アメリカ社会 生活が苦しくなったのは誰のせい?

カリフォルニアの新たなホームレス アメリカンドリームから貧困と暴政へ(下)

2024/06/12
更新: 2024/06/12

なぜこのようになったのか?

地方自治体の建築基準法は、家族が自分たちの私有地に年老いた親や子供のための簡素な住宅を建てることを妨げている。法律は、私有住宅、高速道路、車の数を減らし、その代わりに公共交通機関公共住宅を導入している。これにより、郊外の成長と家や仕事へのアクセスに不便をもたらし、制限を強化している。これが市民の自由と選択肢を減らしているのだ。

広がるべき郊外の住宅地は、住宅不足で、通勤時間がかかる「陳腐な」住宅街に変わり果てた。それらを排除することを意図した公共政策の直接的な結果だといえよう。駐車場が少ないか、全くないことで、車を手放す「選択」を余儀なくされている。

住宅の減少

高額な建築費用、カリフォルニア州環境品質法(CEQA)、およびその他の環境政策が住宅価格を非常に高くし、住宅供給の必要量に対して大幅な不足が起こった。

一戸建て住宅の建設には、実際に建設が始まる前に5万ドルの建築費用がかかる。

手頃な価格の住宅や高速道路に対する環境規制の結果、通勤時間の延長や交通渋滞により、自動車の温室効果ガス排出は増加した。

2023年から2024年の立法により、CEQA(カリフォルニア環境品質法)の要件は免除されたものの、他の要件が追加された。その結果、「労働組合の賃金」がかかる住宅の建設費用は最大で40%も上昇し、事実上の公共住宅となった。50戸以上の住宅には、労働組合公認の建設現場に入る作業員は見習い訓練を受けているという資格条件と、その雇用期間中の健康管理、会社によって違うが、健康リスト表があり、それに健康状態を記入してゆくことが義務付けられていた。加えて労働者の医療保険加入が必須条件とされた。つまり会社負担なので、建設費用のコストアップの要因となった。また、教育機関や宗教施設には、わずかな入居者にもかかわらず、社会サービスの提供として、保育所やコミュニティセンターなどを持たなければならないと義務付けられた。(需給バランスで、決まるのではなく、法律で決められるので、住宅建設そのものがコスト増になるということ)

公共住宅

また、かつて評価されなかったソ連式や北京式の高層公共住宅「プロジェクト」が復活した。高密度住宅は、犯罪、社会不安、病気を助長する。サンディエゴにあるあの50階建ての公共住宅タワーの生活は「おり」の中のネズミのようなもので、不潔に怯え、残酷で、厄介で、コストアップのせいで、苦しい生活を強いられていると言える。

2024年6月、有権者の承認なしに公営住宅プロジェクトを許可する上院法案469号は廃案となった。

悪い道路

カリフォルニア州の穴ぼこ道路はバングラデシュやニューヨークのウエストサイドハイウェイに匹敵する。悪い道路は品質の良くない古い自動車を壊す。1990年から2019年まで、カリフォルニア州は提案111号、SB-1号、69号を通じてガソリン、車、トラックに重税を課し、その見返りとして多くの道路や橋を建設・修理すると約束した。

2018年、提案6号はガソリン税を撤廃しようとした。撤廃に反対する政治キャンペーンは、税金が撤廃されると安全でない橋は修理されず、人々が死亡するだろうと主張した。納税者は、しかたなく必要な道路や橋を建設するために高いガソリン税を維持することを支持した。

ハワード・ジャービス納税者協会のジョン・クーペル氏は、それがすべて消えるインクで書かれた煙幕だったと述べた。

カリフォルニア州は、1ガロンあたりのガソリン税に加えて「キャップ・アンド・トレード(目標を達成出来たら減税)」税を課すなど、1ガロンあたりのガソリン税が国内で最も高い。

2019年10月、カリフォニア州のガソリン価格は全国平均より1ガロンあたり1ドル高かった。2024年までにその差は1ガロンあたり2ドルに近づいた。

同様に、ベイブリッジとゴールデンゲートブリッジの債券が1971年に返済されてから数十年経った今でも、運転手は増え続ける橋の通行料を支払っている。

高速道路利用者は、約束された利益(道路の建設、誠実な維持)のために支払っている。彼らは何も得られないのに、高い税金を払っている。

長い間計画され約束されていたにもかかわらず、実際に建設された道路や橋はごくわずかだ。州上院議員で会計士のジョン・ムーラック氏は、カリフォルニア州は過去30年間で債券の80パーセントを他の目的に転用したと語った。

グランド・セフト・オート(大規模な自動車窃盗)

高速道路や橋を建設するためのガソリン税や高速道路債券は、「誰も遠くまで乗らない」公共交通機関のライトレール(軽量軌道交通)、アムトラック(全米鉄道旅客公社)、バスを補助するために使われている。

ガソリンの高課税、傷んだ道路、そのために盗まれた収入は、まさにグランド・セフト・オート(大規模な自動車窃盗)だ。2018年まで楽観主義者だけが、「カリフォルニア州の高速道路が全国で9番目に悪い状態だ」と笑っていられた。

提示された代替案はさらに悪いものだった。

カリフォルニア州は、登録所有者に、手頃な価格の交通手段である「クランカー(おんぼろ車)」を道路から撤去し、公共交通機関に乗せるための費用を支払って、そのコストを住民に課しているのだ。

公共交通機関

ロサンゼルスは1965年以来、大量高速公共交通機関の整備を模索してきた。公共交通機関が渋滞を緩和するとよく言われるが、2024年になってもカリフォルニア州の公共交通機関の利用は、全体交通量のわずか3%程度だ。

自動車の指揮統制は、交通渋滞に対して何の効果もないが、市民を車から、犯罪の横行する列車へと追いやることにはなる。

高密度住宅を推進する動きは、公共交通機関の維持を目指しているが、都市部の80%〜95%の住民は可能なかぎり、公共交通機関の利用を避けている。住宅街全体を集合住宅地に変えることは、家族や友人が誇りを持って暮らしてきた古い街並みを破壊することになる。

公共交通機関と競合するプライベートタクシーやUberは過度に規制されている。

走行距離の削減

州の政策は、地球を気候変動(寒冷化でも温暖化でも)から救う手段として、車両の走行距離(VMT)の削減を目指していて、通勤車両の走行距離によって測定されてる。

 

郊外の住宅が、庶民の手の届かないものにすることは、自動車の走行距離を減らすのに役立つ。住宅や高速道路を建設しなければ、人々は車で行ったり来たりしなくなる。

ブティックガソリン

↑ブレンドされたガソリンの事ですか

カリフォルニア州は、独自の季節ごとのガソリンのブレンドレシピを使用することを継続している。

これらのガソリンには、トウモロコシから作られたエタノールが加えられており、ガロンあたりの車両走行距離を効果的に減少させている。通常のガソリンと同じ距離を走るには、より多くのガソリンを消費する。

競争の激化でガソリン価格上昇

1985~1995年にかけて、ブティックガソリンは10か所の古い精製所の閉鎖を引き起こした。1982年には、カリフォルニア州には30社のガソリンを生産する精製所があったが、2015~2023年にかけて、その数は30社から11~14社に減少した。

ガソリンタンクの漏れをなくす取り組みの一環として、カリフォルニア州は大手および小規模な石油会社が所有するガソリンスタンドに対して、厳格な規制を施した。独立経営のガソリンスタンドのオーナーは、長年にわたる遅延と数百万ドルの古いタンク交換コストを負担することができなかった。破産の脅威に直面し、多くの小規模事業者は市場から撤退した。

廃業に追い込まれた独立経営のガソリンスタンドは、カリフォルニア州の1万店のがソリンスタンドうち残ったのはわずか15%の1500店となった。

2024年までに、カリフォルニア州エネルギー委員会のウェブサイトでは、独立系ガソリンスタンドに関する統計データを見つけることはできない。それらはうまく隠されているか、うまく歴史から姿を消した。

重金属や溶剤系石油は悪臭を放つが、それらの濃度が1億分の1や1兆分の1で測定される場合、水中の石油が健康リスクとなる証拠はほとんどない。

かつて独立系ガソリンスタンドは、大手石油会社とガソリン価格で競争していた。1960年にはガソリンは1ガロン25セントだった。独立系がまだ営業していれば、2019年にはガソリンが約2.15ドルだったかもしれない。

住宅に関して、解決策は供給だ。それには自由市場の競争が必要であり、規制緩和が求められる。

最後の望みは、高額なU-Haulトレーラー(貸しトラック)でカリフォルニアを脱出する以外にない。親の権利や学校選択において起こったような有権者の反乱、そして店舗や街頭での犯罪の再犯罪化に対する反乱が差し迫っている。

Roger Canfieldは、米国内での中国の政治的影響力と諜報活動に関する本を4冊執筆しています。海軍の退役軍人で、クレアモント大学院大学で政治学の学士号と行政学の博士号を取得している。米国議会の共和党候補に2度立候補した。 Roger Canfieldの本は、 https ://www.amazon.com/author/rogercanfield で入手できます。