今年の10月1日は、中国共産党(中共)が政権を握って74周年であった。
通常、「5周年」または「10周年」の節目には、中共は大規模なレセプションや祝典を開催し、党の最高指導者が演説を行い、それ以外の年は、大体首相が演説を行ってきた。
だが、今年は「5周年」でも「10周年」の節目でもないにもかかわらず、習近平氏は首相の李強氏の役目を奪い、自ら演説を行っている。
これには、ソビエト連邦が74年の政権保持の後に崩壊したこととの直接的な関連があるとの分析がなされている。
中共の公式メディアは、この「国慶」と称するレセプションにおいて、「5周年」「10周年」の節目ではないが、「高い基準の国宴が『シンプルだが簡単ではない』」と伝え、今年のレセプションが「他とは異なる」と示唆した。
中央テレビの映像を見ると、習近平氏は重要なスピーチを真剣な表情で行っていたが、わずかに疲れたようにも見受けられた。また、出席者の表情も硬かった。
習氏の演説には、中共式の言葉遣いが多用されたが、その中で、現在の国際的状況が中共に不利であるとの認識も示されていた。
習氏は、世界の大変動が加速しており、国際環境が劇的に変化する中、中共が多くのリスクと挑戦に立ち向かっていると述べた。
それでは、中共がどのようなリスクに直面しているのか、そして、なぜ習近平氏が李強氏に演説させず、自ら前に出て、演説を行ったのか。
政治評論家の唐靖遠氏は、習近平氏がある「宿命」を打破するために努力しているとの見解を示している。
「74周年は特別である。なぜなら、ソビエト連邦の共産主義政権が74年で崩壊したからだ。現在まで、世界の共産主義政権で74年以上存続したものは存在しない。この74年という数字は、中共にとって暗黙の重要な節目、あるいは障壁となっている」
「この歴史的瞬間で、習近平氏が李強氏に公の場での演説を許すことは考えられなかった。習氏は自分をスポットライトの中心に置くことで、自らが率いる中共政権がこの『74年の期限』の宿命を打破したことを世界に示したかった」
習近平は「男」として中共を守ろうとしている
1930年代、中国共産党はソビエト連邦共産党の後押しにより、中国国民の戦乱の中、いわゆる「中国ソビエト共和国」として成立した。その後、政権を確立し、「中華人民共和国」と名称を変更した。
それ以降の数十年間、中共はソビエト連邦共産党を模範とし、政治、外交、軍事、科学技術、文化などの各分野でソビエト連邦の模倣を続けた。しかし、ソビエト連邦や東ヨーロッパの共産国家は前世紀の終わりに崩壊し、歴史の中に消えた。
ソビエト連邦が解体されたとき、抵抗する者が存在しなかったことについて、2013年に中共の指導者となった習近平氏は、ゴルバチョフが簡潔にソビエト連邦共産党を解散させたことを悔やみ「大きな党に一人の男もいなかったのか」と語ったという。
その時、ソビエト連邦の崩壊からは既に20年以上が経過していた。中共は計画経済を取りやめ、改革開放政策を採用し、文化大革命後も政権を維持した。習近平氏の上述の発言は、彼の「初心を忘れない」という姿勢が毛沢東の路線への回帰を意味するのではないかという懸念を持たせた。
ソビエト連邦は74年の歴史の後に崩壊したが、メキシコの制度的革命党は71年間の統治の後、2千年に政権を喪失した。これを背景に、欧州や米国の中国専門家たちは、専制的な独裁政権には「70年の寿命」と「9年ごとの混乱」の法則が存在すると考察している。
現在、中共が権力を保持している期間は、かつてのソビエト連邦の存在期間である74年に迫っている。唐靖遠氏によれば
「習近平氏は李強首相を排除し、自らが演説を行い、『中共の男』としての立場を強調した。これは共産主義政権の大きなタブーへの挑戦である。しかし、現在の中共は多くのリスクを抱え、内外での困難に直面しており、その崩壊の時期は予測しがたい」と指摘している。
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