近年、中国各地で「罰金経済」の風潮が目立つ。その背景にあるのは地方政府の財政難だ。
なお、「罰金経済」とは、収入不足を補うため、罰金によって自治体や組織を維持することをいう。
「罰金経済」といえば、これまでは一般市民への「交通違反の罰金」が最も多かったが、「タクシー運転手に報酬を渡して集客をさせたレストラン」や、「顧客に鍼灸などのサービスを提供したマッサージ店」など、店や商販に対する理不尽過ぎる罰金のケースもしばしばネットで話題になっている。
「空気浄化」
最近では、「空気浄化」を名目とした罰金が横行している。
1月22日、河南省信陽市のオープンしたての理髪店へ「衛生局」と名乗る男たち(3人)がやってきた。「営業許可証を見せろ」の次は、「空気検査報告書を見せろ」と求めてきた。
(河南省信陽市の理髪店に「空気検査報告書」を求める「衛生局」、2025年1月22日)
しかし、そんな報告書などない。
以来、これら「法執行職員」らは毎日のように店にやってきては営業妨害をするようになり、店主は仕方なくいわゆる「空気検査報告書」のために400元(約8千円)を支払った。以来、嫌がらせはパッタリ止まったという。
同様の「事件」は昨年末、他省の理髪店でも起きている
「空気浄化」を求められるのは、理髪店だけではない。
2月5日、黒竜江省佳木斯市(ジャムス‐し)の飲食店にも「環境保護部門」と自称する男3人がやってきては「空気浄化」を求めてきた。「3日以内に空気浄化器をつけろ、さもなければ5千〜5万元(約10~100万円)の罰金取るぞ」と告げられたという。
店主は中国メディアに対し、「うちは老舗だ、10年以上営業してきたが、こんなのはじめてよ!」と怒りの訴えをしている。
(黒竜江省佳木斯市の飲食店に「空気浄化」を求める「環境保護部門」。2025年2月5日)
「空気浄化」を名目とした罰金のニュースは、中国SNSでも話題になっており、「空気まで管理しようっていうのか、どんだけ金欠なのだ!」と非難が殺到するなか、専門家は「財政難にあえぐ政府が、企業から金を巻き上げるための口実に過ぎない」と指摘している。
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