パナマ運河中国パナマ友好碑撤去 トランプ圧力で米中対立激化 中国抗議

2025/12/30
更新: 2025/12/30

パナマ運河入り口の中国・パナマ友好記念碑が12月27日夜、地元命令で撤去。トランプ氏の「支配取り戻せ」警告直後、中国側が「友好に痛手」と抗議。米中対立の象徴的事件が運河の未来を揺るがす。

この動きは、トランプ大統領がここ数カ月にわたり、「アメリカはパナマ運河の支配を取り戻すべきだ」と警告していた中で起きたものである。トランプ氏は、中国共産党が運河の運営に過度な影響力を持っていると批判してきた。

AFP通信によると、この記念碑は2004年に建てられ、中国とパナマの友好を象徴するものとして設置された。しかし現在のパナマ・アライハン(Arraiján)市長室の命令により撤去した。

市長室は声明で、この記念碑は「アメリカ橋を見下ろす水路の近くに位置し、構造上の損傷が確認され、「安全上のリスク」をもたらしていたと説明した。

中国共産党の徐学淵・駐パナマ大使は撤去現場を視察した後、この出来事が中国とパナマ両国の友好関係に「大きな痛手を与えた」と述べた。また、中国共産党(中共)外交部の林剣報道官も29日、パナマ地方政府による「強制撤去」に強い不満を表明し、パナマ政府に対して「厳正な申し入れ」を行ったと発表した。中共側はこの件について、パナマ側に徹底的な調査を求めている。

パナマのホセ・ラウル・ムリーノ大統領は、地方政府による記念碑撤去の決定には「いかなる正当な理由もなく、非合理的である」と批判した。

トランプ大統領の「運河支配取り戻せ」警告の影響

パナマ運河(全長約80キロ)は、アメリカと中国の両国が主要な利用国であり、世界の海上貿易の約5%がここを通過している。そのため、この地域は米中のせめぎ合いの焦点となりつつある。

パナマ運河は1914年に完成し、その建設と管理においてアメリカが重要な役割を担ってきた。アメリカは運河完成後も支配権を維持していたが、1977年、当時のカーター米大統領が条約に署名し、運営権をパナマに移譲した。

現在、運河の管理権はパナマ運河庁に属しているものの、近年では中国共産党のパナマおよび運河への影響力が拡大しており、アメリカ政府はこれを懸念している。太平洋側と大西洋側にある5つの港のうち、2つは香港のCKハチソン(長江和記実業)傘下の子会社が運営している。

トランプ氏はこれまで再三にわたり、「実際のところ中共がこの運河を運営しており、アメリカはそれを取り戻すつもりだ」と述べてきた。トランプ政権がパナマ政府に圧力をかけた結果、今年3月、香港のCKハチソン(李嘉誠一族が支配)側は、傘下のパナマ運河港湾事業を米資本ブラックロック主導のコンソーシアムに売却することで合意した。しかし、中国共産党の妨害により、この取引の行方はいまだ不透明なままである。

また、アメリカの圧力を受け、ムリーノ大統領は中国共産党との「一帯一路」協定を更新しない方針を表明している。

張婷