7月8日、静岡県伊豆半島南部の海岸で泳いでいた20代の中国人女性が行方不明となり、約36時間海上を漂流した後、日本の貨物船によって救助された。この事件は、当事者が中国大使館に救助を求める電話をした際に、それが使われていない番号であったことが発覚し、ネット上で話題を呼んでいる。
事件当日、この女性と友人はまだ海水浴場が一般開放されていないにもかかわらず、下田市白浜大浜海岸で泳いでいた。女性が行方不明になったのは午後7時55分ごろであった。
通報を受けた日本海上保安庁は、パトロール船を派遣して捜索を行ったが、何も発見できず、翌日の夕方に捜索を終了した。
7月10日午前、この女性は海岸から約80キロ離れた地点で発見され、救助された。通りかかった貨物船の乗組員が、女性が浮き輪に乗って漂流しているのを発見したのである。女性は軽度の脱水症状があったが、意識ははっきりしており、命に別状はなかった。
日本海上保安庁は、この女性が強い海流によって沖合に流されたと見ている。事件当時の海水温度は24度で、連続した晴天により海面は穏やかであった。これらの条件が、女性が安全に発見された主な要因である。
失踪後、女性の友人は駐日中国大使館のウェブサイトに記載されている電話番号に救助を求めたが、無効な番号であった。また、大使館に送ったメールも反応がなかった。友人はやむを得ず、SNSで助けを求めた。これがネット上で大きな話題となった。
SNS上では、中国大使館の対応について多くの批判が寄せられた。「日本で遊んでいて海に流されてしまった。中国大使館の電話は全然つながらないし、メールも返事がない。覚えておいて、日本人に助けられたんだ。あんたの強大な祖国じゃなくて」という投稿には2300以上のいいねがついた。他にも「大使館は官僚の驛站(えきたん:官僚用の施設)であり、一般市民は期待するべきではない」という意見もあった。
駐外中国大使館の電話がつながりにくく、また、大使館からと名乗る電話がかかってきても、真偽の確認が難しいことが指摘されており、これを悪用する詐欺も多発している。米国政府の調査によると、2017年12月から2019年2月の間に、米国内で中国大使館や領事館を装った電話詐欺が発生し、約4千万ドル(約63億円)の被害が出ている。
昨年9月には、日本の警視庁が公式サイトで在日中国人に対し、詐欺電話に注意するよう呼びかけている。警視庁は、中国大使館や中国公安部を名乗る詐欺電話が急増しているとし、注意喚起を行っている。
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