ラテンアメリカが「右」へ動き出した

2026/10/13
更新: 2026/10/13

ラテンアメリカが、右へと舵を切りつつある。これは、トランプ大統領とルビオ国務長官の主張が正しかったことを裏づけるものとも言える。

ある意味で西半球では、冷戦は実のところ完全に終わったわけではなかった。社会主義思想は、ベルリンの壁が崩れてから長い年月が経ったのちも、中米・南米の国々につきまとい続けてきた。そして、旧ソ連が何十年にもわたって支えてきた、まさにそのキューバ政権が、今日に至るまで権力の座にとどまっている。

強硬左派は、ウゴ・チャベスとニコラス・マドゥロのおかげで、ベネズエラに対する支配も固めたと考えていた。だが1月、米軍がマドゥロ氏を電撃的に拘束し、裁判にかけるためニューヨークへと連行するに至って、その目算は崩れたように見える。

とはいえ、南米たちの大半が独裁者に支配されているわけではない。ラテンアメリカの選挙は、左派と右派のあいだを行きつ戻りつ揺れ動いてきた。

いまやラテンアメリカ諸国は一斉に右へと傾きつつある。先日、この地域で最大の国が、そのことを劇的に示してみせた。

ブラジルではトランプ大統領が2年前に再選されて以来、最大規模の右派の巻き返しが起きている。

フラビオ・ボルソナロ氏は、父であるジャイル・ボルソナロ前大統領が自宅軟禁下に置かれているなか、最近行われた同国の大統領選の第1回投票で、得票率において左派の現職ルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ氏を破った。

ボルソナロ氏は得票率47%で、ルラ氏の45%を上回った。さらに、ほかの右派寄りの候補が5%近くを集めたことから、25日の決選投票に向けたボルソナロ氏の展望は明るい。

これだけでない。右派、そしてボルソナロ家そのものが、同国の議会選挙でも大きく躍進したのである。

「ボルソナロ一族は、自らが争ったすべての選挙で勝利を収めた」と、ブエノスアイレス・タイムズは伝えた。

前大統領の妻ミシェル氏、次男カルロス氏は上院議席を獲得。三男ジャイル・レナン・ボルソナロ氏は下院議員に選出され、前大統領の弟レナト氏もまた、下院議員に当選した。

彼らの政党である自由党は、上院議員の数を15人から28人へと、ほぼ倍増した。そして下院では、1988年に同国の現行憲法を施行して以来どの政党よりも多くの議席を獲得した。

最近の選挙では、同国の保守政党も健闘した。ブラジルの人々は、ルラ氏が体現する左派政治とは、もう決別するのだという明確なメッセージを送ったのである。

この点で、ブラジルの有権者はラテンアメリカ全域の有権者と歩調をそろえて動いている。彼らは、選挙のたびに左派政権を退けるか、あるいはすでに政権の座にある保守派を再選させてきた。

まるでこの2年間ラテンアメリカ全体が、それぞれの国でトランプ氏の2024年の再選を再現してきたかのようである。

米国際開発庁(USAID)が解体されて以来、中米でも南米でも左派は国政選挙で一度も勝っていないとソーシャルメディア上で皮肉交じりに指摘する人もいる。

チリ、ボリビア、ペルー、エクアドル、コロンビア、ホンジュラス、そしてコスタリカは、いずれも右へと動いた。アルゼンチンでも、ハビエル・ミレイ氏の政党が左派の挑戦を退け、昨年の議会選挙で大勝した。

これは単に米国の納税者の資金が、進歩派の非政府組織(NGO)を通じて、左派の外国勢力が利用する人道支援活動へと流れ込まなくなったからだけではない。

冷戦期にワシントンが、第三世界における共産主義の魅力を弱める手段と位置づけていた国際援助の仕組みが、長年にわたり世界の左派勢力を抑えるどころか、むしろ後押しをしてきた。

それはワシントンのレトリックについても、同様に当てはまる。

後にロナルド・レーガン政権で国連大使を務めることになるジーン・カークパトリック氏は、1970年代後半次のように論じた。ワシントンは、左派の敵対勢力の多くよりも、右派の友好国を冷遇している。まるで、共産主義や社会主義を打ち負かすためには、米国自身も左派的な価値観に訴えかけられることを示さなければならないかのようだ。

トランプ氏とルビオ氏は、これとは正反対の道をとっている。両氏は自国に近い西半球において、親米的で右派寄りの政権を後押しする。

こうした姿勢は、中米・南米の人に左派政権から脱却するための精神的な励みを与えてきた。レーガン大統領が、自由と共産主義とのあいだに描き出した鮮烈な対比で、ベルリンの壁を打ち壊すよう東欧の人々を奮い立たせたのとよく似ている。

東欧の人々は、共産主義がいかに抑圧的であるかを誰よりもよく知っていた。だが、西側諸国が道徳的な妥協や譲歩を重ねるだけでなく、本当に別の道を支持する意思を持っているのかどうか、彼らには疑うだけの理由があった。

国務省やワシントンの外交政策エリートたちは、米国は十分に立派な国ではないと考える傾向にあった。そして、左派政権が掲げる理想、実際には欺瞞に満ちていると批判される理想に見合う国であることを、米国は証明しようとしてきた。

トランプ政権の姿勢はそれとは異なる。米国は自国に誇りを持つべきだというのが基本的な立場である。恨みや羞恥心よりも希望や誇りが大きな意味を持つ地域では、こうした姿勢の転換が成果を上げている。

ラテンアメリカの人々は、自分たちに別の選択肢があることを知っている。中南米の人々は、その選択肢が明確になったことで自分たち自身の「トランプ」を選び取りつつあるのだ。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
1957年に創刊された米国の代表的な保守主義の学術・評論季刊誌『モダン・エイジ(Modern Age: A Conservative Review)』の編集長