【閲覧注意】本記事には、残虐な映像や画像があります。ご注意ください。
江西省贛(カン)州市の路上で3月29日、午前9時頃(現地時間)に、暴走車が歩行者やバイクなどを次々とはねる「社会報復」と思われる「事件」が起きた。
しかし、現地当局はこれを「交通事故」として発表している。暴走車の運転手は車で人をはね、そのまま逃走、逃走中にさらに市民2人をはねており、はね飛ばされた市民の中には「妊婦1人」が含まれているという。
「事件」による死傷者数は、「死者2人、負傷者4人」と公表されている。しかし、中国では当局が一貫して凶悪事件の犠牲者を少なく報じる「習性」があるため、実際の死傷者数は不明だ。
目撃証言「車が動かなくなるまで暴走し続ける」
中国メディア「大皖新聞」の取材に応じた現場付近の市民によると、暴走車は「数十メートルにわたり市民を次々とはね飛ばしていった」という。
別の中国メディア「新浪新聞」も付近住民の話として、「暴走車は現地の生鮮市場からほぼ1キロにわたって、出くわす歩行者などを無差別にはね飛ばしていった」と報じている。
「暴走車は車を起動できなくなるまで暴走を続け、車が動かなくなると運転手は車を乗り捨てて逃走した」という目撃証言についても報じられている。
「現在、運転手が逮捕されたのかどうか」というメディアの問い合わせに対し、現地警察は「調査中」とだけ返答し、明確に答えていないことから、容疑者は「依然逃走中」と思われる。
「事件」の凄惨さを物語る多くの現場画像や動画が現地市民によってSNSに投稿されているが、現場は、はね飛ばされた市民やバイクが転がっており、地面には大量の血痕が確認できる。
この件をめぐり、中国のネット上では、当局が公表する「一般の交通事故」であるとは信じられないとの声が多く上がっている。
今回の暴走車事件について、その動機や背景などは明らかでない。ただ、現場の画像や動画、一部の中国メディアが報じる目撃証言などから見ても明らかなように、これは不慮の事故ではなく、無関係な通行人をはね飛ばすことを意図したものと考えられるため、当局による「交通事故」の主張を鵜呑みにする中国市民は少ない。
ネット上では、「またか」「これも社会への復讐か?」「もう怖くて、町を歩けない」という、何とも言えない嘆きが広がっている。
近年、頻発する暴走車事件について、上海大学の元教授で著名な人権活動家の顧国平氏は、次のように分析する。
「今日の中国では司法はお飾りでしかなく、人々は不公正な扱いを受けても訴える場所すらないため、社会全体がいつ爆発してもおかしくない圧力鍋の状態になっている。その結果、このような社会報復を狙った何らかの凶悪事件がほぼ毎日のように起きている」
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