12月4日早朝、ニューヨーク市中心部で、ユナイテッドヘルス・グループの保険部門CEO、ブライアン・トンプソン氏(50)が銃撃され死亡した。ニューヨーク市警は、これは計画的な犯行であると断定している。事件現場はヒルトンホテル前であり、同日は同社の年次投資家会議が予定されていた。トンプソン氏は病院に搬送されたが、死亡が確認された。犯人は逃走中であり、捜査が進められている。
ニューヨーク市警、計画的犯行と断定
ニューヨーク市警のジェシカ・ティッシュ署長は、この事件を「大胆かつ計画的な犯行」だと述べた。犯人は現場でトンプソン氏を待ち伏せし、通行人を無視して背中と脚を撃ったという。
ティッシュ署長は記者会見で「これは偶然の暴力ではなく、計画的で標的を絞った攻撃であることは明白である。現在、捜査は進行中であり、犯人が特定され逮捕されるまで全力を尽くす」と語った。
捜査部長のジョセフ・ケニー氏によれば、警察は現地時間午前6時46分、銃撃の通報を受けて現場に向かった。警察官が6時48分に現場に到着し、歩道に倒れたトンプソン氏を発見した。
犯人の特徴と逃走経路
犯人は「明るい肌の男性」で、「クリーム色のジャケット」を着ていたとされる。犯人はトンプソン氏がホテルに到着する約5分前から現場におり、トンプソン氏がホテルへ向かう際に追跡して発砲。その後、徒歩で逃走し、電動自転車に乗って現場を離れた。犯人はセントラルパーク内で最後に目撃されたとされる。
また、犯人はマスクを着用し、特徴的なバックパックを背負い、黒白のスニーカーを履いていた。警察側が公開した写真では、フード付きジャケットを着用し、使用した銃には消音器が装着されていた。
警察の通報窓口は、情報提供に対し最大1万ドルの報奨金を用意し、捜査への協力を呼びかけている。
「この犯行の動機は現時点で不明である。しかし、収集した証拠から被害者が明らかに狙われていたことは明白である」とケニー氏は述べた。
脅迫を受けていた可能性
トンプソン氏の妻、ポーレット・トンプソン氏はNBCニュースに対し、夫が最近脅迫を受けていたことを明かした。
「補償に関連するものだと思うが、詳細は分からない。ただ、夫が脅迫されていたのは確かである」と述べた。また、「今は子供たちを慰めることで精いっぱいであり、詳しいコメントは控えたい」と語った。
関係者の反応
ニューヨーク市長エリック・アダムズ氏は記者会見で、この銃撃が計画的犯行であるとの見解を示した。「これはランダムな暴力行為ではなく、特定の個人を狙った事件であることは明らかである」と述べ、市民や企業関係者に冷静な対応を求めた。
また、ユナイテッドヘルス・グループの本拠地があるミネソタ州のティム・ウォルツ知事は、「このような暴力行為は衝撃的であり、非常に悲しい出来事である」と投稿した。上院議員エイミー・クロブシャー氏は「トンプソン氏の死は医療業界にとって大きな損失である」と哀悼の意を示した。
ユナイテッドヘルスの声明
ユナイテッドヘルスケアを運営するユナイテッドヘルスグループは、「ブライアン・トンプソン氏の突然の死に深い悲しみを覚える」とする声明を発表した。「トンプソン氏は非常に尊敬される同僚であり、友人であった」と述べ、警察との連携を進め、捜査に全面的に協力する姿勢を示した。
トンプソン氏は2004年にユナイテッドヘルスケアに入社し、2021年4月にCEOに就任した。以前はメディケアおよびメディケイドサービス部門を統括していた。同社は米国最大の医療保険会社であり、世界最大級の企業の一つである。
今回の事件は、トンプソン氏個人だけでなく、アメリカのビジネス界全体に衝撃を与えた。捜査の進展が注目される。
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