中国 検閲が「白紙革命」を思い出させた

スパイダーマン上映イベントで「白紙騒動」 動画削除が裏目に

2026/08/01
更新: 2026/08/01

中国で公開を控えるマーベル映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』(中国題『蜘蛛俠:嶄新至日』)の上映イベントが、予想外の騒動を呼んでいる。

7月28日、安徽省合肥市の映画館で先行上映イベントが開かれ、多くのファンが映画ポスターを掲げて記念撮影を行った。

ところが、会場を後方から撮影した映像では、撮影角度の関係で観客が掲げた映画ポスターの裏面だけが映り、一面の「白紙」のように見えた。この映像は、2022年に中国各地で起きた「白紙運動」を思い起こさせるとして、SNSで大きな話題となった。

その後、動画のコメント欄は削除され、動画自体も閲覧できなくなった。

しかし、この対応が騒動をさらに拡大させた。

ネット上では「削除しなければ、ただの映画イベントで終わっていた」「わざわざ消したから、白紙運動を連想する人が増えた」といった投稿が相次ぎ、話題の中心は映画そのものではなく、動画の削除へと移っていった。

海外のSNSでも、「一枚の白紙まで気にするのか」「隠そうとして、かえって世界中に知られる結果になった」と皮肉る声が広がった。

もともとは、撮影角度の影響でポスターの裏面が白く見えただけの映像だった。しかし、削除という対応がかえって「白紙運動ではないか」との見方を広げ、白紙運動への連想を一層強める皮肉な結果となった。

2022年11月、中国では厳格な「ゼロコロナ政策」に抗議する市民が各地で白い紙を掲げる「白紙運動」が広がった。白紙は「言いたいことさえ自由に言えない」という状況を象徴するものとなり、習近平政権下で最大規模の市民抗議として世界の注目を集めた。その後、参加者への取り締まりやネット検閲が進み、関連する話題は今も中国では強いタブーとされている。

今回も映画イベントとは無関係だったにもかかわらず、動画が削除されたことで、「当局自身が白紙運動を意識している証拠ではないか」と受け止める声が広がった。

皮肉にも、白紙を掲げた人は誰もいなかった。しかし、「白紙」を消そうとした対応そのものが、4年前の白紙運動の記憶を再び呼び起こす結果となった。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!