世界有数のディスプレイメーカーとしての韓国の地位は、中国共産党（中共）の技術窃盗によって奪われてしまった。最近、中共に引き抜かれた多くの韓国人の人材は退職金も受け取ることができないまま会社から追い出された。

一部の専門家は、韓国が直面しているのは良心的な技術的競争相手ではなく、ならず者である中共政府であり、真剣に警戒すべきだと警告している。

韓国は中共の技術窃盗の主な標的の一つである。半導体やディスプレイパネルなど、韓国が得意分野とする技術は、中共によってますます露骨に狙われている。韓国から技術を盗む常套手段には、高額な報酬を提供しての引き抜き、内部の人間を買収することなどがある。

その結果、中共はすぐに核心的な技術をマスターした。2021年からは、液晶ディスプレイ（LCD）や有機発光ダイオード（OLED）など、世界のディスプレイ市場において、中共は韓国が17年間誇ってきた世界トップの座を奪ってしまった。

韓国ディスプレイ産業協会が今年発表したデータによると、昨年の世界ディスプレイ市場のシェアは中国が42.5％で1位、韓国は36.9％で2位だった。

韓国メディア「中央日報」が7月14日に報じたところ、ディスプレイ業界関係者は、2022年以降、京東方科技集団（BOE）、華星光電（CSOT）、惠科股份有限公司（HKC）など中国の大手ディスプレイメーカーが韓国人従業員を相次いで解雇し、その数は少なくとも100人を超えると明らかにした。これらの従業員のほとんどは、サムスンディスプレイとLG ディスプレイでLCD基板の設計と生産を担当していた。

また液晶ディスプレイ技術を盗むために、中国企業はかつて、高収入を餌に韓国の技術者を誘致し、韓国の関連技術者に、現職の3倍の年収、3年契約の保証、車、アパート、子どもの学費の提供など3大優遇措置を約束した。

中共は、不要になった韓国の液晶ディスプレイ技術者を解雇した後、今度は韓国の有機発光ダイオード（OLED）技術者に目を向けた。

韓国業界は、中共が再び同様の方法でOLED市場を掌握するのではないかと懸念している。

ディスプレイ分野だけでなく、半導体分野でも、米国が中共への締め付けを強めるにつれ、中共による韓国の人材を引き抜こうとする動きが早くなっている。

韓国日報によると、中国企業が韓国にR&D(研究開発）センターを設立し、韓国人研究員を雇用したり、韓国企業の株式を購入して経営権を握ったりして技術を盗むケースが増えている。

韓国人研究員が中国現地の企業に直接入社すると、韓国国家情報院や検察機関の捜査対象になりかねない。韓国に研究機関を設立したり、株式を購入したりすれば、韓国政府の捜査網から逃れられるだけでなく、より優秀な人材を簡単に集めることができる。

韓国国家情報院によると、2017年から昨年まで、韓国企業の技術人材が産業特許を海外に流出させたケースは93件だった。ディスプレイ分野における、技術流出の度合いは半導体に次いで第2位であり、流出の60％以上が中共に関連している。全体の損失は25兆ウォン（約2兆7600億円）以上に達した。

7月15日、中国問題専門家で、中国首都師範大学の元歴史教育学准教授である李元華氏はエポックタイムズの取材に応じて、韓国は国も技術者も「中共の邪悪な本質をよく理解していない。中共のようなならず者政権は約束を守らず、利益だけを誘い文句にし、盗んだ技術を手に入れたら、何もなかったかのように捨て去ってしまう」と指摘した。

李教授はまた、韓国にとってもう一つの教訓は、「良心的な技術的競争相手ではなく、成果を盗むためなら何でもするならず者政府に直面しているのだから、韓国は中共を厳しく警戒すべきだ」と強調した。

サムスン　特許侵害で中国企業提訴

 6月中旬、韓国の水原地検はサムスン電子の元常務、崔を起訴した。 崔は成都市政府から4600億ウォン（約460億円）の投資を受け、サムスン電子の半導体工場の設計データを不正使用し、サムスン電子の工場を複製した半導体工場を中国に建設した。工場を建設した後、崔被告はサムスン電子とSKハイニックスから200人以上の中核メンバーを雇用した。

検察側は、「これはサムスン電子が30年以上にわたり研究開発した成果であり、3千億～数兆ウォン（約300億～数千億円）相当の価値を持つ資料、企業秘密であるだけでなく、国家レベルの重要技術だ」と述べた。

中共による韓国技術の窃盗がますます横暴になるにつれ、韓国企業は防衛策を取らざるを得なくなっている。サムスンディスプレイは6月、中国最大のディスプレイメーカーであるBOEを相手取り、iPhone 12に搭載するために開発した有機ELディスプレイの特許5件を盗んだとして、テキサス州東部地区連邦地方裁判所に特訴侵害訴訟を起こした。サムスンのBOEに対する初の特許訴訟となる。