近年、中国共産党幹部の「事故死」が相次いでおり、村役人や党幹部が庶民によって殺害される事件も頻発している。
「この国で法律は死んだ」。これは多くの中国人が口にする言葉。実際、中国では近年、「法的手段に訴えることができないのならば」と、自らの手で「敵」を殺害する庶民が増えている。近頃明るみになった「高官殺害事件」だけで少なくとも7件は起きている。
先月、江西省吉安市の町のトップ・況海涓氏が町を視察中に村民によってナイフで刺されて死亡したことがわかった。況氏の遺族は今月19日、中国メディアに応じ、「『殉職烈士』との認定がまだ降りていないため、況の遺体はいまも地元の葬儀社に保管されたままになっている」と明かしている。
7月18日にも、山東省鄒平市の市場監督管理局(臨池市場監管所)の苗所長が殺害された。遺族は中国メディアに対し、容疑者は3か月前に刑務所から出たばかりだったと明かしている。
先月、陝西省咸陽市で公安が出した「49日遅れ」の懸賞金公告が話題になった。
指名手配された5人は「高官一家殺害」の容疑者とされており、肝心な動機や事件の詳細に関する説明は一切なかった。
「49日遅れ」の原因については、一部の公安関係者のリークによれば「高官一家を殺害したということを知った市民が、彼らを匿うことを懸念したから」という。
エポックタイムズの取材に応じた、容疑者2人の知人によれば、
「真相を知った庶民は間違いなく、誰もが『よくやった!』と拍手喝采し、誰もが容疑者を匿う」
中国で官僚殺しは「英雄」
「無官不貪」という中国語がある。邦訳すると、「中国には腐敗官僚しかいない」となる。この言葉は、中国人が日常的に使っているものであり、そして公認の事実である。
もちろん、なかには一部の民衆のために働き、清廉潔白な官僚もいる。その一方で腐敗に手を染めなければ出世などできない中国官界の現実もあり、官僚というと、特権を笠に着た腐敗悪人というイメージが完全に定着している。
現在の中国では、官僚に対して、反感や恨みを抱く一般市民は多い。そして、村役人や官僚が被害者になる事件が起きるとネット上で歓声が上がっている。
中国の歴代の王朝の末期もみな役人の汚職がはびこっており、中国共産党も同じ道をたどっている。狂った世の中だが、これが中国の現実なのである。
この現象について、中国関連の時事ニュースを報道するセルフメディア番組『新聞看点』の司会をする、時事評論家の李沐陽氏は次のようにコメントしている。
「役人たちもまた哀れなものです。民衆が限界に達し反撃に立ち上がる時、真っ先にターゲットにされるのはこの中国共産党の具体的な化身(体現者)である彼らなのです。そう考えると、この人たちもある意味で、中共体制下の犠牲者だと言えます」
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