社会問題 証拠になるべき監視カメラはいつも肝心な時に「故障」

中国「三角定規事件」公判 被害者の証言許されず 被害者家族が裁判所内で暴行された 

2024/08/23
更新: 2024/08/23

今月16日、昨年世間を騒がせた「三角定規事件」の公判が始まった。

当局による被害者家族への弾圧は依然と続いており、事件を伝えようとする配信者も撮影やライブ配信を禁じられているのが現状だ。

昨年9月、湖南省長沙市の小学校の教室内で教師が女子生徒めがけて故意に投げた三角定規が女子生徒(9歳)の額に刺さり、頭蓋骨破損などの重傷を負わせた。

負傷した生徒は手術を得て一命をとりとめたが、学校側は事件の調査に「非協力的で、証拠隠滅をはかった」として、被害生徒の家族は抗議している。

「学校側の役人が手術室前で証拠の物品を奪い去った。しかも学校は、監視カメラ映像の提供を拒否している」と主張し、

「学校側は事件発生から2時間以上経ってからようやく重傷を負った生徒を病院に送り、その後家族に連絡をした」

「学校側は監視カメラ映像の提供を拒否し、学校の役人(王潤姿、党支部トップ)は部下を引き連れて病院に殺到し、手術室前で証拠の物品を奪い去った」と被害者家族は訴えている。

当時、学校側は「とにかく急いで傷口を縫うよう医者に要求していた」という。この要求に納得できない家族は、傷口を縫合する前に、どのようにこの傷害事件が起きたのかもふくめて、医師に十分な検査と検証をするよう求めた。

検査の結果、三角定規の破片が砕けた骨と混ざり合っていたことが判明。しかも「脳漿(のうしょう)まで出ていた」という。

その後、5時間に及ぶ手術が行われた。異物と砕けた骨が取り除かれ、頭蓋骨の破損した箇所にはスチールの板などが当てられたという。

学校側の不誠実すぎる対応に怒り、被害生徒の家族はSNSを発信して世論に助けを求めた。事件は世論に注目され、加害教師は停職処分になり、現地公安によって逮捕された。

 

負傷した生徒の家族が小学校の門前で横断幕を掲げて抗議しているところ、2023年9月7日(SNS投稿動画よりスクリーンショット)

 

弾圧

公判では、被害者家族は4人の入場しか許されず、被害女児による証言も認められなかった。肝心な監視カメラ映像は「故障」により提出されず、被害女児の父親は裁判所内で暴行を受けたこともわかった。

公判前日、世論の力を借りようとした被害者家族は、中国メディアを通じて「裁判で正義が下されること」を呼びかけていたが、この案件を報じる中国メディアはわずかしかなかった。

また、事件に関心を示していたインフルエンサーや動画配信者らは、案件に関する撮影やライブ配信を禁じられていたことがわかった。

事件が起きた教室には監視カメラが3台取り付けられていたが、公安当局は「故障により映像にアクセスできなかった」と主張。これには被害者家族は疑問を呈している。

市民が撮影した公判当日の動画の中には、裁判所前の階段に座り込む大勢の人の姿があった。これらの人は、傍聴しに来たのに中へ入れなかった被害者家族や声援者だという。

事件に詳しい人物によると、午後19時過ぎになっても被害者家族は依然と法廷外に留まり、父親は裁判所内で殴られた。110番通報をして警察は来たが、すぐに引き返して立ち去ったという。

近年、中国の学校では暴力事件が絶えない。しかし、正義などより「社会の安定維持」を重んじる当局は、たいてい学校側の利益を守り、加害者側を庇う。被害者は弾圧されることになっているという。
 

(負傷した生徒の家族が小学校の門前で横断幕を掲げて抗議しているところ、2023年9月7日)
 

 

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李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!