最近の研究により、一般的に使用されている合成着色料「アルラレッドAC(赤色40号)」の長期摂取が、炎症性腸疾患(IBD)や大腸炎を誘発する可能性があることが明らかになった。
アルラレッドACは、米国食品医薬品局(FDA)が食品への使用を認可した9つの合成着色料の一つ。日本では1991年に使用が許可され、キャンディやチューインガム、清涼飲料水などに使用されている。
カナダのマクマスター大学の研究者は、12週間にわたりマウスに異なる餌を与え、アルラレッドACが腸の健康に及ぼす影響について研究した。1群に通常の餌を与え、もう1群には毎日ARを添加した餌を与え、さらにもう1群には週に1回だけARを添加した餌を与えた。
その結果、アルラレッドACを毎日摂取したマウスは、軽度の大腸炎を発症した。一方で、1週間に1回アルラレッドACを摂取したマウスは大腸炎への影響がほとんど見られなかったことがわかった。餌の代わりに水にアルラレッドACを添加した場合も、同様の結果が見られたという。
そのほか、研究では幼少期にアルラレッドACを摂取すると、免疫力の低下や、成長後に炎症性腸疾患や大腸炎を発症する可能性が高くなることもわかった。
研究の筆頭著者であるマクマスター大学病理学・分子医学科のWaliul Khan教授は、同研究は「毎日摂取している食品色素の潜在的な害について、一般の人々に注意を喚起する上で、大きな前進となる」と述べた。
その上で、アルラレッドACの摂取は「特定のアレルギー、免疫障害、子どもの注意欠如・多動症(ADHD)などを引き起こすことが、文献によって示唆されている」とも指摘した。
カリフォルニア州政府が2021年に行った過去10年間の科学的研究のレビューによると、アルラレッドACを含む合成食品色素の摂取は、少なくとも一部の子どもたちに多動性などの障害を引き起こすことが確認された。
本研究は、12月20日付の学術雑誌「Nature Communications」に掲載されている。
(翻訳編集・徳山忠之助)
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