【大紀元日本1月18日】拓殖大学客員教授で、「塗り変わる世界地図(ビジネス社)」などの著書で知られる藤井厳喜氏は16日、大手町サンケイビル3Fで「2007年外交展望」という演題で講演を行い、中国・朝鮮半島、台湾、米国などの政権交替を中心に、日本をとりまくこれからの戦略環境について予測分析し解説した。
藤井氏は、隣国中国について、先端技術をとりいれて物作りに取り組んでいるが、近代資本主義が根付いておらず、清朝末期とあまりかわらない意識構造だと批判した。近代資本主義には、マックス・ウェーバーが指摘したようにプロテスタント的な禁欲主義がその受け入れの素地になるのだが、日本は江戸末期までに奉仕社会から来る勤労・勤勉の精神があって、明治になって初めて近代資本主義を取り入れる素地ができあがっていたと指摘、「世界でも全くめずらしい」と述べた。
プロテスタント的禁欲主義では、勤労を美徳として浪費に対し禁欲的になるために「資本」が蓄積し、それを投資してまた回収する生活動作で、中国に3000年前からある「拝金主義」とは、一線を画するものであると解説した。自由市場というフィクションは、個人に倫理感と道徳心があって、しかも法律を守る遵法精神があって初めて実現し成立するもので、遵法精神のないところに自由市場は存在しないと述べた。
また、日本の人口が将来的に減少するにあたり、先進国の欧米諸国もこれと同様に減少し、世界の人口増加の中で、先進国の人口は絶対的にも相対的にも減少傾向になると指摘、中国大陸での反日暴動で現地法人が「接収される」危険性を指摘した。米国経済は、第二次世界直後には、世界総生産の約65%を占めていたが、2003年当時にはこの割合が32-3%にまで落ち込んでおり、相対的な経済力の凋落は、軍事的な優越性に直接的に影響して、その世界におけるリーダシップは、凋落の傾向が避けられないだろうと予測した。
米国の力が世界の中で、相対的に落ち込んでいく中で、世界は「多極化」に突入すると予測、これまで「世界のルール作り」の役割を果たしてきた米国が、能力と意志を喪失し、「孤立主義」に陥る時、世界は一種の「群雄割拠」状態となり、「新しい中世」を見ることになると大胆予想した。
また、米議会左派「民主党」のクリントン氏は、ワシントン・ジャーナル紙が96年当時からバッシングしているように、既に多額の政治資金が中共から入っている「生え抜きの親中派」だと指摘、次期米国大統領選挙では、イラク戦争の膠着もあって、共和党現政権に替わり、この民主党が勝利するだろうと予測した。朝鮮半島については、二期連続で「金大中―慮武鉉」という親北政権が発足したが、既に北の対南工作は功を奏しており、次期大統領選では与野党いずれが勝つにせよ「反日」政権が樹立されることは避けられないとの認識を示した。台湾次期総統選挙では、国民党主席の馬英九氏が勝つ公算が高く、やろうとしていることは、「第三次国共合作」だと批判、米次期政権の可能性が高い民主党が中国を戦略的パートナーとしてとらえたら、台湾が「反日」に転向することも充分ありうるとの危機感を示した。
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