マドゥロ氏拘束は中国や独裁国家への警告 トランプ氏が再定義する国際秩序 =分析

2026/01/04
更新: 2026/01/04

1月3日の作戦は、ワシントンが安全保障上の脅威とみなす独裁的指導者に対し、より攻撃的に動く可能性があるというシグナルとして解釈されている。

1月3日、トランプ大統領の命令により、米軍特殊作戦部隊がベネズエラの首都カラカスを急襲し、指名手配されていたベネズエラの指導者ニコラス・マドゥロとその妻を拘束した。

両者は麻薬テロの容疑で起訴されるため、ニューヨークへと連行された。アナリストによれば、この作戦はベネズエラをはるかに超える影響を及ぼすものであり、特にワシントンと対立する中国やその他の独裁国家にとって重要な意味を持つという。

アナリストらは、この作戦が、トランプが復活させたモンロー主義――トランプ自身の言葉を借りれば「ドンロー主義(Donroe Doctrine)」――の最も明確な表現であると指摘する。これは、米国の国家安全保障と法執行を不可分なものとして扱う考え方だ。

米国を拠点とする中国時事評論家の唐靖遠(とう・せいえん)氏は、この作戦を「現代の国際関係における画期的な出来事」と評した。

「マドゥロの拘束と引き渡しは、米国の国家安全保障、特に地政学的領域におけるそれが絶対的な優先事項になったことを示している」と同氏は述べた。「ワシントンの視点では、マドゥロは選挙操作や、米国の安全を直接脅かす国家ぐるみの麻薬密売を通じて、とっくに正当性を失っていたのだ」。

唐氏は、ワシントンの動きは、特定の外国首脳を「保護された主権者」としてではなく、「犯罪者」として扱うというトランプ政権の意図的な決断を反映していると述べた。

「正当性を失い、重大な犯罪を犯した指導者に対し、米国は今や国際的な法執行者として行動する権利と責任の両方を持っていると考えている」と彼は語った。

1989年パナマの再来

台湾の国防安全研究院の沈明室(しん・めいしつ)研究員は、今回の作戦は異例ではあるが、前例がないわけではないと指摘した。1989年、米国はパナマの指導者マヌエル・ノリエガを拘束し、麻薬密売の容疑で米国に連行している。

沈氏は、ベネズエラがパナマよりも規模が大きく、中国やロシアと深く関わっていることを踏まえれば、今回の急襲の方がはるかに影響が大きいと述べた。

「表面上、マドゥロの主な罪状は米国への麻薬密売だったが、実際には、ワシントンはベネズエラの中国共産党(CCP)への石油輸出や、中国との広範な協力関係、そしてロシアとの緊密な関係を深く懸念していた」と同氏は指摘する。

ドナルド・トランプ大統領が2026年1月3日にシェアした写真に写っているベネズエラの指導者ニコラス・マドゥロ氏。2026年1月3日、米空母イオー・ジマに乗艦するマドゥロ氏を写していると思われる(The White House)

「だからこそ、この軍事介入は南米だけでなく、中国やロシアにとっても大きな意味を持つのだ」。

沈氏は、今回の任務は戦争行為ではなく、特定の個人を対象とした標的型執行行動であったと述べた。マドゥロの排除後、ベネズエラは一時的な権力の空白状態に入っており、暫定的な取り決めを経て、移行政府の樹立と新選挙が行われる可能性があるという。

戦略的メッセージ

国防安全研究院の蘇紫雲(そ・しうん)研究員は、この作戦はより広い地域戦略の中で理解されるべきだと述べた。

「トランプによるこの直接行動は、米国に流入する麻薬の主要な供給源を遮断するものだ」とした上で、「しかし、その深い意味は地政学的なものにある。すなわち、南米から中国とロシアの影響力を一掃することを目指している」と述べた。

蘇氏は、マドゥロ氏が米国に到着し、麻薬取締局(DEA)の拘留下に置かれた点に注目した。

「その詳細は、これが刑事責任に基づいた法執行行動であることを証明している」と彼は述べた。

長期戦の回避

米国を拠点とする軍事技術アナリストであり、元材料エンジニア、そして中国語の軍事ニュースYouTubeチャンネル「Mark Space」のホストを務めるマーク・カオ氏は、この作戦は、米軍に甚大な死傷者を出す可能性がある高額で長期的な地上戦を避けるための、計算された取り組みを反映していると述べた。

「マドゥロ夫妻を拘束することで、マドゥロ政権は粉々に砕かれ、米国は長くコストのかかる地上戦を回避した」と同氏は言う。「この戦略は、体制内の最大の障害を取り除くものだ」。

カオ氏は、この手法がマドゥロ氏を外交的・経済的に支援してきた北京とモスクワにも、鋭い心理的打撃を与えたと述べた。

マドゥロ氏は、夜間に米軍に拘束されるわずか数時間前に、中国共産党を代表する代表団と会談していた。

「中国は支持を示す使節を送ったばかりだった」とカオ氏は言う。「物的支援が届く前に、政権は崩壊してしまったのだ」。

ベネズエラを超えた影響

アナリストたちは、マドゥロ拘束の影響がベネズエラをはるかに超えるという点で見解が一致している。

「中国にとって、その衝撃は大きい」と沈氏は言う。「ベネズエラは重要なエネルギー供給国だが、米国が拘束を実行した際、中国とロシアは口頭での非難以外、事実上何も対応できなかった」。

カオ氏は、この作戦が独裁的な指導者たちへ広範な警告を送ることになると付け加えた。

「このような『まずリーダーを捕らえる』戦略は、中国共産党や他の独裁政権に対して強力な抑止メッセージとなる」と同氏は述べた。「こうした政権では、最高指導者(多くの場合、党のトップ)が政治システムを支える中心的な柱となっている。その人物が取り除かれれば、構造全体が不安定になる。反対勢力が現れ、エリート層は離反し、政権は極めて急速に崩壊し得るのだ」。

唐氏は、ベネズエラでの作戦は、主権に関する長年の前提を打ち破るものだと述べた。

「主権国家の元首として、彼の権威は伝統的に不可侵のものとして扱われてきた。つまり、他国は『国内問題』とされる事柄に介入することを禁じられてきたのだ」。

「しかし、トランプ大統領がマドゥロを生け捕りにするという決断を下したことで、そのルールは事実上再定義され、全く新しい国際秩序が形成されつつある」。

唐氏によれば、米国は新しい原則を示したことになる。それは、大規模な犯罪活動に関与し、米国の国家安全保障を脅かす指導者は、国家元首としての正式な地位に関係なく、強制的に排除され、訴追される可能性があるということだ。

「これは、執行を通じた米国パワーの再主張である」と彼は締めくくった。

中国関連の話題に焦点を当てる大紀元の寄稿者です。