アメリカ合衆国連邦議会下院は5日、「法輪功保護法案」を全会一致で可決した。
この法案は、法輪功学習者など良心の囚人に対する中国共産党(中共)国家主導の臓器摘出行為を阻止するようアメリカ政府に求め、中国国内で臓器摘出に関与・協力した人物に対する制裁を求める内容となっている。
法案は、ペンシルベニア州選出の共和党スコット・ペリー下院議員によって下院に提出され、テキサス州の共和党テッド・クルーズ上院議員も上院に対応する法案を提出している。
下院では、「2025年強制的な臓器摘出終結法および法輪功保護法案(H.R. 1540)」についての発言と投票が行われ、全会一致で可決された。
法輪功について
法輪功は、「真・善・忍」を原則とする佛家の心身修煉法で、五式の優美な功法動作を含み、病気治療や健康促進に顕著な効果があるとされている。1992年に中国・長春市で広まり、広く支持され、1999年以前には、修煉者の数は7千万人から1億人に達し、中国共産党員の数を上回っていた。これに嫉妬と恐れを感じた中共の元党首 江沢民が、法輪功への徹底的な弾圧を命じた。
「法輪功保護法案」の主な内容
この法案が定める米国の政策は以下のとおりとなっている。
- 中国共産党が権力を握っている限り、中華人民共和国との臓器移植に関する協力を避けること。
- 制裁を含む適切な措置を講じ、中共が国家の力を利用して支援・推進する生体臓器摘出の活動を終わらせること。
- 同盟国と協力して、法輪功への迫害を明るみに出し、国際社会と連携して中共による臓器摘出犯罪の阻止を目的とした制裁やビザ制限などの措置を実施すること。
法案では、法輪功学習者の臓器摘出に関与した個人に対し、経済制裁とビザ制限の2つの制裁を規定している。法案発効から180日以内に、米大統領は「故意に臓器摘出に直接関与・または協力した個人」のリストを議会の関連委員会に提出しなければならない。名簿に載った者は経済制裁、資産凍結、アメリカ入国禁止などの措置を受ける。
さらに法案はアメリカ大統領に対し、今後5年間、少なくとも年1回以上このリストを更新することを要求している。
また、国務長官は中国の臓器移植状況(移植件数、臓器の出所、医療機関のマッチング時間など)について、詳細な報告を議会に提出しなければならない。
なお、国家安全保障および人道的援助の観点から、大統領には特定の人物への制裁を免除する権限が認められているが、その場合は4か月ごとに議会へ報告する必要がある。
この法案は今後、上院での採決が予定されており、上院を通過し大統領の署名を得れば、法律として即時施行される。
下院での法案可決の意義
中国共産党による法輪功への残酷な迫害は、25年以上にわたって続いており、国際社会からの支援も長年にわたり続いている。
米国議会下院はこれまでに5回、法輪功迫害停止を求める決議を可決している。
- 1999年11月18日、決議案218号
- 2002年7月24日、決議案188号
- 2004年10月4日、決議案304号
- 2010年3月16日、決議案605号
- 2016年6月13日、決議案343号(中共による臓器摘出の停止も求めたが法的拘束力はなし)
法輪大法情報センターの副主任・劉寧平博士は大紀元に対し、次のように述べている。「『法輪功保護法案』が施行されれば、国法となり、中国の臓器移植の慣行と政策に対し厳しい制裁が科される。この法律により、臓器摘出に関わった人物の記録が義務化され、その人物にはビザ制限や資産凍結などの制裁が科される」
また劉博士は「もっとも基本的な意味として、『法輪功保護法案』という名称自体に『法輪功』という言葉が入っていることで、法輪功を知らなかった人たちにも、中国共産党による長年の迫害の存在を伝えるきっかけとなるだろう」と付け加えた。
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