「死につながる」…マスク氏、医学部でのDEI(多様性・公平性・包摂性)に警鐘鳴らす

2024/03/25
更新: 2024/03/25

近年、日本でもDEI多様性、公平性、包括性)への取り組みを推進する企業や大学が増えている。21日には、京都大学が2026年度に入学する学生の試験から理学部と工学部で、女性のみが出願できる枠を設けると発表した。

「多様性」の確保を理由としているが、パフォーマンス基準の低下が懸念される。

米起業家イーロン・マスクは先週、特に医学部におけるDEI取り組みは、人々の「死を招く可能性がある」との懸念を再び提起した。性別や人種ではなく、実力に基づいて評価すべきとの見解を示した。

DEIとは、多様性とアイデンティティを尊重し、異なる背景や属性を持つ人々に公平な活躍機会与えている状態を意味する言葉だ。

マスク氏は、元CNN司会者のドン・レモン氏の番組で「医学試験に合格して医師になる、あるいは特に外科医になるための基準が低くなれば、外科医がミスを犯す確率が高くなる。それは人の死につながる可能性がある」と述べた。

レモン氏の「そんな証拠はない。仮定の話だ」との反論に対しても、「現在起こっているとは発言していない。もし基準を下げれば、人の死につながる可能性があると言っている。そうなってほしくない」と一蹴した。

DEI批判

マスク氏は以前からDEIに反対の立場を表明してきた。今年初め、ポーランドで開催された欧州ユダヤ人協会会議でのインタビューで、同氏は「多様性、公平性、包括性は、聞こえがいい。しかし、実際それは人種、性別、性的指向に対する差別だ」と語っていた。

また、このDEI問題に対処するための解決策は、実力を重視することだと指摘。「男か女か、人種、信条は関係ない。重要なのは、どれだけ仕事ができるか、どんなスキルがあるかだ」と述べた。

「医学部におけるDEIは最も危険」

7日、米高等教育・労働力開発小委員会は「大学キャンパスにおけるDEIの影響」と題する公表会を開催した。

ペンシルバニア大学ペレルマン医学部で教育課程副学部長を務めたスタンリー・ゴールドファーブ博士は医学部におけるDEIの取り組みに大きな懸念を示し、その潜在的な影響に警告を発した。

「DEIはどこでも危険だが、医学部では最も危険だ。未来の医師たちは、救命医療ではなく、分裂政治を学んでいる。医学部の本当の使命を取り戻さなければ、米国人は医療の質の低下に苦しむことになる」

またゴールドファーブ氏は、「医科大学入学試験(MCAT)は医師を目指す学生の能力を測る最良の指標であるにもかかわらず、すべての志願者にMCATを義務付けることを放棄した大学もある」と、DEI取り組みのもと、入学基準を下げていることに危機感を示した。

Aaron Pan