8日、「大学生がローンを組まされ、職業訓練に参加した後に首つり自殺」というニュースが中国のSNSのホットリサーチ入りした。ネット上では、学生から金を巻き上げる学校と職業訓練機構に対する批判が殺到し、関連部門に調査を呼びかける声が広がっている。
陝西省西安市に住む張さんによると、いま大学4年生で来夏に卒業するはずの弟が今月6日、市内の公園で首つり自殺をした。弟は大学から卒業証書を得るために、学校が組織する職業訓練への参加を余儀なくされていたという。
しかし、職業訓練機構へ支払う費用は1万7千元(約34万円)と非常に高額である。貧しい家庭の出身である弟はお金がなく、もともと参加したくなかった。しかし、これに参加しないと卒業証書が得られないという圧力の下で、やむを得ず職業訓練機構が勧める融資機関でローンを組み、職業訓練に参加するしかなかった。しかしその後、弟は公園で首を吊って自殺したという。
問題の大学は8日、中国メディアに対して「警察が調査を開始している」と明かした。
ネット上では、「学校の職員が職業訓練機関と結託してキックバックをもらうのは、中国全土で見られる」「中国では教育はビジネスだ」といった批判コメントが相次いでいる。
現在、未曽有の就職難に見舞われている中国では、若者の約20%が無職というデータが公表されている。しかし、公表された数字は実態を反映しておらず「実際の失業率は50%近い」との試算もある。
中国当局は「就職率を上げよ」と各大学に圧力をかけている。そのため「内定通知書など雇用契約書の提出」を卒業証書授与の要件にしている大学も少なくない。そうした結果、ネット上では「虚偽の内定通知書」の販売が学生に人気だという。
しかし一方で、一部の学校は職業訓練機構と提携し、「就職口の斡旋」を口実に学生から高額な訓練費用を巻き上げている実態は否めない。
そうした八方塞がりの状況下で、学生が受ける精神的圧力は相当なものとなる。社会の不条理が、若者の自殺を助長していると言わざるを得ない。
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