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台湾国会議員24人のリコールが全て失敗 中国共産党が台湾リコールに露骨に介入 

2025/07/28
更新: 2025/07/28

台湾で国民が自ら国民党の議員に対して不信感を示し、憲政史上初めての起こした大規模リコール運動は国民投票の段階で24人のリコールは全て不成立となった。

そうしたなか、これまでリコールに対して中共が介入してきたことが明らかになっている。台湾の立法委員に対するリコールの件に公然と関与する一方、中共の官製メディアを通じて特定の陣営を支持する記事や動画をすでに425本以上発信していたことがわかった。また、頼清徳総統に対しては、「緑色独裁」を行っていると非難し、世論の誘導を図っている。

しかし、特定陣営はこのような中共の姿勢について「逆効果だ」と述べ、「これは私たち自身の問題だ」とコメントしている。

ロイター通信が7月22日に報じたところによると、頼清徳総統は昨年の選挙で当選したものの、所属する民進党は国会で多数派の地位を失った。その結果、最大野党・国民党が立法委員の数で主導権を握り、頼清徳政権が反対する法案を次々に可決させた。また、防衛力の強化を目的とした国防予算などの大規模な支出も、大幅に削減された。

近年、中共は台湾に対する軍事的・外交的圧力を強め、領土主張を背景とした挑発的な行動を続けている。こうした中、台湾の市民団体は今年初めにリコール運動を開始した。対象となっているのは、「親中」と見なされる国民党所属の立法委員たちで、全体のおよそ5分の1にあたる委員が対象となっている。

リコールを主導する団体は、この活動を「反中共運動」と位置づけ、国民党が台湾を「中共に売り渡そうとしている」と非難している。その根拠として、国民党の立法委員が頻繁に北京を訪問していること、防衛予算の削減、そして立法院内の混乱などを挙げている。

これに対して国民党は、中共が頼総統を「台湾独立分子」として敵視しているため、対話に応じないのだと反論している。そのうえで、中共当局との接触は、台湾の農産品などの貿易促進を目的としたものであり、「親中」ではないと説明している。さらに、頼清徳総統が独裁的な姿勢を強め、「緑色恐怖」を進めているとも批判している。

中共側も、宣伝機関を総動員して国民党陣営への強力な支援を行っている。

国際的にも、台湾のリコール投票には大きな関心が寄せられており、ロイターは7月22日、「台湾で大規模な立法委員リコール投票、中国が野党を積極支援」との見出しで報道した。記事では、国民党陣営の立法委員が「2つの異例な支持者」、中国共産党の高官と官製メディア(人民日報など)から支援を受けていると指摘している。さらに、頼清徳総統については、「リコール制度を乱用して野党を弾圧し、『緑色独裁』を進めている」との中共側の非難を紹介した。中共メディアの論調や表現は、国民党陣営の主張とほぼ完全に一致している。

台湾励志協会の執行長の頼栄偉氏は次のように述べた。

「今回の大規模リコールの狙いは非常に明確で、『中共の浸透に反対する』という点にある。我々は昨年の立法委員選挙以降、野党である国民党と民衆党(青白)が多数派となるのを見てきたが、彼らが訪中した後、不可解な法案を急速に推進し始めた。立法院の本来の審議手続きを無視し、中共の代理人のように行動しているように見受けられる。

中共は香港においても、同様の手法を用いてきた」「中共は台湾の声が国際社会で注目されると、あらゆる手段で中傷し、抑圧し、消し去ろうとする。今回の行動はまさにその典型例と言えるのではないだろうか」

7月23日、台湾の対中政策を担当する大陸委員会は声明を発表し、中共の国務院台湾事務弁公室および中共メディアが、7月26日に予定されているリコール投票に対し、意図を隠すことなく公然と露骨に介入していると指摘していた。

オーストラリア在住の歴史学者・李元華氏は「中共はここ数年、多様な手段を駆使して台湾社会を混乱させようとしている。特に大規模な宣伝活動に力を入れており、多額の資金を投じて、資金を必要とする台湾のメディアを買収・育成し、代理人として利用している。台湾の一部メディアの出資者やオーナーは中国本土で大規模なビジネスを展開しており、経済的利益を通じて中共の影響下に置かれている状況だ」と指摘した。

台湾の複数のリコール団体は、この運動を「反共・台湾防衛」を主旨とし、「民主主義を守るための戦い」であると表明している。

22日の記者会見では、リコール団体の代表や弁護士らが、これまでに国内の親中勢力や国外勢力から複数回にわたり妨害や攻撃を受けていると述べ、「これは偶然の出来事ではなく、国家の民主主義をめぐる激しい攻防戦である」と語った。

花蓮リコール団体のスポークスマンで 反共系インフルエンサーの八炯氏(2025年5月31日)は
「中共が望んでいるのは、まさに今のような状況である。国民を萎縮させ、声を封じ込めることが目的だ。だからこそ、私たちは勇気を持って立ち上がる必要がある」と述べている。

またインド太平洋戦略シンクタンクの執行長 矢板明夫氏(2025年7月15日)は「だからこそ、今回の大規模リコールの後には、親中的な議員を立法院から排除するだけでなく、民進党にも具体的な行動を求めている。TikTokの禁止や一票の価値の平等などの政策を掲げ、民進党・国民党双方の立候補者にアンケートを実施した。本気で改革に取り組む政党の候補者のみを支持していく」。述べた

賴総統は22日、総統府で「欧州民主主義の盾特別委員会」(EUDS)と共同で会見した際、「共に浸透を防ぎ、民主主義を守る」ことの重要性を強調した。

「台湾と欧州連合は、緊密な経済・貿易関係を築くだけでなく、民主主義と自由という共通の価値観を共有している。近年、両者は情報操作や外部勢力の浸透に直面しており、これが民主選挙の結果に影響を及ぼし、社会の分断を招くとともに、国民の民主主義への信頼を揺るがせようとしている」

「民主主義国家の努力は、誰かに対抗するためではなく、我々の大切な生活様式を守るためである。それは欧州が多様性と人権を推進する精神と同じだ」