今月15~17日に、米サンフランシスコでアジア太平洋経済協力会議(APEC)が開催される。その首脳会議に中国共産党(中共)の首魁・習近平が出席すると噂されるなか、サンフランシスコやロサンゼルス、ニューヨークの中共領事館は習の訪米に備えて、サクラの人員を動員するなどの「歓迎企画」を進めている。
いっぽう、中国民主化組織や人権擁護団体など在米の百を超える団体は、まさに習を「熱烈に出迎える」ため過去最大規模の抗議活動を計画している。
「サクラ集めに奔走する」中共領事館
習近平の訪米を前にして中共領事館が、カリフォルニア州ロサンゼルスにある南カリフォルニア大学(USC)の中国学生学者連合会 (CSSA)に宛てた「通知」がネットに流出した。
そこには、訪米した習近平を歓迎するために「学生たちをサンフランシスコに行かせるよう」求める趣旨の内容が書かれている。また、学生に対して、この件を口外しないよう秘密の保持を求めるほか、「いったん申し込んだら辞退できない」などの規定も記されている。
同通知では、習近平を歓迎する任務の「報酬」については言及されていなかった。しかし「今回のイベントは、責任重大かつ名誉ある使命だ」と書かれている。
参加者には、中共領事館によって往復のバスが用意されるとともに、旅費、食費、宿泊費などの費用は全額負担されるという。
抗議団体も「お出迎え」に準備万端
中共領事館による「作られた歓迎」の動きがある一方、米国をはじめ海外にいる中国の民主活動家や人権活動家も、習近平を「熱烈に出迎える」準備をしている。
今月5日、吉林省の陳情民である馬永田氏(現在は米国在住)は、ニューヨークにある「天安門事件記念館」で記者会見を開き、習近平がサンフランシスコでのAPECの首脳会議に参加する際には「彼(習)の車列を再び止めて、中国当局による迫害に抗議をする」という決意を述べた。
中共当局によって所有する不動産(工場)を強制的に取り壊され、家族まで迫害されたという馬氏は、過去に2度、習近平の車列をさえぎって止めた経験をもつ。
馬氏は「3度目」になるであろう次回の行動を通じて、中共当局に対し「2つの要求」を伝えたいと語る。馬氏の要求とは「息子が米国に来られるようにすること」および「中共政府に奪われた財産の問題を解決すること」の2点である。
このたび馬永田氏が開いた会見には、著名な中国の民主化運動活動家で六四天安門事件の学生リーダーであった王丹氏のほか、在米中国語雑誌・北京之春の胡平名誉編集長などが応援に駆けつけた。
馬氏のほかにも、界立建氏など多くの人権活動家も「習近平を(抗議活動で)出迎える用意がある」と明かしている。米国にある中国民主化組織および人権団体など百を超える団体が、今回の習の訪米に合わせ過去最大規模の抗議活動を準備している。
界立建氏によると「多くの中国人留学生のほか、米国へ密入国した中国人たちも参加するだろう」という。そうした意味で、今回の抗議活動はこれまでとは大きく異なることが予想される。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。