中国でAI制作の急拡大によりショートドラマ俳優の仕事が激減。帰郷して農業や野菜販売に従事するケースが相次ぎ、映像業界では「半数が失業」との指摘も出ている。コスト格差と雇用崩壊の実態を追う。
こうした状況について、「楽華エンターテインメント」創業者兼CEOの杜華は、バラエティ番組『姐姐当家』で「現在、芸能界の半数が失業状態にある」と述べた。また、自社の所属タレントに対し、「AIはトップクラスのタレントは代替しないが、一般のタレントは代替される」と指摘した。
俳優が帰郷、野菜販売に転身する現実
俳優の許鵬は、「覇道社長」役で知られ、『一念関山』『暗河伝』などに出演してきた。近年はAIによるショートドラマの増加により仕事が減少し、「現在は仕事がない状態だ」としている。現在は山東省の農村にある実家に戻り、祖父とともに市場で野菜を販売しているという。
34歳の江峰も、かつてはショートドラマに出演していたが、2026年以降は映像作品のオファーがなくなり、実家で母親の野菜販売を手伝っている。母親はこの仕事を世間体のよくないものと感じており、親子で抱き合って涙を流したこともあったという。
こうした事例は、AIが中国の映像産業に与えている影響を示すものとして注目されている。
AI制作95%超、圧倒的なコスト差
データによると、2026年第1四半期に中国で公開されたショートドラマは約12万8000本で、このうちAI制作は約12万2000本と、全体の95%以上を占めている。
制作コストにも大きな差がある。AIによるショートドラマは一つが3000元から5000元(約6万円〜10万円)程度で制作可能で、3人のチームが5日で80話を制作できるとされる。一方、実写撮影には50万元から100万元(約1000万円〜2000万円)が必要で、コストは100倍以上に上る。
「芸能界の半数が失業」発言の波紋
中国メディアによると、映画撮影拠点として知られる横店では、今年に入ってショートドラマの制作本数が80%減少した。登録されているエキストラ約1万人のうち、仕事があるのは700人から800人にとどまっている。時給も300元から13.5元(約6000円から約270円)へと大幅に下落し、6割以上が月収2000元未満(約4万円未満)となっている。
また、横店で「演技王」と呼ばれる呉維斌も、40日以上仕事がない状態が続いている。かつて月収3万元(約60万円)だった39歳の俳優は、現在は山で山菜を採る生活を余儀なくされている。さらに、劉昊然や董子健といった俳優も、公の場で仕事を求める発言をしたことがある。
こうした中、中国の芸能界では「失業の波」や映像プロジェクトの縮小が議論となっている。杜華は、「芸能界の半数が失業状態にある」と改めて言及した。
この発言は業界内外で反響を呼んだ。杜華は「トップクラスのタレントは代替されないが、一般のタレントは代替される」と述べ、個人としてのブランドや独自性を持たないタレントは厳しい状況に置かれているとの認識を示した。出演料の下落も避けられない状況にあるとしている。
さらに杜華は、今年初めに新たな動画生成モデルが登場して以降、横店の撮影チーム数が減少し、タレントの仕事も減っていると説明した。AIはすでに、出演や吹き替えなどの基本的な業務を低コストで担うことが可能となっており、従来の制作現場に影響を及ぼしている。
加えて、AIアニメ作品の増加により、制作コストを抑えながら一定の品質を確保できるようになっており、ショートドラマに出演していた俳優の間で、失業への懸念が広がっている。
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