【大紀元日本12月9日】12月5日、東京・文京シビックセンターで、大紀元主催の講演会「2010年 中国はどこへ」が開催された。この講演会の発言者として来日した香港大紀元の呉雪児編集長より、香港から見た中国の現状、中国の未来に向けての展望などが述べられた。
呉編集長の講演の要旨は、以下の通り。
香港の自由に驚く中国人
香港が英国の植民地だった時代には、完全な自由はなかったとしても、香港市民は近代的な自由や権利という価値観を学び取った。しかし97年12月、香港が中国に返還されて以降、香港の自由は明らかに後退した。
とは言え香港では、中国国内ほどの制約はない。香港へ観光に来る中国人は、デモやパレードが行える香港の自由な空気に触れて驚く。ここ数年の傾向としては、中国で陳情しても聞き入れられない陳情者が、わざわざ香港に来て訴えていることである。
法輪功(ファルンゴン)は中国では弾圧されているが、香港では全く自由である。香港の多くの観光地では、法輪功学習者が中国人観光客に向けて迫害の真相を伝える活動を盛んに行っている。中国人観光客は、そこに掲げられた横断幕を目にし、中国国内では知ることのできない真相を知って驚くとともに、配布された『九評共産党』を読んで、自由な世界と封鎖された世界とのあまりの落差に衝撃を受けるのである。
人民日報のある記者(注、邱明偉氏。「人民日報」傘下の雑誌記者。今年7月1日、出張先の香港で民主パレードに参加したところを撮影され、帰国後、中国当局から糾弾された。7月末に香港に脱出)が8月23日、香港で会見し、中国共産党からの脱党を公に宣言した。その記者によれば、「人民日報」内部にも中国政府に対する不満が充満しているという。
「最前線」にある香港
香港は、中国人に真相を伝える最前線だ。今年7月、新疆でウイグル人に対する弾圧がおこなわれたが、その後、香港で『九評共産党』の配布が急速に進むという現象が現れた。以前は、恐れて『九評共産党』を受け取らない中国人が多かったが、今では自ら求めてくるようになった。
一方、香港が中国に返還されて以来、大紀元以外の香港のメディアは中国政府からの圧力を受けたため、メディアでありながら「自己検閲」しなければならないというマイナス面も出てきている。一国二制度とは言え、香港政府は中国政府に従属している。昨年3月のチベット弾圧の時にも、香港でそれを報道したのは大紀元だけだった。
05年から香港大紀元は日刊紙になった。06年2月からは自前の印刷機器を持つことになったが、その始動から2週間後に、4人の暴漢が乱入して製版機を破壊するという事件が起きている。その時は、ある印刷業者が自ら協力を申し出てくれて、発行を続けることができた。
現在は週に5回街頭で配布しているが、4万部をわずか2時間で配り終わるほどの人気である。香港市民の間では、真実の中国情報を得るには必ず大紀元を読むということが確実に定着している。
ますます重要になる香港の意義
来年以降中国はどこへ向かうかという、本日の主題について考えてみたい。今後、中国国内の抗議事件はますます増えてくるだろう。しかし、中国の現体制はそれらの社会問題を解決できない。中共幹部の腐敗が進むほど民衆の不満は増大し、さらに不安定な状況に陥る。私たちが得た情報によれば、新型インフルエンザは中国国内ですでに大流行している。中国のある呼吸器専門医の証言では、中国国内の死亡者数は非常に深刻な状況であるという。
香港の存在は、中国の民衆に希望をもたらすものだ。六四天安門事件のときに百万人デモを行ったように、香港市民は中国政府のコントロールに対して断固反対する。
一国二制度は、実は香港だけのものではない。いまや世界中の国が、中国と断ち切れない複雑な関係を持っているからだ。中国共産党政権は、その被害者の鮮血で染められており、文明社会に全くふさわしくない政権である。私は、この香港の経験が国際社会への啓発になることを願っている。
今回の講演会では、日本大紀元の張本真記者も発言し、この1年間に中国共産党政権下の中国で起きた事件および事象について報告した。その中で同記者は、中国では7分に1回の頻度で抗議事件が起きており、中国政府が弾圧すればするほど激しい民衆の抵抗に直面するという実情を明らかにした。さらに同記者はカナダ政府の実例を挙げて、国際社会は人権問題などの面から中国に対して毅然とした態度を取るべきだと述べた。
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