新たに公開された電子メールによると、米国の食品医薬品局(FDA)の専門家が、新型コロナウイルスワクチンの承認から数ヶ月後に安全上の問題を示す兆候を発見していたことが明らかになった。
ロン・ジョンソン上院議員(共和党、ウィスコンシン州)が入手し、4月29日に公開した記録によれば、報告を受けたFDAの幹部らはその知見を公表することを拒否したという。
当時FDAのワクチン安全性分析の専門家であったアナ・ザーフマン博士は、2021年3月1日、当時のFDAワクチン部門責任者ピーター・マークス博士らと会談した。新型コロナワクチンの緊急使用許可後、ワクチンの安全性を分析するためにFDAが採用していた手法の問題点について議論するためであった。
ザーフマン氏は2000年代から、オラクル・ヘルス・サイエンスの主任統計学者ウィリアム・デュムシェル氏が開発した「多項目ガンマ・ポアソン・シュリンカー」と呼ばれる、副作用の兆候を自動検知する統計手法(アルゴリズム)の導入をFDAに働きかけてきた。彼女の協力によりシステム構築が進められ、2021年1月にはその分析手法がFDAで完全に実装されていた。
2021年3月の会議で、ザーフマン氏は上司に対し、既存のアルゴリズムには「マスキング(特定のデータが多すぎるために、他の重要な副作用の兆候が埋もれて見えなくなる現象)」などの限界があることを伝えた。そして、彼女が検証したデュムシェル氏開発の新手法「回帰調整ガンマ・ポアソン・シュリンカー」を紹介した。彼女の説明によれば、この新手法は従来よりも多角的なデータ分析を行う「最先端」のものである。これまでの手法に比べて、本物のリスクをより正確に捉えられる一方で、重要ではないデータの混入による誤検知を最小限に抑えられるという。
その後、FDAの監視情報学担当副責任者デビッド・メンシック氏が、特別プロジェクトを指示した。これは、副作用の兆候が検知されにくくなっている現在の状況を、今ある分析手法の範囲内で調整・修正しようとするものであった。
ジョンソン氏とそのチームの報告書によれば、このプロジェクトは完了したが、結果は公表されず、入手した記録にも含まれていなかったという。
ザーフマン氏が重大な懸念を伝えたにもかかわらず、FDAがその後、具体的な対策を講じた形跡は認められない。
2021年3月26日、ザーフマン氏はデュムシェル氏が新アルゴリズムを用いて行った分析結果を共有した。ジョンソン議員が入手したメールの一つによれば、新型コロナワクチンに関する分析で「49例の極端なマスキング」が示されたという。彼女は、心臓突然死やベル麻痺を含む20以上の健康問題について、統計的に有意な兆候が示されたと述べた。

その後のメールで、ザーフマン氏は、モデルナ製およびファイザー・ビオンテック製の新型コロナワクチンに関する追加の分析結果を提出した。そこでは、突然死などの深刻な副作用のリスクが、安全上の警告として新たに検知されていた。また、更新された手法に照らしてFDAが使用している手法が不十分であるという懸念の詳細も伝えた。
しかし、FDA幹部は最終的に、彼女に分析の中止を命じた。
ある幹部は、「新型コロナワクチンの有害事象データを使った分析やレポートの作成、共有は、今後一切行わないように」と、作業の中止を言い渡した。と記している。
2021年5月後半、疾病対策センター(CDC)の当局者が、心筋炎やその他の心臓疾患が新型コロナワクチンによって引き起こされる可能性があることを認めた後、ザーフマン氏は同僚に対し、既存のFDAの手法で心筋事象の兆候が検出されなかったことは「驚きではない」と書き送った。また、新手法では急性心筋梗塞の兆候が記録されていたことを指摘した。
これに対しFDA当局者はメールの中で、新アルゴリズムによる知見が拡散することを懸念していると記した。
マークス博士は2021年9月15日、ザーフマン氏の上司であるパトリジア・カバゾーニ博士への書簡の中で、ザーフマン氏が他のFDA統計学者の助けを借りず、ワクチン有害事象報告システム(VAERS)のデータを用いて「独断でワクチン分析を行うことを決めた」と述べた。
マークス氏は、この問題が「(ワクチンの普及を進める上で)大きな足かせになっている」と不満をあらわにした。同氏によれば、ザーフマン氏の手法は、反ワクチン派の活動に利用されかねない誤った混乱を招く恐れがあるため、分析の中止を命じたという。
以前に公開された書簡によれば、マークス氏はワクチン義務化を可能にするために新型コロナワクチンの承認を急いだ当局者の一人であった。
別のFDA当局者であるピーター・スタイン氏はマークス氏に対し、「内部分析を外部で議論したり提供したりすべきではないこと、そして割り当てられた業務に集中する必要があることを彼女に明確に伝えた」と返信した。
2022年中盤、学術誌にザーフマン氏とデュムシェル氏が共著した論文が掲載された。そこでは、現行のワクチン安全性分析手法はマスキングの問題を抱えており、「新型コロナワクチンに関連する有害事象の兆候が検出されなかったり、遅れたりする可能性がある」こと、そして新手法は既存手法で見落とされた兆候を検出したり、より早い段階で特定したりできる可能性があることが述べられていた。
著者らによれば、この新手法は、FDAが使っていた旧来の手法だけでなく、CDC(疾病対策センター)が採用していた「比例報告比」という分析ルールよりも精度が高いことが示された。
エポックタイムズが入手し2023年に公開された記録によると、CDCの手法では2022年の初期運用で数百の兆候が特定されていた。

退職したザーフマン氏とデュムシェル氏は、コメントの要請に応じなかった。
現在もFDAに在籍しているメンシック氏にメールを送ったところ、長期休暇中であるという自動返信が届いた。
ワクチン安全性の分析手法をめぐりロバート・F・ケネディ・ジュニア保健福祉長官と対立して2025年に政府を去り、その後製薬会社イーライリリーに入社したマークス氏、および現在はファイザーの最高医療責任者を務めるカバゾーニ氏とは連絡が取れなかった。
保健福祉省の職員名簿に記載されていないスタイン氏の連絡先は特定できなかった。
上院常設調査小委員会の委員長であるジョンソン議員は、最近のエポックタイムズのインタビューで、新たに入手した記録は、幹部らが自分たちの手法が劣っていることを知りながら、より新しい手法を採用しようとしなかったことを示していると語った。
「これは衝撃的な事実であり、巨大なスキャンダルだ」とジョンソン氏は述べた。
ジョンソン氏は4月29日午後に、これらの記録に関する公聴会を予定している。
公聴会で証言する予定の専門家の一人には、ケネディ氏が就任前に共同設立し、ワクチンを厳しく検証している団体「チルドレンズ・ヘルス・ディフェンス」の科学研究ディレクター、カール・ヤブロノウスキー氏が含まれている。
ヤブロノウスキー氏はエポックタイムズに対し、メールに関するジョンソン氏の報告書は「本当に胸が痛むものだ。もし彼らが違う行動をとっていれば——そしてそうするように促されていたのに——国にとっての結果はずっと良いものになっていただろうという過去を振り返ることになるからだ」と語った。
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