アメリカのジョー・バイデン大統領(81)は21日、今年の大統領選挙からの撤退を突然発表した。このニュースは即座に中国最大のソーシャルメディアであるウェイボーの急上昇ランキングでトップに躍り出た。多くのネットユーザーが「歴史の証人」として驚嘆の声を上げた。
ネットユーザーの多くは、前大統領ドナルド・トランプ氏が再びホワイトハウスを掌握する可能性が高いと見ており、トランプ氏が率いる共和党政権が、中国に対して一層強硬になることを懸念している。
バイデン氏は声明で「私は再選を目指してきましたが、選挙戦から撤退し、大統領としての残りの任期に専念することが党と国の最善の利益にかなうと信じています」と述べた。選挙戦からの撤退を発表した直後、バイデン氏は副大統領のカマラ・ハリス氏を、今年の大統領選挙の民主党候補として支持する意向を明らかにした。
バイデン氏が声明を発表したのはアメリカ東部時間の午後であり、それは中国の月曜日(7月22日)の早朝だったが、「バイデン、大統領選撤退」という話題はすぐにウェイボーの急上昇ランキングでトップに躍り出た。
発表時点で、この話題はすでに6時間以上もトップに留まっており、多くの中国メディアがバイデン氏の声明全文を転載している。
バイデン氏の大統領選辞退の決断は予兆がなかったわけではない。81歳の彼はアメリカ史上最年長の大統領であり、2021年の就任以来、その認知能力は政治的対立相手からたびたび疑問視されてきた。先月、トランプ氏との討論で振るわなかった後、多くの民主党員が公然と彼に辞退を促していた。
歴史の証人
最近、ウェイボーでは「歴史の証人」や「歴史のゴミ時間」といった話題が急上昇ランキングの上位に上がっている。中国では最近、三中全会が終了したが、国民はまるで「歴史のゴミ時間」を過ごしているかのように感じている。生活は苦痛に満ちているが、公式メディアはあたかもすべてが順調であるかのように報じている。
「ゴミ時間」という言葉は元々スポーツ用語で、試合の勝敗がすでに決まった後の残り時間を指す。人々は、経済学者ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスが「歴史のゴミ時間」を「経済規律が破られ、個人が自分の状況を変えることができず、全体が失敗に向かう時期」と表現したことが、中共の現状を的確に示していると考えられている。
中国問題の専門家である王赫氏は、中共の滅亡はすでに決定されているが、人々はまだこの期間を経験しなければならないと指摘した。
一方、アメリカでは大統領選挙が白熱しており、現職大統領の撤退が注目されていた。これは、選挙権のない第三期目を迎えた習近平が率いる中国と鮮明な対比を成している。この状況は多くの中国人に、中共の行動を見直すきっかけとなり、自分たちが歴史の転換点にいることを実感させている。
ウェイボー上では、多くのユーザーがバイデン大統領が再選を目指さないというニュースに驚きを表している。あるユーザーは「夜更かししている人たち、一緒に歴史の証人になりましたね」と投稿し、「本当に長生きすると何でも経験するんだな」とコメントした。
一方、最近の三中全会で、習近平の健康問題が取り沙汰されている。ウェイボーのユーザーは「アメリカでは人々がリーダーの健康を疑い、公然と議論し、さらには大統領が選挙を辞退することもあるが、国内では外交部長の秦剛が生きているかどうかさえわからない」と述べている。
バイデン撤退をネット封殺
バイデン氏の年齢やアメリカの制度を嘲笑するコメントが中国のソーシャルメディアで広く見られる中、バイデン氏の退任を求める文章は、中国の指導者である習近平を暗に示唆しているとされ、検閲を受けた可能性がある。
7月16日、ネット上で「彼を更迭しろ」と題された文章が削除された。「ある人が党、国家、人民のためにできる最大の貢献は、権力を手放し、舞台を降りて孫と遊ぶことだ」と冒頭に書かれており、「そう、言っているのはあなた、バイデンだ」と続いていた。
バイデン氏が撤退を発表した後、ニューヨークに拠点を置く「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」の中国部門の臨時責任者である王松蓮氏は、Xで習近平氏やプーチン氏などの強権指導者と対比してコメントした。
「全世界で最も権力を持つ人物が、国民の声に耳を傾けて撤退を決断しましたが、一方で、習近平やプーチンのような人々は権力にしがみつき、投票で追い出されることはありません」と彼女は書いた。
もしトラの可能性
多くの中国のネットユーザーは、バイデン氏の大統領選から撤退を表明した後、トランプ氏が再びホワイトハウスに戻る可能性が非常に高いと考えている。しかし、彼らはトランプ氏がバイデン氏よりも対中政策において一層強硬になることを懸念している。
あるユーザーは「トランプが再選されることは決して良いことではない。彼は中国に対して制裁を強化し、関税を引き上げると言っている。トランプは商業戦争が大好きだから、民主党の方がまだマシだ」とコメントした。
「環球時報」の評論員で胡錫進元編集長はウェイボーとXで、それぞれ中国語と英語でコメントを発表し、民主党が誰を指名しても大きな違いはないと指摘した。
「トランプの個性が強すぎるため、アメリカの有権者はトランプを特に好む人々と、特に嫌う人々の二つのグループに分かれている」と胡氏はウェイボーに書いた。
陰謀論の広がり
中国の官製メディアは長年にわたり、アメリカの民主主義制度を「混乱」や「危険」として描いてきた。7月13日にトランプ前大統領が選挙キャンペーン中に襲撃された事件は、アメリカ民主主義を攻撃する絶好の機会となり、その後も陰謀論が中国の厳しく管理されたソーシャルメディアで広がりを見せている。
その一つには、バイデン氏や民主党がトランプ氏暗殺を画策したという説がある。
バイデン氏の退選後、上海復旦大学国際政治学教授の沈逸氏はウェイボーで、バイデン氏が今後もトランプ氏に対する行動を続ける可能性を示唆した。
「バイデンが撤退した後、2025年1月20日までの間に何か新しい動きをするかもしれない。選挙戦の重荷を背負わずに、全権を持つバイデンには、いくらでも想像の余地がある」と彼は書いた。
アメリカ対抗勢力への呼びかけ
現時点で中共はバイデン氏の撤退について公式のコメントを出していないが、官製メディアの記者たちはすでに自身の見解を表明している。
「環球時報」記者の陽昇氏は微博で「アメリカのゴミ時間だ」と書き、対米対抗勢力に行動を呼びかけた。「もし以前に何か懸念があったのなら、今こそ行動を起こす時だ」と続けた。
「中国日報」欧州支局長の陳衛華氏はXで、「発展途上国から見れば、バイデンはイスラエルによるパレスチナ人への爆撃に責任を負うべきだ。グローバルサウスはガザでの惨劇を彼の記憶に残すだろう」とコメントした。
一方、海外の中国問題専門家たちは、中共がこのような事件を利用して再び愛国主義感情を煽り、自らの支配を強化しようとしていると見ている。
中国問題専門家である唐靖遠氏は、「このような対比はまさに天と地の差である。今と昔は違う。人々は目を覚まし、民間やネット上の世論は、中共に対する批判の声が多い。本質的には、中共の体制と特権階級に対する不満が人々の間に広がっている」と述べている。
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