件も議論された。シアー国務副次官補は、国務省は米グーグルから本件の報告を受けたと明らかにし、中国当局に対して、ネット検閲やサーバー攻撃への説明を求める考えを示した。

グーグル社が12日の声明を行ったのは、グーグル電子メールユーザーに対する中国国内ハッカーからの攻撃だった。グーグル社トップ管理層によると、この攻撃の目的は、中国の人権活動家と見られるユーザーらの電子アカウントに侵入すること。

かつて、ヤフー社が中国の反体制民主活動家の電子メール内容や個人情報を北京当局に提供したことで批判された事件があった。

主要メディア:中国の言論閉鎖を亡くす重大な一歩

グーグルの選択に、世界主要メディア各社が社説を相次いで発表、高く評価している。

英インデペンデント紙は、4年前グーグルは自社の「悪いことをしない」原則を破って中国当局の検閲に妥協したが、今回の中国当局との対決は正しい決定だとコメント。

英フィナンシャル・タイムズ紙は、中国市場を失っても、グーグルが声明の通り堅持することは大きな意義を持つと指摘。中国当局の言論封鎖が出来なくなる方向に向かう重大な一歩であると評価している。

英ガーディアン紙は、グーグル社と同じように、みんなの努力で早めに中国のネット閉鎖の壁を打ち破ろうと呼び掛けている。

シリコンバレーにも波及する影響

グーグル社の決定は、今まで中国のマーケット進出に妥協の態度を取ってきたシリコンバレーのハイテク大手に影響を及ぼし、これらの企業は再び自社の中国政策を見直すきっかけとなると、アナリストらは見ている。

アメリカ西海岸の「サンノゼ水星」紙のコラムリスト、クリス・オブラヤン氏は、グーグル社の12日の声明は、中国当局と対決する先駆者として、シリコンバレーのハイテク業界に大きなインパクトを与えると分析する。「シリコンバレーの企業は現在、岐路に立たされている。グーグル事件の結果が、これらの企業の今後の行方を決める。シリコンバレーの今後の中国政策に大きな意味を持つ」という。

ネットの自由を研究するハーバード大学法学院のJohn Palfrey教授は、ウォールストリートジャーナルに、「米国大手が今まで行った最も重要かつ大胆な声明」、「中国当局への我慢には限度があると、明確な態度を示しており、大いに元気付けられる行動である」とのコメントを寄せている。

(報道・趙MJ)