カナダ国防相 ノーテル破綻を教訓に知財流出に警鐘 ファーウェイ台頭期に失速

2026/08/07
更新: 2026/08/07

カナダのマクギンティ国防相は6日、通信大手ノーテルの経営破綻を念頭に、外国勢力によるカナダ企業の技術・知的財産の取得リスクに対し、警戒を続ける必要があるとの認識を示した。

同氏はアルバータ州カルガリーでの記者会見で、中国共産党政権などによる先端技術の不正取得を防ぐ政府の対応について問われ、「警戒を怠ることはできない」と述べた。

「ノーテルで起きたように、時間の経過とともに知的財産が失われる問題をわれわれは経験している」と指摘。人工知能(AI)分野についても、「カナダが主要な役割を担いつつある中、政府が責任を負う重要分野だ」と強調した。

ノーテルはカナダを代表する技術企業として成長したが、経営が悪化し、2009年に破産保護を申請した。同時期、中共当局の支援を受ける通信機器大手ファーウェイ(華為技術)が国際市場で急速に台頭した。

ノーテルの元上級セキュリティー顧問は、在籍中に中共当局が支援するハッカーによる知的財産窃取を確認し、社内に警告していたものの、十分な対策が講じられなかったと証言している。

外国勢力による知的財産流出とノーテル問題を関連付け、カナダ閣僚が公に言及したのは今回が初めてとなる。

マクギンティ国防相は、ノーテルへのサイバー侵入を教訓に、政府は技術流出防止に向けた安全保障体制を強化してきたと説明。「安全保障・情報機関はこうした活動を継続的に監視し、対応している」と述べた。

また、7月に中国の調査船2隻が米国の北極圏海域を通過したことについて、カナダ軍による監視状況を問われると、マクギンティ氏は「カナダ領海を含む主権領域内の活動を把握している」と説明。「通常の監視を超える態勢で対応している」と述べた。

ノーテル事件 ファーウェイ台頭の陰で技術流出疑惑

かつて世界有数の通信企業だったノーテルは、2000年代後半に競争力を失い、2009年に破産保護申請に追い込まれた。

一方、ファーウェイは同時期に国際展開を加速させ、ノーテル出身の技術者らを採用。その中には、元ノーテル技術者のウェン・トン氏も含まれる。同氏はファーウェイ・カナダへ移籍後、同社の5G技術研究を率いる立場となった。

カナダ安全情報局(CSIS)のアジア太平洋地域担当元責任者ミシェル・ジュノー・カツヤ氏は2020年、カナダ情報当局が過去にノーテル幹部へ、中共のハッカーによる知的財産流出を警告していたと明らかにした。

同氏によれば、当局は「中共のハッカーが知的財産を吸い出している」と伝えたものの、ノーテル側は十分な対応を取らなかったという。

ノーテルのデータへのサイバー攻撃は2000年から2009年頃まで続いたとされる。元上級サイバーセキュリティー顧問ブライアン・シールズ氏は、2004年に侵入を把握し、攻撃元を中共政権に追跡したと述べている。

シールズ氏は、ノーテルの衰退によって最も利益を得た企業としてファーウェイを挙げ、「突然成長した通信機器メーカーはロシアやフランスの企業ではなく、ファーウェイだった」と指摘した。

ただし、同氏はファーウェイがノーテルから流出した機密情報を直接取得したことを示す証拠はないとしている。

ファーウェイ側は、ノーテルへのサイバー攻撃や同社の経営破綻への関与を一貫して否定している。