今月16日に開会される中国共産党大会まで残り1週間を切った。新しい指導部人事などを決める5年に1度開催される重要会議を前に、北京では厳戒態勢を敷いている。
街中では、党大会の開催を祝うスローガンが掲げられ、厳しい制限下で生活を強いられる市民の不満が高まっている。
北京中心部の主要道路である長安街には、今週大勢の警備員が配置された。
ロイターによると、一部の人員は10月6~23日までの間、当局が目を付けている「人物」に対し24時間体制の監視を行うという。
9日、北京で300人以上の党の幹部が出席する「7中全会」と呼ばれる重要会議が開催された時も、会場周辺の道路では100メートルごとに警察官が配置されていた。会場に近づくほど一段と警備が増し、近くを通る人に対して、行き先の確認を行っている。
当局は地方からやってくる陳情者の排除にも力を入れている。市内のコピー屋は「陳情者にサービスを提供しないよう」求められている。地方政府などから不公平な扱いを受けた陳情者は、しばしば北京の重要な会議に合わせて上京し、上層部に訴えようとするからだ。
なかでも多くの北京市民を悩ませているのが、今やデジタル通行証の役割を持つ「健康コード(コロナ対策アプリ)」の異常だという。一部の住民の携帯アプリには外出禁止を意味する「ポップアップウィンドウ」が常に表示され、解除するにはPCR検査をクリアしなければならない。
SNS微博(ウェイボー)には、「健康アプリのポップアップウィンドウ」関連の苦情が溢れかえっている。だが、関連の話題は検閲を受けている。
北京当局は市民の健康アプリの厳しい管理に加え、市内の主要空港や駅に防疫チームをさらに増やし、またオフィスでは検査頻度をさらに上げるなど一連の措置も導入している。
この影響は配達業や各種申請・更新にまで及んでいる。宅配企業大手の順豊(SF Express)配達員はロイターに対し、「党大会のため、北京関連の荷物の発送や受け取りが一部制限されている」と明かした。
中国の郵政行政の監督管理を行う郵政当局や公安部、国家安全部はこのほど、10月1日から第20回党大会終了まで、北京宛の荷物に対するセキュリティチェックを強化する旨の通達を出した。
北京当局は先月、長距離バスの運転手に対しても、「身体反応・情緒感知装置」と呼ばれる監視用の電子ブレスレットを装着するよう要求した。
10月以降、中国各地で感染が再拡大し、地方政府は感染対策に躍起になっている。
北京から700キロ離れた山西省の町では、感染者が出ていないにも関わらず事実上ロックダウン(都市封鎖)に踏み切った。また、内モンゴル自治区のフフホトでは、市外からの車両の乗り入れを禁止した。
このような厳しいコロナ対策は、党大会終了後も続くとの見方が広がっている。
(翻訳編集・李凌)
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