23日、政府は参議院財政金融委員会で、新型コロナワクチン接種を推奨するために約3200万円を支出し、YouTuberなどを起用した動画9本を作成したことを明らかにした。
2021年3月から9月にかけて、当時ワクチン担当大臣だった河野太郎氏はYoutubeなどで著名人とコラボレーションし、新型コロナの安全性に関する情報を発信していたほか、発信力の高い複数のYouTuberがワクチン接種を推奨する動画を配信していた。
参政党の神谷宗幣参議院議員は、「政府全体として、広報の一環としてこのような施策が行われた事実はあるのか。またその場合、広報活動にどのくらい費用がかかっていたのか」と質問した。
内閣府大臣官房の政府広報室長は、「ワクチンの特徴や接種の重要性など、正しい情報を知っていただくために、YouTuberなどを起用した動画9本を作成し、合計で約3200万円を支出したところでございます」と答えた。
ワクチン担当大臣による隠蔽
17日には、ワクチン接種後に死亡した人の遺族ら13人が国を相手取り、「国はマイナス情報を事実上広報せず、被害を広げた」として東京地裁に提訴した。訴状は、2021年6月に人気YouTuberの「はじめしゃちょー」さんと河野太郎氏の対談動画について言及した。
動画で河野氏は「アメリカではワクチンを2億回打って1人も亡くなっていない」と説明したが、動画の収録前日の時点で累計接種回数約2400万回のうち死亡報告数が254件、そのうち関連ありと報告されたものが20件あったと訴状は指摘。「アメリカではなく日本での現実の接種で考えるべきで、大臣による隠蔽と評価せざるを得ない」とした。
この一件が物議を醸し、批判の声はYouTuberの側にも飛び火した。18日、はじめしゃちょーさんは「広告案件ではないので費用は一切いただいておらず、動画の収益化も行なっておりません」とX上で釈明した。
2021年8月、YouTube Japan公式チャンネルが公開したYouTube CEOのスーザン・ウォジスキ氏と河野氏の対談動画では、河野氏は誤情報への取り締まりに向けた意気込みを語っていた。また、「誤解を招くような虚偽の情報を削除している」とのウォジスキ氏の発言に河野氏は頷いた。
「YouTuberに積極的にワクチンについて、あるいはワクチンのデマについて発信をしてもらいたいと思って、いろんなYouTuberに働きかけをしています」と河野氏が語ると、ウォジスキ氏は「大臣とはじめしゃちょーのインタビューは本当に素晴らしい例だと思います」と絶賛していた。
案件を断ったYouTuber、飛び交う憶測に諌言
コロナワクチン接種促進の一環としてインフルエンサーに動画作成の案件が降り、多額の報酬が支払われていたのではないかといった懸念はこれまでも指摘されてきた。
そんななか先月17日、計5つのチャンネルを運営し、累計登録者200万人の都市伝説系YouTuber「コヤッキー」さんが自身の番組で、知り合いの広告代理店の社長から「ワクチン接種を推奨する動画を1個作れば数百万が入ってくる」という話があったことを明かした。
コヤッキーさんは「自分が体験して良いか悪いかもわからないものを案件としてやっていないんです」と伝え断ったという。「今までで第2位の案件費だった。打ちましょうって推奨する動画を1個作れば数百万入ってくる。おいしいんだけど、なんか嫌だなと思って」
ワクチン接種を推奨する動画を自ら進んで作成した人や、お金を受け取らずに作成した人もいるかもしれないので、誰彼構わず案件を疑わないよう視聴者に呼びかけた上で、「ただ、僕が体験したのはホンマなんです。世の中は陰謀に満ちているんですよ」と語った。
この動画がネット上で拡散され、大きな反響を呼んだことを受け、コヤッキーさんは数日後に公開した動画で補足説明をしている。あるニュースサイトの記事で「コヤッキーさんが暴露」といった見出しがついたことを指摘した上で、「僕は何かを暴露したくてやっているんじゃないんです。自分に起きた事実を話しただけで、誰かを陥れようとか晒し上げようとか、そういうつもりでやってることは一切ないんです」と語り、様々な憶測が飛び交うネット上の言論を諫めた。
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