如果善良會沒命
我該如何教育孩子善良
如果法已不法
我又為何要教育孩子守法
于朦朧──世界欠你一個公道
(邦訳)
もし善良であることが命取りになるのなら、子にその道を如何にして教え諭すべきか。
もし法が既にその正を失っているならば、子にその法を何故に護るよう説かねばならぬのか。
于朦朧 ―― 正義を示すこと。世界はあなたにこの責を負っている。
(中国語圏で拡散したネットユーザー作の詩)

# 注意書き
この連載で取り上げる内容の多くは、中国語圏で市民調査として共有されている情報、台湾メディアや華人セルフメディアの報道、そして世界各国の複数の霊媒が伝えた「霊界からのメッセージ」にもとづいている。
いずれも公式に裏付けられた証拠ではない。しかし、当局が真相解明に動かないどころか関連情報を封じ込めている現状を踏まえると、公的な証拠が今後示される可能性は極めて低いと見られている。
本稿は、市民が「限りなく真相に近い」と受け止めている証言や噂がどのように共有され、人々の心を動かしているのかを記録するものであり、特定の人物・団体の犯罪行為を断定する意図はない。
【証拠なき真相追跡──「全民ホームズ」現象】
最初に述べておくべきことは、こちらには現時点で「証拠は一切ない」ということだ。
(加害者側を守りたい)当局もそう主張するだろう。実際、公式ルートから「決定的証拠」は何ひとつ出ていない。
しかし、それでも。
中国語圏の人々は諦めず、自分たちで情報を拾い、つなぎ合わせ、共有し続けている。当局が口を封じようとする中、市民が自ら探偵のように動き始めたこの現象は中国語圏で「全民ホームズ」と呼ばれている。


公式に提示された確たる証拠は存在しない。当局は証拠の存在を否定し続けている。
それでも、ここまで「闇」の輪郭が浮かび上がってしまった以上、誰ももう「ただの事故」とは信じていない。
(事件を追う人々が制作したショート動画。「疑點重重(不自然な点が多すぎる)」「離奇的死亡(不可解な死)」「消失的助理/經紀人(関係者の失踪)」「全民福爾摩斯・探案緝凶(市民が“全民ホームズ”となって真相を追う)」などの文字が並び、市民の間で“全民追跡”の動きが広がっていることを示している)
【事件の背景──初めて知る読者のために】
2025年9月11日、中国人俳優・于朦朧(ユ・メンロン/ユ・モンロン/アラン・ユー、37歳)が北京の高級住宅地で転落死したと報じられた。当局は「酒の後の不慮の事故」と説明し、数時間で「刑事事件ではない」と結論づけた。

しかし市民調査が示す光景はまったく異なる。
事件の数日前から拘束され暴力を受けていたという話が現場周辺で広まり、団地内には彼のものと思われる悲鳴が長時間響いていたという。ネットには逆さ吊りの人影や、投げ落とされるような瞬間を捉えた映像も流れている。
(于朦朧の声とされる「助けて!(救命啊!)」の叫び声を記録した住民撮影動画)
于朦朧の所属事務所・天娛伝媒の親会社の巨大メディア企業は中国共産党(中共)高官と関係が深いとされ、芸能人はスターであると同時に「黒い資金を動かす名義だけの存在」として扱われていたとの見方も広がっている。
市民調査では、于朦朧の名義で数十社が設立されていた事実も確認され、その中には「兵器」を事業項目とする会社まであった。芸能活動と結びつかないため、「武器ビジネスや資金洗浄に使われていたのでは」と疑う声が強い。

さらに、彼が長期にわたり性的暴力や搾取、虐待を受けていたという情報、そして闇サイトで「投げ落とされるまでの虐殺過程」が生配信されたという情報まで出ている。
加害者として名前が挙がるのは、芸能界の大物、プロデューサー、資本家、パトロン、特権階級の子女など数十名。「最高権力者への生贄として捧げられた」という説すら語られている。

もちろん、司法が認定した事実ではない。
だが、市民がつなぎ合わせた断片は異常な黒さを帯び、「真相が暴かれれば体制が崩壊する」との声すらある。
こうした背景が、「地上の封殺」を生んでいるとの見方が、市民の間で広まっている。
【SNS封殺──事件直後から続く異常事態】
事件が語られ始めた直後から、中国SNSでは「通常の検閲では到底説明できない」規模の封殺が始まったと市民は口をそろえる。
事件に触れた投稿は間もなく消され、投稿者はアカウント凍結。
やがて封殺は内容の有無すら問わず、
・数か月前の「いいね」
・関連ワードの検索
・関連投稿を「見ただけ」
といった理由でアカウントが発言禁止や利用停止になった。
影響力のあるアカウントはほぼ全滅。百万人規模のブロガーも次々と凍結され、復活申請を出しても「審査すらされず」放置された。

さらに異様だったのは、当局が「デマ拡散者」と称して一般市民を次々に拘束し始めたことだ。
封殺はオンラインだけで終わらなかった。
于朦朧の死を不審に思い、真相解明を求める手紙を中央の陳情部門や捜査当局に送った市民は、公安から次々に呼び出されている。
呼び出し先で待っていたのは「事情説明」とは程遠く、尋問室で凶悪犯さながらに扱われる荒々しい尋問と、家族や生活を人質に取った「口を閉じろ」という強要だった。

さらに統制は学校教育にまで及んだ。
11月24日、福建省の中学2年生の月例試験に次のような選択問題が出題された。
「最近、37歳の男性芸能人が“事故で”転落死したあと、一部の者がデマを作り、虚偽動画を拡散し、公共秩序を乱した。公安が立件し取り締まったのはなぜか。」
選択肢には、
・「清朗なネット空間の維持」
・「公民の健全なオンライン行動の保護」
・「不良文化と情報の排除」
など、当局が常に掲げるスローガンめいた「正しい答え」しか並んでいなかった。
問題文には于朦朧の名は書かれていない。
しかし試験問題がネットに出回ると、多くの市民が 「これは明らかに于朦朧事件を指している」 とすぐに気づいた。
海外の中国語圏SNSには批判が相次いだ。
「真相を隠すために、ついに試験問題で洗脳を始めたのか」
「子どもにまで『正しい答え』を押しつけるのか」
「学校を使って真相探しを封じるなんて、どれほど焦っているのか」
市民は言う。
「考える余地すら許さない。これが教育なのか」
そして市民は最後にこう結論づける。
「ここまで徹底して消すのなら、
そこには『絶対に触れられたくない真実』があるはずだ。」

【霊界ルート──霊媒たちが語る“もう一つの真相”】
地上の声が封じ込められる中、「霊界ルート」だけは沈黙していなかった。
国も宗教も異なる複数の霊媒が、互いに連絡を取っていないにもかかわらず、驚くほど一致した内容を語っている。
・于朦朧は「事故」ではなく、生贄のような形で意図的に殺された
・彼には長期間の暴力・監禁・搾取の痕跡がある
・彼は生前、資金洗浄の証拠をUSBに保存していた
・背後には組織的ネットワークが存在し、被害者は彼だけではない
・いまも多くの児童や有名人が地下施設のような場所に囚われている
一部霊媒は・于朦朧遺体は両目をくり抜かれ、「標本」のように処理され、北京の芸術施設に隠されていると伝えている。
科学的証明は不可能だが、市民は言う。
「違う霊媒が同じことを語る。これは偶然では片づけられない」


【地上の沈黙の裏で】
霊界が語る一方で、地上の声は完全に消えたように見えた。
だが、それは当局が望んだ「静けさ」にすぎなかった。
人々の胸の奥では、静かに、しかし確かに火がくすぶっていた。

そして、その火が最初に噴き上がったのが、重慶の夜空だった。
2025年10月4日、重慶の夜空を彩るドローンショーで巨大な錦鯉が描き出された瞬間、観客席のあちこちから声が上がった。
「于朦朧!」
呼びかけた者も、合図もない。
ただ、SNSで封じられ、声を上げれば公安に呼び出される――
そんな社会で、抑え込まれていた声が、一気に噴き出したのだ。
于朦朧は「逆境を跳び越える錦鯉少年」と呼ばれていた。
だからこそ、光の錦鯉に人々は反射的に彼を重ね、心の奥に閉じ込めていた名を叫んだのだ。
その夜、重慶には確かに――封殺の壁に走る亀裂が見えた。
(現場映像)
【異例の一斉コール──恐怖を超えた怒りが爆発した夜】
2025年10月25日、浙江省杭州。
杭州オリンピックスポーツセンターで開かれた音楽イベント(『至少今天很快乐』)の会場で異変が起きた。
主催企業には、于朦朧が生前所属した天娛伝媒と同系列の巨大メディアグループが名を連ねており、その名前が司会者によって読み上げられた瞬間――
観客席のあちこちから怒りの声が突然ほとばしった。
「つぶれてしまえ!(中国語:倒閉/ダオビー!)」
(現場映像、2025年10月25日、浙江省杭州で開かれた音楽イベント『至少今天很快乐』の会場では、主催企業として芒果超媒(マンゴー・スーパー・メディア/于朦朧が生前所属していた天娛傳媒と同系列の巨大メディアグループ)の名が読み上げられた瞬間、観客席のあちこちから「つぶれてしまえ!(中国語:倒閉〈ダオビー〉)」という叫び声が沸き起こった)
これは指示でも組織的な抗議でもない。
しかし市民のあいだでは、この企業群が事件の背後に関わっているという疑念が広く共有されていた。
本来なら声を上げれば監視され、拘束される社会である。
それでもこの夜だけは、怒りが恐怖を上回った。
市民はこう振り返る。
「会場全体が叫んでいた。あれは怒りそのものだった。」
後日SNSに投稿された動画には、スタジアムが揺れるほどの怒号がはっきり記録されている。
重慶で灯った火は、杭州でさらに大きく燃え上がった。
うねりは、もはや「個々の怒り」を超え始めていた。

【コメント欄の反乱】
2025年11月、厦門で行われた中華圏三大映画賞の一つ「中国電影金鶏奨」の授賞式。
ライブ配信が始まると同時に、コメント欄は「異常な速度」で埋まり始めた。
「于朦朧」
「Justice for Alan Yu」
「真相を明らかにしろ」
短い言葉が帯のように流れ続け、画面は一瞬で文字で覆われた。

「食事会に誰が招いた?」「参加者は誰?」「部屋の持ち主は?」「警察の出動記録を出せ」「腕時計は誰のもの?」など于朦朧事件の核心を突く「真相5点セット」が次々と書き込まれた。さらに「立案調査せよ!」「于朦朧を返せ!」「不看電影,看監控!(映画なんか見ない。監視映像を出せ!)」といった、授賞式そっちのけの抗議が画面を埋め尽くした。
当局は削除を開始する。
しかし消せば消すほど、新しいコメントが画面下から湧き上がった。
まるで、「水をすくっても次から次へ湧き出す泉」のようだったと市民は語る。
匿名であっても安全ではないこの国で、それでも人々はコメントを書き残し、心の声を放たずにはいられなかった。
【「禁于・禁娯」──沈黙社会に生まれた新しい反撃】
事件をめぐって共有された「加害者リスト」には、多くの芸能界関係者の名前が並んだ。
この事実が広がるにつれ、中国SNSでは一つの言葉が爆発的に広まった。
「你们禁于,我们禁娯」
(意味は「あなたたちが于朦朧の名を封じ、事件をなかったことにしようとするなら、私たちはあなたたちの『娯楽産業』そのものを拒否する」――という、市民のボイコットの決意を示す言葉である)

これは単なるスローガンではなかった。
市民は実際に行動を始めた。
まず于朦朧が生前所属していた天娛傳媒と同系列の巨大メディアグループ・芒果超媒(マンゴー・スーパー・メディア)系サービスの 「動画配信解約」 が急増。
続いて始まったのが、加害者リストに名前が挙がった人物が関わる映画・ドラマの徹底ボイコットだった。
「視聴数に一度たりとも貢献したくない」
「彼を苦しめた構造に、お金も時間も渡さない」
市民のこうした静かな意思表示は、当局が封じ込められなかった「経済ルートの反撃」となった。
封殺が強まるほど、市民の選択によるこの「沈黙の抵抗」は広く社会に浸透していった。
(于朦朧への徹底した封殺に反発し、中国SNSのウェイボーが主催する大型授賞イベント「微博世界大会」の配信コメント欄には、「禁娯」「ウェイボーはつぶれろ!」「于朦朧に正義を」といった書き込みがあふれた)
【台湾で広がる支援の動き】
いっぽう、海を越えた台湾では、
于朦朧を悼み、真相を求める動きが静かに、そして確実に広がっていた。
台北・西門町の大型スクリーンや、地下鉄構内のディスプレイには連日、于朦朧の追悼映像と国際署名の呼びかけが映し出された。
(于朦朧事件への署名呼びかけ映像が表示された台湾・新北市板橋駅前スクリーン)
ボランティアは街頭に立ち、彼の写真と署名サイトのQRコードが印刷されたチラシやポケットティッシュを道行く人に配りながら、事件の説明や署名協力を丁寧に呼びかけていた。こうした自発的な行動によって、支援の輪は静かに、しかし確実に広がっていった。

署名は70万件(※12月1日時点)を超えた。この署名運動は、海外在住の華人や国際市民が中心となって立ち上げたもので、事件の「全面・独立・透明な調査」を求めるものだ。
国際署名サイト AVAAZ(クリックすると署名ページに移動します)

この光景は、中国大陸のネットユーザーにも大きな衝撃を与えた。
封殺が続く大陸では決して許されない追悼という行為が、台湾では堂々と街に映し出され、人々の手で守られている。
その様子を見た大陸ユーザーからは、多くのコメントが寄せられた。
「台湾の人たちが、私たちの言えない声を代わりに叫んでくれている」
「両岸が初めて心を一つにした瞬間だと思った」
声を封じられた大陸と、自由に声を上げられる台湾。
その対比は、多くの市民の胸を強く揺さぶっている。

【なぜ彼の名前は消えないのか】
于朦朧は、生前、優しく誠実で、どれほど理不尽を受けても決して屈しない青年だった。市民の間では、「世の親たちが願う理想の息子そのものだった」とさえ語られている。
(于朦朧の「本能の優しさ」を切り取った動画。倒れた人を真っ先に助ける姿が中国語圏で拡散中)
一方で、共有された情報や噂では、彼は長期間にわたり性的・精神的・肉体的な虐待を受け、加害者たちに「弄ばれる存在」として扱われていたと伝えられている。
さらに一部の情報では、権力者に差し出される「生贄」のような扱いを受け、苦痛を与えることを楽しむ「虐殺ゲーム」の対象にされていたという話すら広まっている。
こうした背景を踏まえると、死の直前に彼が暴行を受けながら放ったとされる一言は、まったく別の響きをもつ。
「你们玩死我,我才不受你们威胁」
(お前たちが俺を弄び、傷つけ、命を奪おうとしても──俺は屈しない)
(ネット上に流出した動画には、于朦朧のものとされる悲鳴と、「お前たちが俺を弄び、傷つけ、命を奪おうとしても──俺は屈しない」という最期の叫び声が記録されている)
市民の間では、この言葉こそが「彼は最後の瞬間まで魂を売らず、支配に屈しなかった証」として深く共有されている。
だからこそ、中国語圏にはいま、こうした言葉が広がっている。
「意難平」(イーナンピン、正義が戻らない限り、この怒りは鎮まらない)
10代から90代までの市民が、涙を拭いながらこう誓っている。「彼のための正義を、必ず取り戻す」。
それは、于朦朧が最後の瞬間まで屈しなかった姿勢への、静かな敬意と、揺るがぬ決意の表明である。
【終わらせたい当局、終わらせまいとする世界】
中国当局は事件を「早く忘れさせたい」。検索遮断、投稿削除、拘束、教育統制――ありとあらゆる遮断が続いている。
だが、世界の市民は違った。
台湾、香港、シンガポール、マレーシア、韓国、欧米――世界各地で追悼集会や署名活動が続き、SNSでは「#JusticeForAlanYu(アラン・ユー/于朦朧に正義を)」が連日流れ続けている。

市民のあいだでこう語られている。
「これは年単位の戦いだ。私たちは終わらせない」
沈黙を強いられても、声は死ななかった。
封殺で奪われた叫びは、霊界と世界の人々によって再び響き始めている。

下に紹介する声は、于朦朧のファンでもない、ただ通りすがりの一市民が、胸の痛みに従って残したものだ。
しかしこの言葉は、この国でいま何が失われ、何が守られようとしているのか──
そして、なぜ多くの人が沈黙を拒み、真実を求めて立ち上がったのかを、最も正確に物語っている。
彼の死を悼む声は、もはや彼一人のためだけではない。「明日を守りたい」と願う、無数の人々の叫びなのだ。
(邦訳)
私は誰のファンでもありません。ただの普通の中国市民です。
ただ、一人の純粋で善良な中国人に起きたことの“真相”を求めているだけです。
彼の最期は、私の価値観と認識を根底から覆しました。
私たちが彼のために真相を求めているように見えますが、実際には“私たち自身の明日”を心配しているのです。
彼に起きた“今日”は、おそらく私たち一人ひとりの“明日”を映している。
この出来事は、私たちが信じていた常識を完全に覆しました。
誠実な人が裏切られ、善意が踏みにじられ、善良な人に本当に良い報いはあるのか?
子どもたちに「善良でいなさい」と安心して教えられるのか?
「誠実であれ」と胸を張って伝え続けられるのか?
私が求めているのは偏った結論ではありません。
ただ、重荷を背負ってでも向き合える“真実”が欲しいのです。
それは彼のためだけでなく、この国の心がまだ冷えきっていないことを示すため、そして、すべての子どもたちの“汚れなき未来”のためでもあります。


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