米国憲法は、まず第一に、神から与えられた権利と自由を守ることで知られている。最近「現在の危険委員会：中国」によって開催されたウェビナーシリーズで、「これらの自由が、世界保健機関（WHO）というまったく予想外の処から攻撃を受けている」ことに警鐘を鳴らした。

21日に開幕した世界保健総会（WHA）において、パンデミック予防条約と国際保健規則（2005）改正の2つの政策が投票されようとしている。そのうちの一つは5月末に行われる予定だ。

今後予定されるWHOの政策変更は、メディアで取り上げられるどんな出来事よりも、我々の社会に大きな影響を与える。問題は、WHO事務局長に対して、米国憲法を通じて我々に付与された自由を奪う権限を与える可能性があることだ。どうしてこのような悲惨な状況に陥ったのだろうか？

ロシアと中国

2022年2月4日、北京オリンピックの最中のことだ。中国とロシアの指導者は「無制限」のパートナーシップを構築するという声明に署名した。このような共産主義国間のパートナーシップは珍しいことではない。今回の場合、パワーと世界支配を追求している二つの野心的な国家間の戦略的パートナーシップである。

北京での会談から20日後、ロシアはウクライナ侵攻を開始し、中国政府は背後で静かに状況を見守っていた。つまり、「無制限」パートナーシップが形を成した。一方のパートナーが主権国家を侵略し、もう一方のパートナーは供給チャネルを開放したまま静かに支援する。

2023年3月21日、モスクワでの二国間首脳会談から出発する際、中国の習近平主席はウラジミール・プーチン大統領に対し、「100年に一度の変化が現在進行中で、私たちが一緒にいる時、これらの変化を推進している」と語った。「一緒にいる時」は一対のハサミの両刃を連想させる。習主席が「100年に一度の変化」について語る際、彼が考えているのは目先の台湾侵攻だけではないだろう。

ハサミ戦略

これら2つの権威主義国がパワーを増大しているため、「無制限」パートナーシップの内容を詳しく調べる必要がある。それぞれに弱点と強みがある。ロシアは石油資源が豊富で大量のミサイルを保有しているが、中国は経済規模を有する欺瞞の達人だ。ロシアがウクライナを侵攻している間、中国は「仲介者」であるといった「認識」を生み出している。

「ハサミ」は一種のジョブ・シェアリングを通じて機能する。つまり、片方の刃が切断し、他方の刃は静止している。現在、両国間のジョブ・シェアリングといえば、ロシアが積極的な軍事部分を担当し、中国は受動的な大国としての体裁を保っている。共産主義の下での国家プロパガンダは、まず第一に「パーセプション・マネジメント（認識の管理）」であり、中国は世界のリーダーかつ平和国家として、国際的に受容され認識されることを望んでいる。

仮に、ウクライナで問題が発生しても、中国は非難されることなく身を引くことができる。安全なバックアッププランがあれば、中国共産党（CCP）は快適に過ごしていけることを歴史が証明している。監視の目がなければ、CCPはやりたい放題である。

「ハサミ戦略」の理解が、なぜそれほどまでに重要なのか？　それが自由世界に対する典型的なステルス作戦だからだ。彼らは自由市場国に共通の敵を見つけ出しては、いとも簡単に協力し合う。対照的に自由主義国は、共産主義に対して協力していくのが不得手であり、群れを去った羊のように、より脆弱で簡単に狩られてしまう。「ハサミ戦略」は、「分割統治」の現代的なバリエーションだ。

何ができるのだろう？　古典的な子供の「じゃんけん」がよく言い表している。ある人が「紙」のように弱ければ、強者の「ハサミ」が勝つ。その「ハサミ」も「石」には負ける。後者は、トランプ政権で起きたことであり、ロシアはどの国にも侵攻せず、中国の輸出も貿易管理によって抑制されていた。その代わり、現在のバイデン政権は「紙」とでも言い得るものになり下がっているので、共産主義者の「ハサミ」がウクライナ侵攻を招いた。台湾侵攻もあり得ることだ。

「じゃんけん」は、「ハサミ」に対する解決策を1つしか提供しない。実際「ハサミ」の2枚刃を分解すれば、また別の選択肢が生まれる。（米国に比べれば）地味に見える共産主義中国を詳しく調べる必要がある。

CCPの欺瞞議定書

前述したように、CCPは欺瞞の達人である。新疆ウイグル自治区にある強制収容所を拡大したCCPは、それを衛星にとらえて欲しかった。中国当局は、拘束されたウイグル人が列車に乗せられようとしている間にも、その写真がリークされることを望んでいた。しかし、CCPは20年以上に亘って、拘留、拷問、強制的な臓器収穫のために法輪功学習者を拘留してきた。その収容所を隠すためにあらゆることをしてきたのである。当局が、法輪功学習者への「冷たい大量虐殺」に巻き込まれたくないためであった。

CCPは、一般的な人権侵害を犯したという理由で捕まっても気にしないが、法輪功迫害に巻き込まれるリスクを冒したくないのだ。法輪功には、真実性、慈悲、寛容という高貴な原則がある。これらの原則が階級闘争の共産主義イデオロギーと対照をなしていることを知ると、世界が一致して党に反対することを恐れた。

法輪功の善良で平和な原則を世界から奪うために、CCPは法輪功を沈黙させることを最優先にしている。これには、自由の世界のリーダーであるアメリカ合衆国の人々も含まれる。

CCPは米国をターゲットにしており、その狙いを隠し国際社会を可能な限り欺こうとしている。「孫子兵法」によると、最も権威のある勝利は「戦わずして勝つ」である。ここで我々は、世界保健機関（WHO）のことを思い浮かべる。

（2）につづく

この記事で表明された見解は著者の意見であり、必ずしもエポックタイムズの見解を反映しているわけではありません。