青海省の省都、西寧市の小学校でこのほど、階段の手すりが抜けるように壊れ、空いた穴から生徒1人が下の階へと落下する痛ましい事故が起きた。
ネットに流出した映像によると、事故当時、4、5人の生徒が階段の手すりのそばで遊んでいたところ、押された生徒1人が階段の手すりに接触。すると、なんと「手すりの下部が抜け落ちて」そこにあるはずのない大きな穴が開いた。
その生徒は、空いた穴から、頭を下にしてそのまま階下に落ちた。
手すりに空いた「大穴」から子供が落下
鉄製とみられる手すりだが、強度が十分であるようにはとても見えない。子供がじゃれあってぶつかったとはいえ、あまりにも簡単に「大穴」が開いたのである。
小学校に、そんな脆弱な設備があったことから「ここも、おから工事か?」という批判が殺到した。
落下した生徒の母親は19日、中国メディアに対し「うちの子は、頭蓋骨を3分の2も切除する大手術を経て、今もICUで昏睡状態だ。いつでも生命の危険がある。たとえ目を覚ましても、一生障害が残るだろう」と話している。
この事故の責任について、学校側は責任の所在を明らかにしていないという。
(小学校の階段で、手すりの下部に開いた大穴から生徒が落下した)
この事故をめぐり、ネット上では「老朽化していたにせよ、おから工事だったにせよ、学校側の責任だ」とする声が多く上がっている。
「おから工事」が蔓延した中国
中国で欠陥住宅を無数に生み出してきた手抜き工事は、豆腐のおから(豆腐渣)のように、手で砕けるほど脆いことから「おから工事(豆腐渣工程)」と呼ばれている。
その原因として、住宅の品質や企業の社会的責任よりも、利益追求をはるかに優先する風潮が絶えないことが挙げられる。こうした「おから工事」は、中国では以前から大きな社会問題となっていた。
その「品質のひどさ」は、まさに桁外れである。排水管の亀裂、天井や電気系統の欠陥、壁のひび割れ、あらゆる所からの水漏れ、さらにはガラス窓が「窓枠ごと外れる」など、とても新築物件とは思えないようなものばかりだ。
なかには「指一本で穴があく」という石膏ボードのようなコンクリート壁。足で踏むと「砕ける」階段。さらには「鉄筋代わりに竹を使用した住宅」など、とても信じ難いものもある。
今回の小学校で起きた悲劇も、そうした不良建築に由来する可能性がある。
小学校といえば、2008年5月12日に起きた四川大震災(汶川大地震)の際に、明らかに鉄筋の本数が規定よりも少なく、耐震性に全く乏しい「おから工事」の校舎が完全倒壊して、推計で1万9千人とも言われる小中学生が死亡した実例がある。
「おから工事(豆腐渣工程)」という言葉が、中国で一般に認知されたのも、この震災時の膨大な犠牲がきっかけとなっている。しかし、小学生が被害に遭う「おから工事」そのものは、四川大震災から16年後の今もなくなってはいない。
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