1月にベネズエラの社会主義指導者ニコラス・マドゥロを排除したトランプ政権は、汚職、放置、窃取が長年にわたり積み重なった同国の再建にいま取り組んでいる。
マドゥロ政権、そしてチャベス前政権の下で、ベネズエラはかつて南米で最も豊かな国であり、世界でも上位20位に入る富裕国の一つとされた地位から、「破綻した産油国」へと転落した。
2014年から2021年にかけて、同国の国内総生産(GDP)は70%超縮小した。
さらに、同国の通貨ボリバルが2018年に月率234%、2020年には再び月率150%を超えるハイパーインフレに見舞われたことにより、国内の富や貯蓄の大部分が蒸発した。
この国は今後どうやって再建していけばいいのだろうか。
米ジョンズ・ホプキンス大のスティーブ・ハンケ教授は、米保守系ニュースサイト『デイリー・シグナル』に対し「まず重要なステップは、暴落している通貨を安定させることだ」と語った。
「もしインフレの魔人を瓶の中に戻せなければ、何をやっても、ほとんど何も変わらないだろう」との見方を示した。
1997年にハンケ教授がブルガリアの顧問を務めていた際、同国も制御不能なインフレや銀行危機などの経済問題に直面していた。彼が提案した解決策は、国内通貨を外国通貨(米ドルやユーロなど)の準備資産で100%裏付けし、固定為替レートを適用する「通貨委員会」の設置だった。
ハンケ教授によれば、「インフレ率は月率242%に達していたが、7月に通貨委員会を導入すると、インフレは即座に抑制され、年率で10%を下回った」という。
導入から1年以内に、ブルガリアの外貨準備は3倍に増加、短期金利は2%まで低下し、銀行システムは健全性を回復、経済は再び成長軌道に乗った。
昨年1月1日、ブルガリアは条件を満たしてユーロ圏に加盟した。
このモデルに倣い、エストニアやリトアニア、ボスニアなどの国でも通貨安定が達成されたとされる。
ハンケ教授は1990年代に当時のベネズエラ大統領ラファエル・カルデラにも通貨委員会の導入を勧めたが、「当時とは状況が異なる」と述べた。
「法の支配は著しく悪化しており、現時点で通貨委員会を勧めることは決してない」とハンケ教授は語った。代わりに、ベネズエラはボリバルを完全に廃止し、米ドルを国の通貨として採用すべきだと語っている。
この「ドル化」と呼ばれるプロセスでは、「中央銀行と自国通貨を実質的に廃止し、通貨委員会が固定為替レートで用いるはずだった基軸通貨に置き換える」と説明した。
ハンケ教授は、マクロ経済の安定がいったん確保されれば、政府は「やるべき他の課題を少しずつ取り除いていくことができる」と述べた。
また、ニュージーランドや英国でマーガレット・サッチャー元首相が行った大規模な改革、あるいはチリの「シカゴ・ボーイズ」による改革のような事例を挙げつつ、「こうした大改革は一夜にして起こったものではない。信頼と勢いを構築し、その勢いを生かしつつ機を捉えて一つずつ課題を片付けていく必要がある」と語った。
マドゥロ氏の拘束以降、ベネズエラが世界最大級の石油埋蔵量を有する点に注目が集まっているものの、その油田や生産設備は長年の管理不全や盗難により設備が老朽化し、かつての生産能力を大きく下回っているとの指摘が出ている。
ベネズエラは膨大な資源を保有しているものの、原油生産は歴史的な低迷状態にあり、インフラ修復や投資が不可欠だとされる。
ハンケ教授は、「チャベス主義は、世界最大級の原油埋蔵量を事実上、価値のないものにしてしまった」と評し、現時点まで米欧の石油会社は再投資に消極的だと語っている。
1月、ベネズエラ議会は石油産業を民間開発に開放することを意図した新法を可決。しかし、投資を国内へ呼び戻すには、さらに踏み込む必要がある可能性が高い。
ハンケ教授は、1980年代にチリが鉱業権(採掘権)制度で整備したような、財産権を保障する信頼性の高い法制度をベネズエラが確立しなければならないと指摘する。
「チリの鉱業法は、健全な財産権と明確なゲームのルールを打ち立てた」と述べる。
「とりわけ同法は、国家による収用が生じた場合、国家が収用された財産から将来生み出されるキャッシュフローの現在価値の全額を所有者に支払わなければならないことを義務づけている」
さらに、外国の投資家がベネズエラ国民と同等に扱われることも規定しているという。
石油以外にも、大きな潜在力を持つ産業として、農業と鉱業が挙げられる。これらもまた、チャベス政権およびマドゥロ政権の下で国有化の対象となった分野だ。
ベネズエラには未利用の農地が豊富にあり、淡水資源も広範に存在する。だが「深刻な法的・政治的リスクの重圧により、土地価格は著しく低迷している」とハンケ教授は語っている。
「財産権の不安定さ、投入財市場の混乱、価格・為替統制、そしてインフラの劣化が重なり、同部門は生産可能性フロンティアを大きく下回る水準に押し込められている」
「加えて、金、鉄鉱石、ボーキサイト、石炭、ニッケル、そしてコルタンのような一部の重要鉱物など、相当量の埋蔵があるが、農業と同様、鉱業もインフラ問題に悩まされている」
米国側の対応として、ハンケ教授は米国の禁輸措置の全面解除を求めた。
「米国がベネズエラに対して直ちに取るべき第一の行動は、すべての制裁を撤廃することだ。これは文字どおり、ペン一筆で実行できる」

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