国際決済銀行が警告 世界経済の安定を脅かす四つの懸念事項

2026/06/29
更新: 2026/06/29

国際決済銀行(BIS)は28日「年次経済報告(Annual Economic Report)」を発表し、現在の人工知能(AI)投資ブームにバブルリスクがあると警告した。ハイテク分野の収益が期待を下回った場合、長期的な設備投資の低迷を招き、世界の金融市場に連鎖的な打撃を与える可能性があるという。現在、AIを含め、世界経済の安定を脅かす四つの主要な懸念事項が存在するとした。

AI分野の投資にバブルの懸念

フィナンシャル・タイムズの6月28日の報道によると、スイスのバーゼルに本部を置く各国中央銀行の協力機関であるBISは、世界の5大「超大規模クラウドサービス事業者」が2025年から2026年末にかけてAI関連インフラに総額1兆ドル超を投じる見通しであることを指摘した。しかし、投資リターンが期待外れとなった場合、資金調達規模が急激に縮小し、設備投資の活況が長期的な投資低迷へと転じる恐れがあるとした。

報告書は、1830年代の運河拡張、1840年代の英国の鉄道ブーム、1990年代末のインターネットバブルを前車の轍として取り上げ、これらの歴史的事例にはいずれも共通の特徴があると指摘した。すなわち、技術的な飛躍が、商業的リターンの支えうる水準を大幅に超えた資本を引き寄せ、最終的にはいずれも投資規模の反転と景気後退で幕を閉じたというものだ。

ドイツの保険グループ、アリアンツ(Allianz)の最高投資責任者もこの問題について、AI市場はすでに「バブル領域」に入っていると警告した。

報告書 四つの懸念事項が世界の安定を脅かす

報告書は、現在の世界経済が四つの主要な懸念事項に直面しており、そのうちの一つがAI投資に関連するものだと指摘した。

四つの主要な懸念事項は以下の通りだ。

(一)インフレリスクの再燃。BISは、供給の断絶が頻発することでインフレ期待が押し上げられる可能性があると警告した。デコス総裁は、中東での停戦とホルムズ海峡の再開通は米国とイランにとって朗報だが、石油市場が正常化するには時間がかかり、インフレへの影響はすでに顕在化しており長引く可能性があると述べた。

(二)AI投資の持続可能性への疑問。報告書は、供給のボトルネックと激しい競争が過剰投資を招き、過去に見られたような好景気と不況の繰り返しを引き起こす恐れがあると指摘した。

(三)金融脆弱性の上昇。高水準の資産評価額と投資家の楽観ムードが主要債券市場の脆弱性を高めており、AIへの資金調達は債務や複雑な金融ストラクチャーへの依存度を増している。BISの通貨・経済局長代理フランク・スメッツ氏は、国債の価値がより頻繁かつ大幅に下落し、金融環境が急速に引き締まる事態を招きうると警告した。

(四)財政状況の持続的な悪化。記録的な水準に達した国家債務と、高レバレッジのヘッジファンドが主導する債券市場が相まって、財政・金融安定リスクの連鎖を生む新たな火種となりうる。

政策立案者に即時行動を促す

BISの報告書は、ここ数か月の世界経済が引き続き底堅さを保っているものの、主要各国は安定維持に向けて断固たる行動を取らなければならないと強調した。

報告書はまた、各国政府に対し、物価安定の維持、財政の持続可能性の確保、ノンバンク金融機関の監督強化、そして構造改革の積極的な推進を優先課題として取り組むよう促した。

BIS総裁パブロ・エルナンデス・デコス氏はこれについて、「政策対応は相互に連携し、世界経済の足かせとならないようにしなければならない。最終的な成果は健全な財政・金融基盤にかかっている」と述べた。さらに各国は早急に債務水準を引き下げる必要があるとした。

デコス氏は「先送りすれば、避けられない調整のコストはさらに高くつく」と警告した。

高杉