サウスチャイナ・モーニング・ポストは10月13日、事情に詳しい関係者の話として、一部の米企業幹部が来月、深圳で開かれるAPECや関連するビジネスイベントへの参加に消極的だと報じた。日程や議題が十分に示されておらず、具体的な成果や実質的な交流も期待しにくいことが背景にあるという。
深圳では11月にAPEC関連会合が開かれる。APEC CEOサミットは11月17~18日、APEC首脳会議は18~19日に予定されている。
中共は複数の米企業トップに出席を呼びかけている。特に、今年2度にわたり米中高官と接触した企業トップを中心に招待しており、テスラのイーロン・マスクCEO、エヌビディアのジェンスン・フアンCEO、ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモンCEOらが含まれる。
台湾南華大学国際事務・経営学科の孫国祥准教授は、中国共産党(中共)には企業との関係を政治面にも生かし、市場の不安を和らげたい狙いがあると分析する。
孫氏は次のように分析した。
「中共はApple、テスラ、NVIDIA、JPモルガン、Visaなどの経営トップを通じて、米企業が依然として中国市場に大きな事業上の利害を持っているという政治的なメッセージを米国に送りたい。同時に海外の投資家に対し、中国市場は今も開かれており、ビジネスのチャンスがあり、引き続き投資する価値があるとアピールしたい考えだ。当然ながら、これは中国が一定の圧力に直面していることの裏返しでもある。つまり、中共が必要としているのは資金だけではなく、米企業がもたらす技術、受注、サプライチェーン上の地位、国際的な信用、さらには政治的な緩衝役でもある」
一方、サウスチャイナ・モーニング・ポストが10月13日に匿名の関係者2人の話として、一部の米企業幹部はすでに欠席を決めたか、参加に消極的な姿勢を示していると伝えた。
関係者によれば、中共がサミットの議題や関連イベントについて十分な説明をしていないため、一部の企業トップは出席を取りやめた。すでに別の予定を入れたCEOもいる。ある関係者は、中共が企業の参加登録期限を数回延長したことについて、企業側の参加意欲が低いことを示しているとみている。また、多くのCEOにとって、APECのような多国間フォーラムに参加しても、具体的なビジネス成果や価値の高い交流につながるとは限らない。別の関係者は、会議の目的や議題をめぐり、中共と米企業側の認識にずれがあると語った。
サウスカロライナ大学エイキン校ビジネススクールの謝田教授は、米企業と中国が協力できる余地はすでに限られているとみている。
謝氏は「米中は現在、AIやEVの分野で互いに強く警戒し、激しい競争を続けている。巨額の投資も行われている。AIやSIには潜在的な軍事用途もあるため、投資は非常に敏感な問題であり、国家安全保障にも関わる。米国による規制や制限は今後も続くだろう。協力できる余地はすでにかなり小さくなっている」との見方を示した。
最近の動きを見ると、エヌビディアのジェンスン・フアン氏の対中戦略は、新たな生産拠点を拡大することではなく、規制の制約下で輸出許可を確保し、中国の顧客との取引を維持することに重点が置かれている。一方、テスラは上海ギガファクトリーの生産能力を拡大しているものの、スペースXではサプライチェーンから中国への依存を減らす動きが進んでいる。生産ラインから中国籍従業員を外す動きや、中国製設備を排除する取り組みも進めている。
孫氏は、スペースXやスターリンク、航空宇宙分野のAIについて、中国と協力できる余地は最も限られていると分析する。
「低軌道衛星、通信ネットワーク、ロケット打ち上げ、宇宙インフラはいずれも軍民両用の性格が強い。中国もスターリンクを非常時の通信手段や情報浸透、宇宙競争に関わるツールとみている。そのため、マスク氏は中国で自動車を販売し、サプライチェーンを構築することはできても、スターリンクを本格的に展開したり、中国と航空宇宙分野で深く協力したりするのは難しい」
識者らは、問題の本質は米企業トップをAPECに招けるかどうかではなく、投資と企業の信頼を維持できるかどうかにあると指摘している。
孫氏は、企業が最も重視するのは予測可能性だとする。
「企業が本当に見ているのは、政策が突然変わらないか、データ関連規制や反スパイ法の適用範囲がさらに広がらないか、利益を国外へ送金できるか、サプライチェーンが政治問題化しないか、といった点だ。さらに、外資系企業がナショナリズムと国家安全保障審査の板挟みにならないかも重要になる。中共が本当に解決しなければならないのは、こうした制度上の問題である」
謝氏は、中共の最終的な狙いは技術を盗み取ることだとしている。「中共が仕掛けるこうした罠については、国際社会でも次第に認識が広がっている。そのため、企業は安心して中国で本格的に事業を展開できない。そもそも中国に行こうという意欲もそれほど高くない」と述べた。
関係者は、中共が米政府の対中投資に対する強い警戒感を十分に認識しておらず、APECのような多国間フォーラムで得られる実質的な成果を過大評価しているとみている。
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