中国製ソーラーパネルは国連発表の3倍の炭素排出 研究が暴露した太陽光発電の汚い秘密 

2023/07/28
更新: 2023/07/28

非営利団体Environmental Progress(以後、EPとする)は、気候変動に関する国連機関が中国製太陽電池の炭素強度(排出されるCO2量を一次エネルギー総供給で割った値)を1/3以下に過小評価していると主張している。調査ジャーナリストは、ソーラーパネルのゴミは有毒かつ回収コストが高いと指摘した。

調査ジャーナリストのマイケル・シェレンバーガー氏がブラインド・スポット氏とイタリアのアナリストのエンリコ・マリウッティ氏との協力で共同設立した非営利団体であるEPの最近発表された報告書で、中国製ソーラーパネルは気候変動科学を評価するための国連機関「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が主張しているものと比べて、生産時のCO2排出量が約3倍だと主張している。

「ソーラーパネルはCO2を排出しないと言われているが、実際には排出している。そして今、EPによる大規模な新たな調査が、エンリコ・マリウッティ氏の研究に基づき、中国製ソーラーパネルが少なくともIPCCの主張する3倍以上のCO2を排出していることを発見した」と、シェレンバーガー氏は7月24日にツイートした。

IPCCは、ソーラーパネルのカーボンフットプリント[1] は、1kWhあたり約48gのCO2であると主張。しかし、EPは報告書で、マリウッティ氏による研究によると、真のCO2排出量は1kWhあたり約170~250gであると明かした。これは国連が報告した数値の3倍から5倍に相当する。

[1] カーボンフットプリント

原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量

「10年間、IPCCは太陽光発電エネルギーの炭素強度に関する誤解を招く証拠を提示してきた」と、マリウッティ氏は7月24日のツイッター投稿で指摘した。

IPCCは、コメント要請に応じていない。

CO2排出量がIPCCのデータ3倍以上

経済学と気候エネルギー政策を専門とするアナリストであるマリウッティ氏は、4月に「ソーラー産業の汚い秘密」という報告書を発表。報告書は、IPCCが中国製太陽電池によって生成される炭素の量を大幅に過小評価と主張している。理由は、IPCCが中国の石炭に依存した生産プロセスではなく、欧州を拠点とする低炭素サプライチェーンに基づいてCO2排出量を計算している。

マリウッティ氏は報告書の要約で、国内外の当局者がソーラーパネルはCO2を排出しないという主張はどのような根拠に基づき、どのように構築されたのかを研究していないと指摘した。

問題は、IPCCや各国政府が依存している炭素強度データのほとんどは、透明性の欠如、あるいは中国の製造業者からの不正確な、または「でっちあげられた」データのせいで、太陽光発電の炭素排出量を大幅に過小評価している可能性が高いモデリングに基づいている。

長年にわたって、中国はソーラーパネルの生産において支配的な力となってきた。たとえば、太陽電池の主要コンポーネントであるソーラーウェハの世界供給量の約 97 %は中国で製造されている。

しかし、ソーラーパネル市場における中国のシェア拡大は、技術革新による結果ではなかった。

EPが意見を聞いた専門家のほとんどは、シェア拡大の理由が安価な石炭火力エネルギー、戦略産業向けの大規模な政府補助金、および劣悪な労働環境で働く労働力にあると考えている。

マリウッティ氏は「欧州の気候政策の加速が、イタリアを不可逆的な衰退に追いやる恐れがあると考慮して」、公共政策決定に情報提供するために、自身の研究を公開することは自分の責任だと感じた。

同氏は当時、「過去10年間、IPCCは太陽光発電モジュールが中国ではなく欧州で生産されているかのように装って、太陽光発電エネルギーの炭素強度を組織的に過小評価してきた」と述べた。

「主に石炭ベースのエネルギーミックスに基づいて太陽光発電システムのCO2排出量を再計算することにより、太陽光発電エネルギーの世界平均炭素強度が少なくとも1kWh 当たり 200g であると推定できる」

シェレンバーガー氏は、ソーラーパネル産業が環境に与える総合的な影響について長年警告してきた。

廃棄物が山ほどかつ有毒

2021年、シェレンバーガー氏はNTDの取材に応じて、ソーラーパネルの生産、配備、リサイクルの経済的側面は、この技術が「有毒」で「危険」な側面を持っていることを示しているが、その推進は、健全な科学よりもイデオロギーの傾向によって推進されていると語った。

太陽光発電が原子力など従来の発電方式に代わる環境に優しい代替手段であるという誤った信念について、同氏は当時、「我々は一種の催眠術のようなトランス状態に陥っている」と指摘した。

ハーバード・ビジネス・レビューの調査は、さまざまな経済的インセンティブのため、ソーラーパネルは予想よりも早く交換されていると結論付け、リサイクルの高額なコストを削減するためのインセンティブが導入されない限り、ソーラーパネルのゴミの山が「存在に損害を与える規模」に増えると警告した。

ハーバードの研究は、国立再生可能エネルギー研究所の上席研究員ガーヴィン・ヒース氏の見積もりを引用し、パネルをリサイクルするのに20~30ドルかかり、一方で埋め立てに送るのには1~2ドルしかかからないと述べた。

その研究について尋ねられたとき、シェレンバーガー氏はリサイクルの高コストを認めつつ、また、パネルには鉛などの重金属が含まれており、廃棄中にパネルが破壊されると有毒な粉塵として放出される可能性があると付け加えた。

「それは危険な廃棄物だ」と同氏は語った。

特に太陽光発電などの再生可能エネルギー源の普及に伴い、米国では廃棄物への取り組みが大きな関心事となっている。

米国では現在、全国的に推定149.5ギガワットの太陽光発電設備が設置されている。

調査会社ウッド・マッケンジーは、米国の太陽光発電総設置容量が2028年に378ギガワットに達すると予想している。

The Epoch Times上級記者。ジャーナリズム、マーケティング、コミュニケーション等の分野に精通している。