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尹錫悦韓国大統領の「罷免」決定 60日以内に大統領選

2025/04/04
更新: 2025/04/04

韓国の憲法裁判所は4日午前、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する弾劾審判で、弾劾は妥当との判断を示し、尹大統領を罷免すると宣告した。尹氏はこれにより即時失職し、韓国憲政史上、弾劾により罷免された2人目の大統領となった。

同日午前11時、ソウル市内の憲法裁判所で開かれた宣告公判において、尹大統領の罷免が言い渡された。文炯培(ムン・ヒョンベ)所長権限代行が午前11時22分に「尹錫悦大統領を罷免する」と読み上げ、判決は確定した。

韓国憲法裁は現在8人の判事で構成されており、罷免には6人以上の賛成が必要とされるが、今回は全員一致で弾劾を認めた。今後60日以内に大統領選挙が実施される見通しである。

尹氏は2024年12月3日、非常戒厳令を発令。その後、同月14日に国会で弾劾訴追案が可決され、職務停止となっていた。

戒厳令について尹氏は、「国内の反国家勢力への対応」や「選挙不正の調査」などを目的と説明。また、中国共産党によるスパイ活動が国家安全保障上の脅威になっていると主張し、野党による一方的な立法・予算案の採決が国政運営に支障を及ぼしているとも訴えていた。

憲法裁はこの非常戒厳の発令について、「憲法に違反する重大な行為」であり、大統領権限の乱用にあたると認定。民主主義および法治主義の根幹を揺るがす違憲行為であると判断し、国会による弾劾訴追を正当と認めた。

尹大統領は当初、憲法裁判所で内乱罪にも問われていたが、2025年1月3日、その訴因は取り下げられ、審理は戒厳令に関する憲法違反に絞られた。野党は「審理の迅速化につながる」と評価する一方、与党「国民の力」は「弾劾動議の法的欠陥が明らかになった」と反発した。

一方、内乱罪に関する刑事訴追は別の裁判で進行中である。これは、文在寅政権時代に設立された高位公職者犯罪捜査処の勧告を受けて検察が起訴したもの。

尹氏は「違法な捜査」として出廷を拒否していたが、1月15日、市民への影響を考慮して自ら出頭し逮捕された。1月26日に起訴され、52日間勾留されたのち、3月8日、ソウル中央地裁が捜査の適法性や手続き上の問題を理由に逮捕状を取り消し、釈放された。

裁判所は公捜処に内乱事件を扱う権限があるのかについても疑問を示しており、初公判は4月24日に予定されている。

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。