多くのティーンエイジャーが夢中になるアニメ。ライアンさんもそんなアニメ好きのティーンエイジャーの1人だった。彼の母親であるコニーさんは、社会的に孤立している息子のための創造的なはけ口として、アニメに夢中になることを勧めた。しかし今彼女は、この選択が息子を暗い道へと導き、最終的に性別を混乱させ、幸せな家庭を破壊したと自身を責めている。
コニーさんはライアンさんのことを「いつも物静かで、思いやりがあり、愛情深い子供だった」と振り返る。「ライアンがティーンエイジャーだった頃も、車の中で私が手を出すと、ライアンは私の手を握ってくれたものです」
しかし悲しいことに、彼女の幸せは、多くの人々と同じようにトランスジェンダー・イデオロギーによって失われた子供という悲劇で幕を閉じる。
アニメから「ブローニー」へ
「この根本にある原因は、子供たちが触れているポルノです」
コニーさんは、息子が「気持ち悪いアニメポルノ」にのめり込んだことが、彼の精神に悪影響を及ぼしたと感じている。
ライアンさんは高校時代にアニメに深い興味を持つようになった。冒険的なストーリー展開と複雑なキャラクターで知られるアニメは、彼にとって創作の糧となった。「彼はとても絵が上手で、キャラクターを的確に描くことができました。そしてアニメにのめり込んでいったのです」
アニメへと同時に、ライアンさんはコスプレ大会にも興味を持ち、さまざまなアニメのキャラクターに扮した。「当時私はそれを奨励していました。彼はあまり友達がいない子で、学業でも苦労していましたから、彼に合う仲間がいなかったのです」とコニーさんは当時を振り返る。
多くの親同様に、コニーさんもアニメの中に性的でポルノ的なジャンルがあることを知らなかった。加えて、このジャンルにはジェンダー・フルイド(性自認が複数の性のあいだで揺れ動くセクシュアリティ)やトランス・キャラクター、女装、LGBTのテーマがあふれている。トランスジェンダーのテーマは、コスプレやロールプレイングに魅了されるアニメ文化によって強化されている。
アニメの危険性について知らなかったコニーさんだが、高校3年のライアンさんの興味が『マイリトルポニー』に移ったとき、不安を感じた。「彼はブロニー(マイリトルポニーの男性ファン)でした」。今、彼女はこれを不穏の始まりと見ている。
「息子がトランスジェンダーになる過程で、アニメは本当に大きな影響を与えました」
「お母さん、僕はトランスジェンダーだよ」
ライアンさんが大学1年生になったある日の会話を、コニーさんは今でも鮮明に覚えている。「実は僕、トランスジェンダーなんだ。アニメやロールプレイングをするときはいつも、女性キャラクターになりきるのが好きなんだよ」
当惑したコニーさんは「大丈夫よ」と答え、会話を続けようとしたが、ライアンさんは身構えそれ以上の質問には答えなかったという。
コニーさんは今、「ライアンが必要とする母親になれなかった」という大きな罪悪感を抱えて生きている。彼女は、ライアンさんに「強くなりなさい、学校を卒業しなさい」と自分の考えを押し付けてきたことで、ライアンを不本意にもうつ病に深く追い込んでしまったかもしれないと、後悔を口にした。
LGBT教育
大学時代、ライアンさんは女性学の必修科目を満たすため、「LGBTQのクラス」を選択した。
「最初は、ライアンはクラスで数少ないストレートの男だと冗談を言っていました。しかしすぐに女子グループと親しくなり、その全員が過去に入院や自殺未遂をするなど、深刻な精神的問題を抱えていました」とコニーさんは言う。
クラスのイデオロギーはライアンさんに深い影響を与えた。授業によると、ジェンダーは社会的に形成されたものであり、人間はもともとノンバイナリー(性自認に「男性」「女性」といった枠組みをあてはめないセクシュアリティ)だという。
「ライアンはこの教育に本当にそれに振り回されていました」
姿を消したライアン
ライアンさんの状況を心配したコニーさんは心理療法士である夫の協力を得て、専門家による診療やカウンセリングを受けさせようとしたが時すでに遅かった。
ライアンさんはセッションを受けることに同意したが、友人を盾としてセッションに同伴させるなど反抗的な態度を示した。家庭での緊張は沸点に達し、些細なことでさえ怒りに火をつけた。コニーさんと口論になり、ついにライアンは家を出た。
コニーさんが息子に会ったのは、その後2、3回だけだという。ライアンさんは2州離れた都市に転居した。そしてコニーさんがライアンを最後に訪問した際には、驚くべき現実が明らかになった。
「ライアンはトランスジェンダーの女性と暮らしていました。そのトランスジェンダーの女性は髪が長いだけで男性であることは一目瞭然でした。その人は息子に腕を回していましたが、息子はその愛情に応えているようには見えませんでした」
7年経った現在、ライアンさんは定職につかず、公的扶助と友人に頼って生活している。そしてライアンは名前だけでなく性別も変えた。そのパートナーとは遠距離になったものの、バーチャルな関係を維持しながらまだ一緒にいるという。
「このことで自分の命を絶つところでした」とコニーさんは悲痛な思いを口にした。「ライアンとのつながりを維持しようと、謝罪の手紙を書き、母親としての失敗を認めましたが、彼の心には届きませんでした」
「真実は必ず明らかになる」
コニーさんは辛い経験に突き動かされるように、カリフォルニア州で可決したような、親の同意なしに未成年者に人生を左右するような医療上の決定を下す権限を与える法案について、他の親たちに注意を促している。
カリフォルニア州は9月、親の同意なしに性別に混乱した子供を居住施設に送る権限をセラピストに与える法案(AB665)を可決した。
ワシントン州でも4月、トランジション(性別移行)を求めるトランスジェンダー青少年を「守る」法案が成立した。
同法案は子供たちが親の同意なしに「ジェンダー・アファーミング・ケア(トランスジェンダーの人々が自認するジェンダーを尊重する医療)」を受けられるようにするもの。ワシントン州法で定義される「ジェンダー・アファーミング・ケア」とは、乳房切除や乳房縮小、乳房インプラント、ジェンダーを尊重する処置などが含まれる。
「子供はタバコを一箱買うこともできないのに、親の同意なしに乳房を切除することができるのか」 とコニーさんは声に不信感をにじませた。
「真実は必ず明らかになるでしょう。ただ、子供たちにどれだけのダメージが及ぶかが問題なのです」
本稿では、家族の安全とプライバシーを守るため、仮名を用いています。
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